所有したいものと、利用したいもの
基本的に所有欲が薄い人なのですが、それでも欲しくなるものは結構有ります。自分の物として所有できた喜びというのは当然あります。でも使えれば十分、それこそOn-Demandで利用できればOKというものもあります。
RSSで飛んできた記事のヘッダーを眺めていて、ふと目に留まったのがITメディアさんのBusiness Media 誠にあったこの記事。
車を持てる場所、ありえない場所
随分昔ですが、世田谷のアパートに住んでいたころ、いろいろあって車を買いたいと思ったことがありました。買おうかと思ったその中古の車自体ローン自体は払えなくは無いし、ガソリンはまぁ何とかなるかもと考えたのですが、最終的にあきらめたのは駐車場の料金。冷静に考えると車のローンと変わらないか、下手すると駐車場の方が高い。いろんな人に諌められて結局買うのを諦めましたが、冷静に考えて、当時の私が買うには高すぎるのは事実でした。
自家用車が我が家に来た、あの日あの頃
世代的に、「ケンとメリーのスカイライン」、「隣の車が小さく見えまーす」、「いつかはクラウンに」といった自動車メーカーの広告に子供ながらにリアルで触れた世代ですし、1970年代初め頃の高度成長の中で、自分の親が「遂に車を買ったぞ。こいつは遅いけど我が家の車だぞ!」と誇らしげに乗って帰ってきたマツダのキャロルに家族4人大汗かきながら乗っていたのをいまだに思い出すことがあります。
当時住んでいた団地の中で、どれくらいの自家用車があったのか良く覚えていません。ただ、自分の気持ちの中で「お父さんすごーい!」と思った記憶はあります。でも、車自体がどうのこうのという気持ちではありませんでした。360ccの軽四なのにクーラーの着いていたそのキャロル、山道に差し掛かるとクーラーを切らないと坂を上がれないほど非力でしたし、極稀に外車に抜かれた時は逆に「外車だー!」と狂気するしまつ。何しろ後ろから迫ってきて爆音を立ててぶっちぎられ、後姿を見送ることができたのですから(笑)
でも朝鮮戦争後の不況の時代にサラリーマン生活を始めて高度成長の中をひた走っていた父親としては、自家用車を持てるところまで来たぞ!的な意識はあったと思います。ひょっとしたら私の物欲の原点はここにあるかも知れません。
自分で車を買えたあの日のこと
自分で車を初めて買ったのは、結局今から10年ちょっと前です。それまでは電車とバスの生活だったのですが、色々な経緯と思惑から、遂に自分で車を買うことにしました。買うからにはと妙に拘って、結局買ったのはフランスの足回りにバネが無く車高が4段階で上下する車でした。周りからは「すぐに壊れるぞー」と散々脅されましたが、結局致命的な故障もなく7年間走り続けました。
我が家の車はスーパーカー(笑)
ココで思ったのは、「遂に車を買えるところまで来た」という意識でした。単純に考えると、使う時にだけレンタカーすれば良い話ですが、意識としては自分の車というのは私にとっては非常に大きな問題。ただ、仕事に車は必要ない立場でしたので、乗るのはもっぱら週末。スーパーにしか行きませんから「ウチの車はスーパーカーだ!」と嘯いていましたが、駐車場に沈み込んで佇んでいる (本当にそういう車でした) 自分の車を眺めてニコニコしていたことが何度もありました。
自分の物欲の原点
実は白物家電が大好きです。環境問題と住環境、更には実用面はとりえあず横においておくと、冷蔵庫、オーブン、テレビ、洗濯機は大きい方がエライと思っていたりします。エアコンのある家は立派な家だと思っていたりします。大きな風呂もすごいし、カメラも大きい方がエライし、車の排気量とタイヤのサイズも大きい方がエライと思っていたりします。冷静に考えると、それこそ初期の三種の神器の世界ですね。
とは言え、エライから良いとか、我が家がそういうもので溢れているという話ではないのですが・・・
一方、漫画は貸し本屋が原点なので、自分で持つという意識を持ったことは殆どありません。ゲームはインベーダーが中学で禁止になっていてゲーム喫茶には殆ど行かなかったことから、未だに殆ど手を出さずに終わっています。他にもPCは単なる道具なんで興味はありますが趣味にする気は全く無いとか。
果ては、親がずっと団地住まいだったことから、土地や家を買う(所有する)ということ自体が理解できずにいます。今の住まいは分譲のマンションですが、自分の住む所の家賃を何十年か分を割り算して払い続けているという風にしか理解できていません。でもこれが理解できる限界です。
所有することに求めることと、利用できることで満足できること
価値観の問題になるので難しいですが、前述の記事で言うと、生まれた時から常に目の前に車があるという世代にとって、それが所有できることの価値観というのは違うのだろうなと思います。生まれた時からテレビゲームがある世代にとってのITやケータイというものについては以前から言われていましたし、多分同じことなのではないかという気がします。
自分的にB2BのMarketingしか経験が無く、個人や世代の価値観に大きく依存するB2CのMarketingというのは判らない事だらけですが、とりあえずそういうことなんだろうなと考えてみるチャンスがこういう記事に隠れているような気がします。