アジアに展開も苦戦、甘いビジネスは無いと思う
おはようございます。
今朝3時に温帯低気圧に変わった台風13号。東京地方への雨の影響は今のところ少なく、薄日が射す中での通勤となりました。
===ほぼ毎朝エッセー===
□□甘いビジネスは無いと思う
シンガポールに子会社を創って早2年以上が経過しました。日系企業を中心に展開すれば、日本での実績を元に、アジア各国でのビジネスが比較的容易に取り込めるだろうという仮説を持って海外展開を始めました。
ところが蓋を開けてみて2年、どうやら仮説は正しくなかったようです。先日のグローバルビジネスグループの月次報告会でグループリーダーのTがビジネスモデルの変更を提案していたのですが、その際に示されたデータを参照しましょう。
各国で2年間で150社ほどを訪問。
・シンガポールで60社
・タイで20社
・中国で20社
・インドネシアで5社
・マレーシアで3社
・英国で2社
そして結果的に採用されているのはこれだけです。
・シンガポールで6社
・タイで1社
・中国で8社
・マレーシアで1社
・英国で2社
ゼロではないのがある程度の慰めにはなりますが、ビジネスとしては全く採算ラインに乗っていません。お金を使うのは簡単だけど、いただくのは至難の業、このことを再確認しているような気持です。国内でもCACHATTOが当初は全く売れず、かなりつらい時期がありました。
海外では、CACHATTOの日本での実績を元に、「現地法人も同じソリューションが必要だろう、比較的容易に採用してくれるだろう」との考えで、日系企業への販売を中心に試みてみました。結果的には、次の要因で受け入れられませんでした。
・セキュリティが低い(低いままスマホが大普及してしまった)
・BYODはまだまだ (幹部社員への端末供給、現地社員は無し)
・日本本社は現地支社をほとんど統制できていない
・ITの管理をする体制が手薄
これらのことにより、現地でいくらセキュリティ的な啓蒙をしても、担当者がCACHATTOを独自の技量で採用するだけのエネルギーレベルになかなか達しないのです。
一方、現地の人たちと膝を付け合わせて話し合いをした結果、別なニーズに気が付きました。CACHATTOのセキュリティではなく、利便性を中心とした機能にです。
そこで、ファイルサーバー閲覧に特化させたNinjaConnectという製品を考案し、開発をして今年から提供を開始しました。今後、VPN無しでもつながるというポイントを利便性の面からアピールできそうです。
一方、CACHATTOはCACHATTO Desktopという製品がVer.2でようやく、いい感じの使い勝手になり、このあたりも現地でのアピール力を大きくしました。電波環境が悪い状態でも使えるところ、ログインIDを変えれば、パソコン共有環境が簡単かつ安全に作れるところ、各種ポータルにシングルサインオンでアクセスさせることができること。
アプローチ先も、現地企業とのネットワークを拡大することで徐々に変わりつつあります。上記の「従来に無かった」製品の魅力が現地企業にアピールできてきています。
では、現地企業とのネットワークをどうやって作っているのか?
これも大きな課題だったのですが、上記のグループリーダーTを、新しい社内教育制度を創って、ハーバードビジネススクールのエグゼクティブコースに派遣したことにより、HBSの名簿によるアプローチができるようになったのです。
卒業生がお互いに助け合おうという考えが強い学校ならではのメリットです。各国での彼らのネットワークのお蔭で、適切なパートナーとなりうる会社が広がっています。マーケティングコストと考えれば、ビジネススクールへの短期派遣も悪くないかもしれません。
仮説を立ててアプローチをして、失敗した。では次にどうするか?そう、次なる仮説を立てて、別なアプローチをするしかありません。何がどうつながるかも、「やってみなければわからない」というところがあります。不屈の精神で展開していく。それしかありませんね。