組織で人の望ましい行動を引きだすための科学的アプローチ
おはようございます。
8.5℃ 1012hPa @5.15am。今朝の千鳥ヶ淵の桜は満開っぽかったです。
===ほぼ毎朝エッセー===
オーディオブックで本を聴いて位います。"Bringing out the Best in People"。英語の本なので、読むより聴く方がテンポよく頭に入ってきやすいです。ここのところ運転中や運動中に愛用しています。
この本は、組織における人の行動を、どのようにしたら、より望ましくできるかということに科学的なアプローチを試みています。簡単に表現すると、人の行動は、行動前の情報と行動をした後に得られるフィードバックとにより、促進も抑制もされるとのことです。
行動前の情報とは、教育やルールなどに代表されるものです。構成メンバーに事前に知っておいてもらうことたちです。ところが社会は「分かっちゃいるけでどできない」ことだらけです。事前情報の教育で行動が制御できるのであれば、社会的問題などは無くなります。タバコやお酒依存、肥満などは起きないはずですよね。
一方、人の行動に大きく影響を与えるのが、行動をした以降のフィードバック(反応)だというのですね。これは、大きくは、無反応、悪い反応、いい反応の三つに分かれます。多くの組織では、行動をした人に返ってくるのは「無反応」です。よほど不都合なことがあれば「悪い反応」がある。そして「いい反応」は滅多にないのです。
人が何かをやっても周りが「無反応」なのは、長期的にはその行動をディスカレッジしていきます。「悪い反応」としての、懲罰や叱りは、その行動を自粛させる効果があります。ただし、懲罰を与えたり叱ったりする人が、そこにいなければそれは効果が出なくなります。
一方、いい行動を引き出す効果が高い、周りからの「いい反応」はとても少ないです。殆どの組織でマネージャーが、「いい反応」を必要だとすら思っていないのが実態でしょう。誰かがいい行動をしたときに、周りが「いい反応」をするということが、そういった行動をエンカレッジして、次の機会に同じことをする可能性が高くなるのです。
行動を起こした後の反応は直後から1日以内、あるいは行動を起こしている最中の方が効果的です。月次、四半期、半期、年次で、いい反応をしたところで、それはその行動を促すような効果を出しづらいです。だから、ボーナスや査定、社長賞などは、会社が思っているほど、人々の日々の行動から、望ましいものを引き出せないというのです。
「人が望ましい行動をしたときには、いい反応や悪い反応を迅速に返す」
これがマネージャーやリーダーに与えられた大切な仕事なのだともいえるでしょう。反応とは、ちょっとしたお礼なり、目くばせなり、不愉快な表情なり、笑顔なり、動物的なところのものもあります。さらには、社内SNSなどで皆が書くコメント、あれも実はとても大切なものなのです。
望ましい行動をエンカレッジする。望ましくない行動を軽く注意する。こういったことが迅速に、最大1日で戻ってくるということが、組織メンバーの行動を大きく変えてくるのです。組織メンバーが望ましい行動をしてくれるからこそ、事業は望ましい結果を出してくれるというものです。
2004年以来14年間も、私が皆の日報にコメントを返してきた【朝メール】という仕組みには、そうとは知らずにいたのですが、事業を良くしてきた理由があったのですね。科学的根拠を得ることができて、私としてはとてもエンカレッジされました。次にお願いしたいのは、リーダー層に積極的に「いい反応」をしてもらいたいです。そして、「いい反応」と「悪い反応」の比率は、4:1程度でいいそうです。「いい反応」ばかりでいるとその効果も薄らいでくるからです。