「緊張する」ことと「上がる」ことの違いへのヒント
おはようございます。
晴れ空。今朝の天気予報によると土曜日は15℃まで上がるとか?
===ほぼ毎朝エッセー===
新卒の人たち、不思議な緊張感とともにやってきます。うちの会社では4月入社にこだわっていないので新卒の人たちがいつもどこかにいる状態です。初々しくていいですね。でも、緊張しすぎでずっと縮こまっていたらもったいないです。そういうときには理由を考えてみましょう。
「バドミントンだったらどういう相手でも平気なのですが、先生とかよく知っている人とかが見きていると思うと緊張するかも知れません」。先日、10月入社のOさんとのTMC(10分間面接)で彼のバドミントンにおける体験談からヒントを得ました。
そうそう。どうやら緊張するときには「人目の要素」の影響がありそうです。そこで思い出した自分が新人だった頃のお話があります。
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自分は新社会人の頃、ケブラーというアメリカのデュポン社が開発した繊維を日本で用途開発して販売する部隊にいました。機械工学出身の技術者として入社したのですが、最初から販売部隊に近い技術サポートという仕事だったのです。
そこでは、アメリカから技術者を招請し、日本の顧客訪問をしながら、しっかりと顧客の技術者とのディスカッションをするというようなことも大切な仕事でした。
指導員になってくれた先輩技術者は、同じ機械工学出身だったのですが、その後すぐにアメリカでMBAを取得し、さらにデュポン社の研究所にしばらくいたという人、英語も技術もバリバリな人でした。技術用語の通訳などもバッチリで、あこがれたものです。
そのような中、千葉県にある会社の研究所に光ファイバー用途での打ち合わせで行きました。こちらからはアメリカからの技術者、営業部長と担当、技術部長、先輩指導員、そして自分。先方からは10名を超えるような人たちが集まった場になりました。
「坂本っちゃん、今回は通訳やってみるか!」と、先輩指導員に背中を押されて通訳さんデビューをしたのです。
緊張感を迎えた当日、直前にこっそりと営業担当から耳打ちされました。「向うにニューヨーク駐在が長かった人がいるからね、しっかり頼んだよ!」と。その途端に妙な緊張が始まりました。頭のなかは真っ白に。いわゆる上がった状態になったのでしょうか。通訳をする場では、しどろもどろ。先輩指導員に助け船を出してもらいながらしのいだものの、汗は出るわ、何を話したか覚えていないわ、散々でした。
そして面白いと思った体験が、同じツアーでその翌々日のことです。その日は兵庫県の山奥にある会社の工場現場に出向いての技術会議がありました。ローカル線を乗り継いで、如何にも風光明美な場所。
同じように通訳をしたのですが、ここではバッチリでした。なぜならば、如何にも英語とは無縁そうな人たちの前での通訳だったので、緊張感はあったものの上がりは無く、ある意味とても楽でした。
工場見学のときには「通訳さん、通訳さん」と手招きで呼ばれ、「自分は技術者で通訳さんじゃないんだぞ」と内心憤慨しながらも、我ながら見事にスムーズに通訳ができたのです。きっと上から目線だったのでしょう。人間ちっせー!
「上達したねぇ。まるで別人だったなぁ」と、その日は技術部長からもたいそう褒められました。
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はい。どうやら人目によって「緊張感」が「上がり」へと変質したのでした。
つまり、人目を意識すること、つまり自意識が高まることが、上がりの要素を引っ張りやすいようなのです。
ありますよね。「いいとこ見せよう」として失敗する経験。緊張感を持つことはとても大切なのですが、人の目を意識しすぎると「上がり」の要素が引っ張り出されて失敗しやすくなる。他人にどう見えるかを意識するのっではなく、自分の目の前のことに集中するというのが解決策でしょう。
緊張しそうになったら、人目を意識している自分に気づけばいいのです。もっとも、それが簡単ではないので普段の鍛錬をしておくわけですね。
人間って面白いです。