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ビジネスモバイルITベンチャー実録【朝メール】から抜粋します

大人だって「ウソ泣き」がしたい

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おはようございます。

朝焼け、晴れ空の朝。お天気が下り坂とか?

===ほぼ毎朝エッセー===

あるお父さんの昨日の日報にありました:
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* 週末は一番下の娘が覚えた「ウソ泣き」を何度も見ることができました。
顔とか声は泣いているが、涙は全く出ていない。。自分の主張が通るとすぐに泣き止む。
成長しているな。。(笑)
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これを読んで、「ウソ泣き」もコミュニケーション能力のひとつだということを再認識。大人でも「ウソ泣き」をするよな、と思いました。

例えば、物事を「難しい...」と苦虫を噛み潰したような顔して腕を組む。
例えば、体調不良で公のところには出られませんと隠れてしまう。

ここでふと、自分も「ウソ泣き」をしようとしたときのことを思い出しました。

事業で一番つらいことって何だと思いますか?

答えは簡単です。資金が底をつくことです。つまり、資金繰りがうまく行かなくなって給与や支払いが滞ること。今思ってもおぞましい体験です。

2005年の夏です。

インド人のKさんの9月からの入社が決定し、彼の結婚式参列しにインドまで行きました。インド式の結婚式は初めてでした。Kさんの入社で、2003年以来長いこと足踏みをしてきたCACHATTOの開発が、今後継続的に進むことが見えてきたころです。メール機能のIMAPへの対応を進めていたのですが、完成時には、大手時計会社と大手電力会社での採用が約束されていました。私はいつも希望に満ちていますね(笑)。ところが...。

「このままだと10月の給与の支払いができなくなる...」

9月頭の頃です。エクセルでグリヒョウ(資金繰り表)を作ってみて愕然としたのです。日ごとの入出金予測を一覧表にしてみると、10月の給与時点で残高が無くなると判明。そこまで銀行代わりにお金を貸してくれていた東レからも、追加融資は一切できないと宣言されていました。そして、泣く泣く社員に10月の給与を11月頭に遅配させてもらうことを決めたところでした。

「東レが関連している会社で給与の遅配はしてはいけません」

当時は東レが50%の株主でした。給与の遅配の話をしたところ、このような指示を受けました。そうは言っても、無い袖は振れないです。日々ポストに入る「無担保500万円」のサラ金のハガキが気になって仕方がありません。東レ側は融資には一切動いてくれません。

資金繰りが経営者の大きな仕事だとは聞いてはいました。でも、そこに実際至ると、何とも抜け出せない気持ちがするこの状況は耐え難いものがありました。いっそ、体が壊れて倒れてしまいたいと思うような状況でした。大人の「ウソ泣き」でもいい。ところが、いくら寝なくてもお酒を飲んでも、倒れるようなことは起きませんでした。基本的に体や精神が強いのですね。

さて、くよくよしていても始まりません。大人の「ウソ泣き」はできないのです。何とか状況を立て直すしかない。それにはどうすればいいか。

ひとつは、大手時計会社に掛け合ったのです。注文を2ヶ月はやめてくれたら、20%価格を引くと持ち込んでみたのです。もう一つは、知人の社長さんに、代理店契約をしてもらい、CACHATTOの前買いをしてもらうこと。つまり、将来売れる分のお金を先に払ってもらうということでした。

で、大手時計会社は?

担当者は上司に掛け合くれました。上司曰く「そんな危ない会社の製品を買うことはできないな」と、藪蛇でした。計劃通りの注文スケジュールで行くことになりました。残念ですがごもっともです。

で、知人の社長さんは?

「この手のことは取締役会を通さないと決められませんね」とのことでした。ただ、取締役会を通してくれて、彼らがパッケージ製品の再販事業を立ち上げる、その目玉としてCACHATTOを取り上げてくれたのです。500万円の前買いをしてもらいました。そしてすぐの入金。ギリギリ10月の給与に間に合ったのです。

さらには、11月、大手時計会社から注文が入りました。予定よりちょっと早めです。そして、請求書をすぐさまに出させてもらうと、なんと、入金がすぐにあったのです。信じられませんでした。担当者が、何も言わずに、裏で入金を早める手配をしてくれていたのです。

これで年度末までなんとか食いつなぐことができるようになりました。そして年度末、大手電力会社からの受注があり、2005年度はギリギリの黒字決算。確か20万円くらいの黒字だったと記憶しています。

「マイナスではなくプラスゼロだ!」と喜んでいたら、ある社員が言いました。「この人数で1年間あれだけ働いて、うちの田舎の鉄工所より儲けが少ないなんて」。いよいよ事業が立ち上がるぞ!そう思っていた時期ですね。6億円の借金をその後どう返済していくかなんて、ビジョンは全く見えていませんでした。私はいつも希望に満ちていますね(笑)。

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