[水PPP事例] バーレーン第二の都市Muharraqの下水処理プロジェクト
Day Pressという中東メディアの記事"A golden era in the Middle East"によると、中東では水関連のPPPプロジェクトが多数動き出しているそうです。そのなかでも特に数多く報道されているバーレーン王国第二の都市Muharraqの下水処理プロジェクトを取り上げます。
このプロジェクトをまとまった形で紹介している資料が見つからなかったため、細かな情報を組み合わせています。
■Muharraq wastewaterプロジェクトの概要
・バーレーンにおける最初のPPPプロジェクト。第二弾としてTubil下水処理プロジェクトが控えている。
・下水用幹線路、集水網などの下水処理施設を新設。
・1日当たり9〜10万立方メートルの処理能力で開始、5年以内に16万立方メートルまで拡張。
・延長15kmの下水用高深度トンネルの建設を含む。
・総額2億5,000万ドル。
■発注者
・バーレーン王国Ministry of Works
■優先交渉権獲得グループ
・Samsung Engineeringと英United Utilitiesの合弁会社。
・同合弁会社が提示した条件は、1立方メートル当たりの下水処理コストが1.459ドル。これは次点のスペインAccionaグループよりも0.152ドル少なかった。
・Samsung Engineeringは他にもアラブ首長国連邦のICAD Industrial Wastewaterプロジェクトを受注しているが、他の国際事例は同社サイトで公開されている資料には存在しない(最近、国際展開に注力開始?)。
■PPP関連事項
・いわゆるBOO(Build, Own and Operate)型のPPPプロジェクト。契約期間は25年(一部報道では27年)。
・入札資格は1件以上の下水処理施設の開発、所有、オペレーション、メンテナンスを行った経験がある企業。
・バーレーン政府は2009年2月に入札資格を16グループに付与。グループのリストはこちら。その後7グループに絞り込み、最終的にSamsung EngneeringとUnited Utilitiesの合弁会社に優先交渉権を付与。現在、詳細条件を交渉中。
・バーレーンの財務省(Ministry of Finance)はリーガル面で法律事務所Norton Rose、ファイナンス面でHSBC、技術面でFichtnerをアドバイザーに起用。
・バーレーン財務省は、当初の受託民間企業グループが100%のファイナンスを行うスキームを、25%は政府拠出のスキームに変更。入札者にインセンティブを与えた。(リーマンショックの影響が軽微になってきたことから条件変更を行った模様)
■同プロジェクトの特徴的な部分
・2008年7月にこのプロジェクトの入札条件が公開された際には、ファイナンス面のアドバイザーであるHSBCが各国の当事者に呼びかける発表を行っている(Bids invited for Muharraq sewage plant)。
■気づいた点など
・HSBC Bank Middle Eastがリードコンサルタント役を果たしており、入札を希望する企業などはHSBCをコンタクト窓口としてやりとりをするようです。