増えるメディアの情報、拡大するイベント企画。気付く機会を増やそう。~日用品公害・香害(n)~
香害問題を取り上げるニュースが加速度的に増えている。ここにいたり、どうやら、追い風が吹き始めたようだ。
香害啓発の進捗については、この1年、無香害ライブを目指すギタリストの闘いを追う「6弦のカナリア」の中で、取り上げることが多かった。だが、今では、ライブレポートを超える情報量になりつつある。そこで、2023年11月以降は、「日用品公害・香害」シリーズの中で取り上げる。
facebookやXに投稿された公開情報をもとに、ここ1カ月ほどの状況を追ってみた。本ブログは、まとめ記事にすぎない。さらに詳しい情報については、「香害をなくそう」facebookページおよび、「不安虫(FAN-CYU) 過敏症・香害を正しく知る委員会」Xのページ、「香害図書館」ウェブサイトを参照してほしい。また、毎月第一土曜日に、「X」内を、「#香害は公害」で検索すると、香害に苦しむ多数の生の声を聴くことができる。
10月12日(木)、17時20分頃から約10分、朝日放送テレビ「newsおかえり(関西のみ)」の「トレンド 」コーナーで、香害問題の特集。 「洗剤・柔軟剤や香水で・・・"香害"に悩む人たち、『オフィスがつらくて会社辞めた』『学校で体調不良』大人子ども問わず生活に支障 専門家の見解は」
翌10月13日(金) 、10月12日分の番組が配信された。
10月12日(木)、北海道新聞に、小児科医・渡辺医師の講演会の記事。「『香害』が大半 化学物質過敏症 柔軟剤、シャンプー...消臭ブームの陰に 小児科医・渡辺さん札幌で講演」
10月14日(土)、読売新聞夕刊「教えて!ヨミドック」コーナーに、香害の記事。28日に公開されている。『においで体調不良になるの?』『洗剤や香水で頭痛、動悸』」。
10月17日(火)、日本経済新聞の社会・調査コーナーに、「その香り、私は苦痛...柔軟剤など『香害』に配慮促す動き」。
10月19日(木)、山梨県エリアのラジオ放送「FM FUJI」の番組「Bumpy」内のコーナー「CLOSE UP TODAY」(毎週木曜、17:35~)で、「化学物質過敏症の基礎知識 患者数は100万人を超える?」が放送された。
10月20日(金)、朝日新聞京都版に、日本消費者連盟のリーフレットの紹介記事。朝日新聞デジタルで読むことができる。「マイノリティーの困りごとは? 京都府立清明高校で生徒がスピーチ」
11月2日(木)、13時30分~15時30分、東京都豊島区にて、豊島区消費生活講座として、香害講演会が開催された。テーマは、「身の回りにあふれるにおい-私たちの暮らしと香りの深い関係」。講師は、新潟大学非常勤講師の平賀典子氏(日本消費者連盟・洗剤部会、香害をなくす連絡会)
11月6日(月)、世田谷区で、「2023 せっけんフォーラム」開催。主催は、生活クラブ東京。「お医者さんに聞く!広がる化学物質過敏症について」と題して、ふくずみアレルギー科の吹角医師による講演が行われた。zoom参加も可能で、多数が視聴した。
11月8日(水)、時事通信社のメディア『時事ドットコム』に、『その香りに悩んでいます...職場の「香害」どう伝えたら?我慢で過敏症も』
11月11日(土) 、13時30分から16時00分、北海道札幌市の共済ホールで、「香害・化学物質過敏症に関する啓発講演会」が開催された。主催は、シャボン玉石けん。無料で、650名を見込んでおり、多数が参加したもよう。映画「カナリアからのメッセージ」の上映、渡辺一彦小児医院の渡辺一彦医師の講演、「シャボン玉石けん」森田社長と「お菓子のふじい」藤井千晶氏を交えてのトークセッション。録画は、Youtubeで公開されている。渡辺医師は、「香害は最大級の公害」と言い切った。ぜひ視聴してほしい。
11月11日(土)、12日(日)、熊本市男女共同参画センターの「はあもにいFESTA」で、「啓発展」が開催された。主催は、患者会「くまもとCSの会」。
11月13日(月)、15時49分から、CBCテレビ「チャント!」で、化学物質過敏症の特集。早稲田大学・大河内博教授を取材、マイクロカプセル香害を取り上げた。配信を是非ご覧ください。「【化学物質過敏症】香り成分で体調不良に...【チャント!特集】」
11月16日(木)、「Tウォッチ公開オンライン講座2023」の第2回、10:00~12:00。「香害・化学物質過敏症問題を考える」北條祥子氏(尚絅学院大学名誉教授)。
主催は、特定非営利活動法人有害化学物質削減ネットワーク(Tウォッチ)、無料。
香害健康被害者が、家族で始めたイベント企画は、来場者の共感を呼び、全国開催へと拡がりをみせ始めた。
