熱意は継承する
おはようございます。
曇り空、薄日の静岡県。東京に戻る新幹線の中です。
===ほぼ毎朝エッセー===
昨日は機会をいただき、20年ぶりに前職時代に勤めていた工場の訪問ができました。最寄りの名鉄の駅、太田川も大きく変化していて、まるで位置関係が分からず。工場の中も建屋が増えたり、工場の中も知らない人が殆どで、時の流れを感じました。
自分は前職、ケブラーという繊維の用途開発をやっていました。工場にいながらケブラーが沢山売れるための新製品や新加工手段を開発していたのです。その時に工場全体でかなり頑張って作った製品と用途がありました。
従来なかった製造技術と全く新しい機械での加工技術との組み合わせ、かつ、お客様との素晴らしい技術の組みまわせで完成したものです。その開発物語は小説にしたいくらいです。30代半ばの頃ですね。ところが、その開発品は、私の退社後数年で別な素材に取って代わられました。内心とても残念に思っていたのですが、手出しも口出しもしませんでした。というか、退社した身分ではできませんよね(笑)。
ところが、昨日、ケブラーテクニカルセンター(KTC)を見学し、その技術が連綿と継承されていることが分かりました。開発した製造技術も、カット技術も生き残っていたのです。そして、それは全く違う用途でしっかりと使われ始めていました。
センター長には「坂本さんが残してくれた技術たちがなければできませんでした」と言ってもらいちょっと嬉しかったです。ただ、実際に内容を聞いていると、その技術の上にさらに新しい技術が積まれて、かなり難しい内容が実現されていることも分かりました。
そこで思ったのですね。
「技術は連綿と続くのだな」、「こういうことが数十年単位で起きる素材産業って奥深いな」と。ただ、もっとすごいと思ったのは、自分が当時持っていた熱意を、その後輩たちが継承してくれていたことでした。
熱意は、正しい人たちに伝われば、見事に継承されるようなのです。
PS:
そして、もちろん、お仕事もしましたよ。
工場では、今のうちの新製品を使った実験を検討してもらえそうです!