組織に合わせて人を配置するのか、人に合わせて組織を作るのか
★大企業では、その役職の人が来たからと、新たな組織ができることがあります。例えば、部長職の人が一人増えると『第二営業部』なるものができたりします。社員として働いていたときには、機能性で組織が決まるのではない、そこにいる人のために組織を作るということには、いわゆる『理不尽』さまで感じていました。今回は、その根底にある思想について考察します。
【朝メール】20090605より__
===ほぼ毎朝エッセー===
□□適材適所
昨日、松下幸之助のPHP本が本屋に置いてありふと手にしてみます。パラパラとめくっているとそこの一文に目が留まりました。『人に合わせて組織を変える』というタイトルがついたところです。引用してみます。
以下引用==>
よく、企業経営においては、一人ひとりの人を中心に考えるべきか、組織を中心に考えるべきか、といったことが問題になる。組織を変えて人を使うか、組織はそのままにしておいてそれに合う人をもってくるか、ということだが、ある場合には組織をとる。ある場合には人をとる。現実の問題としては、やはりケース・バイ・ケースであろう。
しかし、それでも私は、どちらかといえば人のほうが大事だと思う。人によって組織を変えなければいけない。組織はある程度自由に変えられるけれども、人は自由に変えるわけにはいかない。同じような人は一人しかいないのだから、その人を活かすためには、この組織ではいかんということになったら、その人に向くような組織をつくったらいい。少なくとも人を使い、人を育てるということのためには、そこまで徹しなければいけないと思う。
<==以上引用終わり
そして、面白い事例が本の別なところに書いてありました。
以下引用==>
何かでこんな話を読んだことがある。楠木正成の家臣に、泣き男といって、非常に泣くことの上手な者がいた。彼が泣くとまわりの者までがつい涙を誘われてしまうので、他の家臣は彼を家中におくことをいやがった。しかしある戦の折、正成は自分が討死にしたように見せかけ、その男に僧の姿をさせて、いかにも悲嘆にくれて菩提(ぼだい)を弔(とむら)っているようなふりをさせた。その泣き方がまったく真に迫っていたので、敵方もすっかりそれを信用し、正成は戦死したものと安心してしまった。そこを見すまして正成は不意打ちをかけ、大勝利を得たというものである。
泣き男などという、およそ武士にはふさわしくない家臣でも、それはそれとして認めて、そのうえでその持ち味を活かした作戦を考え、戦果をあげたわけである。そういうところにも正成の名将たるゆえんがあったのではないかと思うし、またそれはすべての人をあるがままに認めて適切な処遇によって活かしていくという人間道の考え方に通じるものだといえよう。
<==以上引用終わり
個性豊かなエネルギッシュなメンバーの集合体である、我々の一つの組織の作り方なのではないかと、とても面白く立ち読み読みました。思わず買ってみると500円。それも松下幸之助の肉声入りCD付きです。なんだか得した気分になりました。
★ちなみに、そのCD、その後半年ほど経ちますが一度も再生していないです。。
★会社においては、冒頭に書いたように、その位の人が増えたからと言って、部署を増やすようなことをするのはやはり疑問ですが、そこにいる人たちのタレントを最大限に活用するということは大切な考え方だということですね。組織は、そこにいる人たちの特徴を最大限に活用するということも忘れてはいけない視点だと学びました。