人間の脳における時間的概念の盲点
おはようございます。
2.5℃@5.45am、意外と冷えています。
===ほぼ毎朝エッセー===
□□組織全体で茹でガエル
変温動物のカエルは、ビーカーに入れて水からゆっくりと温めると温度変化に気が付かず茹であがってしまう、一方、お湯に入れるとビックリして飛び出してしまう。「ベイトソンの茹でガエル」という実験だと言われますが、よく、組織論でこの比喩が使われます。
ところで、この茹でカエル、本当でしょうかね?実際には変温動物であるどじょうも、豆腐と一緒に煮ると頭を豆腐に突っ込んでいることから、変温動物でも温度の変化に気が付いているはずです。きっとこれは実験というよりも想像からの寓話でしょう。
何はともあれ、ゆっくりした変化には気が付きづらいという人の性による危機を示しています。以前に、ちょこっと触れたことがありますが、これは、人の脳の時間をつかさどる場所が、瞬間、一日のリズム、そして長期的記憶と、3か所に分かれている故、その間に位置する、中期的な変化を見つけ出すのが苦手だからだと考えています。
中期的な変化を見出すために、人は記録という手段を編み出したのでしょう。日々の記録、グラフ化、その変化を見出すことによって、時間的概念の盲点を克服するのです。
この1月、Yさんには、試用機貸出の記録を過去2年分さかのぼってレビューしてもらいました。データを拾うという地道なタスクなのですが、それまで毎月報告されていた「試用機貸出成約率」という数字が、意味をなしていのではないかと疑ったからです。
「試用機貸出成約率」は、複雑な計算式で出てくる数字だったのですが、複雑がゆえに本来の知りたい情報が欠けていたのです。また、報告されているから良しとするマンネリ化のワナもありました。
実際に、レビューをしてもらい、簡単な手法で数字を見直したら、試用機貸出の実施数が極端に悪化しているということが判明しました。それを急きょ社内で共有ました。すると、データは語るもの。試用機貸出が活性化して、年度末の効果もあるのでしょうが、新規案件成約数が一挙に元気になってきました。
このことを通じて、中期的な変化を見る能力、それは、人がそもそも苦手としている要素であるということを再認識しました。数字化すればいい、報告すればいい。その数字が変化していなければ気が付かない。こういった間違った指標によるミスリードも怖いです。
だから、地に足をつけて、自分が納得できるようなものにして記録する。その記録の変化を見て状況の変化を感じ取る。そういったことが、改めて大切なのだということですね。