オルタナティブ・ブログ > 色々やってる社長のブログ >

我が国は現在、閉塞感が漂っているとよく言われていますが、実は、よく観察すると、新しいビジネスチャンスがあふれかえっています。それを見つけて、成功させるコツとヒントをご紹介します。

不思議な日本人の宗教観~こっそり根強いアニミズム信仰

»

今回は日本人の宗教観のお話しです。
日本人に貴方の宗教は?と尋ねると、「無宗教です」と答える方が圧倒的に多いようです。少々古いデータですが、2018年NHK放送文化研究所が実施した「信仰している宗教は?」という質問において、なんと64%の人が無宗教との結果が出ました(仏教31% 神道3% キリスト教やその他:少数)。また、信仰心があると答えた人はわずか26%との結果が出ています。
これを見る限り、多くの日本人は宗教に興味がない、関心がないと思われがちで、欧米人の知人など話していると「日本人の宗教はよくわからないね」などと不思議がられるところかなと思います。
しかし、実際のところは、日本にはアニミズムという信仰が強く根付いています。アニミズムとは、すべての自然物や現象(山、木々、岩、滝、太陽、動物など)に霊魂や精霊が宿るとする世界観で、一般的によく使われる言葉でいえば、「八百万(やおよろず)の神」が存在するという信仰です。このアニミズムは遠く縄文時代から信仰されていると言われており、我々日本人は、1万年以上も脈々とこの思想を受け継いでいることになります。
具体例を挙げましょう。多くの日本人は、元旦の初日の出を拝もうと山や海に出かけます。また、元旦でなくても日の出を見に出掛ける人は少なくありません。これすなわち、自然崇拝、アニミズムの典型的な例です。特に、太陽を拝むことは、原始宗教そのものです。また、おそらくどんな人でも年に数回は神社に参拝することでしょう。実は、神道はアニミズムの影響を強く残しており、山・木・岩などをご神体としているところが数多くあります。私の私見ですが、一般の神社であってもご神体となっている自然物に上書きするような形で神話の神様が祭られるようになったと思われます。また、都会の中にも「ご神木」と称される樹齢の長い樹木が数多く残っています。
そのうえ、お盆になると祖先が帰って来るとされていますが、これも霊魂の存在を身近に感じるアニミズムの一例と考えられます。これまた、私見になりますが、このお盆の習慣は、アニミズムと仏教が融合した結果のように思われます。さらに、昨今では、パワースポット巡りが静かなブームとなっています。つまり、<パワースポット=アニミズム信仰の対象>となるわけです。
例を挙げてゆくときりがないので、最後に動物の例をひとつあげておきましょう。すでに日本では絶滅してしまいましたが、オオカミの語源は「大神」が有力です。つまり、長くオオカミ信仰があったということです。これはまさしくアニミズム信仰の証しなのです。

このように見てゆくと、日本人ほど信仰心の高い民族はいないのでないかと思われます。あまりに信仰対象が数多く身近にあるので、それが宗教だとは気づかないのでしょう。最初に上げたアンケートに戻りますが、本当は選択項目に「八百万の神」を加えなくてはならないのかもしれません。


さて、最後になりますが、現代の日本人のDNAのうち、縄文人に由来するものは10~20%と言われています。つまり、そのほかは"他民族"のDNAとなります。にもかかわらず、縄文人の思想が現代まで生き続けているということは、ある意味奇跡的なのかもしれません。どのようにして弥生時代以降日本に入って来た人々が縄文時代の思想を受け入れていったかは、非常に興味深いトピックスです。この件については、また改めて書きたいと思います。

22490654_50.jpg

(イラスト:yosei)

Comment(0)