屋久島の雨中登山でもスイッチが入った体験
おはようございます。
17℃、1018hPa @ 5.30am。気圧が高いとお天気がいいという通説とは逆の傾向。東京は冬も気圧が低い方が晴れていることが多いです。7:34現在、外は雨。気圧を計ると1020hPa。かなり高いです。不思議です。
===ほぼ毎朝エッセー===
先週金曜日にお休みをいただいて屋久島に行ってきました。屋久島には九州最高峰の宮之浦岳という山があります。1936m。日本百名山の一つに入るという、世界遺産に指定されている地域です。会社の同僚と熊本にいる友人との3人での、年一九州登山の一環です。
屋久島の雨は、「1年間に400日」とか「1ヶ月に35日」とか言います。実によく降るのです。土曜日の早朝、雨が降る中スタートしました。宿と車を出るまで、そして登り始めてしばらくは、雨が憂鬱で何度も早いうちに引き返そうかと、気持ちが沈みました。
片道8キロ。往復16キロの行程です。1キロ進むたびに「16分の何キロ!」と、励ますように声を上げるのですが、なかなか気持ちが盛り上がりません。雨が降っていると、山の岩や木の根がやたらとすべるようになります。そこに気を使いながら歩くのも面倒です。ひたすらによく降る雨。登山路にも小さな川のようなものができているところも多いです。
次第に雨が雨具を通して体にしみこんできます。3時間も経ったところでしょうか、ついにやってきました。靴の中に水が浸透してきます。靴下が水を含み、靴の中でジュポジュポいい始めました。まだ山頂までは三分の二程度しか進んでいません。途中、珍しい動物に遭遇するようなこともありましたが、何せどこもかしこも濡れているので、休憩しても腰かけることもできません。ずっと立ちっぱなしです。
ジュポジュポいう足の感覚を味わいながら、体力の消耗が激しいことを考えていたあたりでしょうか。突然、雨がまるで気にならなくなりました。どこかで雨を防ごうという気持ちがなくなり、どちらかというと気にしない、という心の状態のスイッチが入ったのだと思います。
それからはいつもの登山と一緒です。一歩一歩上がっていくのが楽しいのです。雨に濡れる木々や小さい川たちなどの景色も楽しめるのです。
登り始めて5時間くらいでしょうか。山頂につきました。風が吹き荒む中での山頂ですが、ゆっくり腰かけることもできません。そのうち体がガタガタと震えているのに気が付きます。「体が発熱しようと頑張っているんだ」。そう思い、下りに転じます。
雨の中の登山、普通の状態ではなかなか選ばないケースです。ところが今回は屋久島という場所柄、好き嫌いをいうことはできませんでした。大人しくしていても良かったのですが、それではいわゆる達成感というものが得られません。
今回学べたのは、一見苦行に思えるようなことも、雨のことを厭わない心境になると、普段の登山と同じ達成感を覚えるのだということでした。50過ぎに始めた7回目の登山、自分としては大きな発見です。つまり、よく仕事上で言っている、嫌だ嫌だと腰が引けているうちはダメで、どこかで嫌な要素を気にしなくなると、スイッチが入る、その体験の登山版だということです。
ちなみに、登山をした翌日未明、その登山口や縄文杉に至る唯一の道が土砂崩れで通行止めになったそうです。それほど雨が降っていたわけです。道路もあちらこちらが川状態になっていました。よって、日曜日には縄文杉観光は打ち切り、そして、数多くの小屋で宿泊をしながらいた登山客は、登山口に戻っても戻れないでいました。さらには携帯電話が全くつながらない山なので、きっと連絡も取れない状態でいるはずでした。無事の下山を祈っています。