9月21日(木)~10月31日(火)、中央大学多摩キャンパスで開催されていた、パネル展「化学物質過敏症・香害・SDGs」は、好評のうちに終了。続々と閲覧者が詰めかけ、多数のメッセージが寄せられ、SNSで共有、拡散されている。10月11日、毎日新聞 地方版に、紹介記事が掲載されている。
これと並行して、9月11日~10月5日の25日間、京都市下京いきいき市民活動センター 1階ロビーでも、パネル展が開催された。朝日新聞デジタル の医療サイト「朝日新聞アピタル」に、企画者を取材した記事「化学物質過敏症の女性、実態伝えるパネル展 下京で」が掲載されている。
11月7日から12月21日までは、東洋大学白山図書館で、第11回 世界人権宣言75周年」の節目に、参加型パネル展示「知ろう・考えよう 人権」のコンテンツとして、「化学物質過敏症・香害・SDGs」展が開催されている。香害と化学物質過敏症についての疑問に答えるかたちで、情報が整理された「~情報を調べる・考える~ 化学物質過敏症についてのよくある質問を例に」を、ぜひ一読してほしい。
11月23日から来年1月8日まで、京(みやこ)エコロジーセンター 1階 展示室でも、「香害」について当事者が紹介するパネル展―共同主催型企画展示「「香り」が「害」って何だろう?展〜化学物質過敏症・香害・SDGs〜」が開催中だ。11月23日(木・祝)~ 2024年1月8日(月・祝) 9時~17時(休館日を除く)。無料。エコクリーニングの冊子が用意されており、自由に持ち帰ることができる。近畿圏にお住まいの方、ぜひ、足を運んでみてください。皆さん自身でなくとも、同僚や家族や友人の中に、香料や除菌抗菌剤などの化学物質に困っている人、苦しんでいる人はいないだろうか。思い浮かべてみてほしい。
同イベントの企画者は、各地の香害啓発イベントに、パネルの貸し出しを開始している。
11月5日、「国分寺祭り(東京都)」に、パネルを提供。
11月11日(土)、第31回国立市消費生活展(東京都)にも、パネルを提供。
同日千葉県市川市で開催された、「アレルギーライフ展inいちかわ 〜アレルギーとワンランク上の日常生活〜」にも、パネルを提供。化学物質過敏症の手前で、アレルギーに悩む人は多い。市川市が後援。
11月25日からは、大阪府で開催される「PARKJAM2023 リレーマラソン in 長居」で、パネルが展示される。
これらのイベントは、公的色彩が強いだけに、住民への波及効果が期待される。
下のポスターは、京都市立芸術大学の学生がデザインしたものだという。IT業界には、ねこの飼い主、いや、ねこが飼い主である人が多い。香害は、彼らの健康をも蝕む。まだリスクについて知らない読者は、日用品を見直して、健康的に暮らせる環境を整えてほしい。
こうした香害問題への関心の高まりを背景に、過去のニュースが見直されて、再び、拡散している。
たとえば、日本経済新聞、2022年9月29日配信の記事、「シャボン玉石けん、生活排水の環境及び生物への影響に関する実証実験プロジェクトの調査結果を発表」。
また、同紙の過去記事「その香り、私は苦痛...柔軟剤など『香害』に配慮促す動き」
啓発者も、増えている。2022年8月に発足した、超党派の「香害をなくす議員の会」の参加者は、2023年11月時点で、115人となっている。
香害健康被害者たちは、自治体への情報提供や請願を活発化。これに応える自治体も増えつつある。
霞が関へのダイレクトな訴えも奏効しつつあるようだ。ひと昔前には考えられなかった直訴に近いかたちでの啓発が、ネットの普及によって可能になったかたちだ。医療従事者の啓発者が衆議院議員にアクセスして窮状と改善を訴えたところ、ヒアリングにこぎつけたという。国としては「中枢神経感作」による症状のひとつとして、獨協医科大学研究班で研究を進めているとのこと。一方、消費者庁は、自治体に寄せられた健康被害の訴えをまとめているという。だが、臭気や原因物質が多岐にわたり、因果関係を特定できない状況があるようだ。
「化学物質過敏症」の中には、同一の症状であっても、原因の異なるケースがある。この数年、香害を原因またはトリガとする発症者が増えており、シックハウス由来の発症者が多かった従来の枠組みでは、語ることができない状況となっている。自らの症状は中枢神経感作では語れないとする発症者も複数いる。これについては、「日用品公害・香害(n)」の中の、「「化学物質過敏症」と呼ばれる病。その光と影」、前編、後編 も参照してください。
引き続き、近日中に、「6弦のカナリア」最新ライブ情報をお届けします。こちらも、ぜひご一読を。