意識しない通信手段の脆弱性
サーバー、ストレージ、バックアップ、バックボーンのネットワーク・・・ いざという時にも継続稼働させる必要があるところにあるべき考えかたがリダンダンシー。力の入れ具合や入れどころはそれぞれの事情によりますが、基本的な考えかたはとても単純ですよね。落ちたら困る。止まると困る。そうならないようにするための方策の一つです。それに対して普段は意外と意識されないのが通信手段の脆弱性の問題。自営ではなく何らかの通信事業者のサービスを利用するからだとは思うのですが・・・
自分が通信業界に入って初めて意識した通信の脆弱性の問題
インターネットにしろ社内系の独立したネットワークにしろ、結局誰かがつないでいるわけです。そのサービスを提供する側としては、その公共性の高さから非常に堅固なネットワークと運用設備を持つことを求められるわけですが、人為的な問題、あるいは天災などの要因によって通信が途絶することがあります。
固定系の場合、たとえば途中の中継局や電話局が生きていても、自分のところに回線を引き込んでいる電柱が倒れたらアウト。復旧するまで待つしかありません。
無線系の場合、これまた途中の中継局やその他の設備が生きていても、電柱の倒壊の危険性に加えてたとえば基地局の電源が落ちればアウト。復旧するまで待つしかありません。
状況によっては複数の通信施設から独立した経路で回線を引き込むというのはアリですが、通常バックアップとしてだけ機能させているものに切り替えると問題が起きるのはよくある話。かといって、最初から二重化されているものについても、全部を本番で使っている中で一部に障害が起きたときには当然容量の減少などから縮退運転を迫られたりします。復旧するまで待つしかありません。
データセンターやエンドユーザー側の設備としての対策は、その緊急性とか投下できるコストによって変わるのは当然ですが、通信設備についてはIT系でずっと来るとよく判らない部分として何だか最後までブラックボックスになったりするケースが、今でも結構あるような気がします。
インターネットは磐石・・・といわれているけれど
いわゆるインターネットのバックボーンは多くの人の努力により非常に堅固なものになっています。でも、最後に問題になるのはいわゆる足回り。バックボーンに到達できなければどうしようもない。さてどうしたものか、ちょっと思案のしどころです。
絶対的な解は無いのですが
最近お話する機会があった、あるお客様。通信回線の確保がその企業体の存在の根幹にかかわる業種の方だったのですが、さすがにそこまで通信回線の確保が生命線になると、ありとあらゆる手段を検討されています。地上系通信サービス、衛星系通信サービス、自営の無線設備、そして移動体通信サービス。まるで通信機器とサービスの見本市状態です。これはかなり極端なのですが、曰く、「どれ一つとっても、その一つに完全に依存する気はまったくなくて、状況に応じて使えるあらゆる手段を用意することが生命線なんです。」
うむー。本当に極端なお客様です。もちろん理由は私でも100%理解できるのですが、常にあらゆる手段を利用し、どれがコケても必ず何らかの通信手段を継続して利用できるようにしてある。いや、想像はしていましたが、凄いお客様がいるものです。
さて、そこから見えるものって?
形あるものは必ず壊れるという疑いを持つのはやっぱり大事なこと?
通信事業者に身を置く私が言うのも何なんですが、形あるものは全て壊れるわけです。自営だろうがサービスだろうが。そこでいかに事業を止めない、業務を止めない、目の前の画面を止めないようにするか。絶対的な解はありませんが、どこまでそれを考えているかが重要なことって、結構多いんじゃないかな、と思っていたりします。