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マスクが店頭から消えた、もうひとつの、ちょっとした理由。

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以前、日々の納豆を買いに行ったら、スーパーの棚が空だったことがある。
前日にテレビで納豆が健康によいという番組をしていたのが原因だったと後に知った。
短期間で消費が拡大すれば、商品は店頭から消える。

マスクも、しかり。

では、もし、国民全員が、平時から、2週間分のマスクを備蓄していたなら、どうなっていただろう?
ドラッグストアへ駆け込むひとが続出しただろうか。
十数年前から備えていた筆者は、自世帯用には1枚も買っていない。長期化を見越して、サージカルマスクは高齢者の身内の通院介助に備え、普段はワイヤー入り布マスクを洗いながら使っている。

コンスタントな需要があるか、あるいは、徐々に消費が拡大する程度なら、卸業者も店舗も自治体も、需給調整の余裕ある展開となっていたのではないか。
逼迫した需要がなければ、転売屋も動きはしないはず。

パンデミックのために2週間分の備蓄を、という公の呼びかけは、数年以上前からあったと記憶している(リンク先ページは失念)。その情報が、広く知られていなかったのが原因なのでは?

......と、おもって確認してみたら、あれ?あれれ???
非常用品リストの中に、マスクの記載のないケースがあることに気付いてしまった。

【マスクの記載なし】

NHKの「そなえる防災」ウェブサイトの防災グッズリスト
消防庁「防災グッズの紹介」
防災グッズの紹介(消防庁)
非常用持ち出し品チェックシート(消防庁)

【マスクの記載はあるが、熟読しなければ目にとまらない可能性も】

「東京防災」Kindle版「備蓄ユニットリスト/生活用品」

ただし、「感染症」の項には、「マスクを着用する、ほかの人に感染させないために、せきやくしゃみが出るときは、必ずマスクをつけましょう。」の1行がある。

【マスクの記載あり】

内閣広報室「非常用持ち出しバッグの準備、できていますか?」
災害時に命を守る一人一人の防災対策(政府広報オンライン)
松山市「まつやま防災マップ」「いつも備えておこう わが家の防災セット」(風邪、ホコリを避ける、と注意書きあり)

花粉症持ちや、アレルギー持ち、香害被害者や、化学物質過敏症者でもなければ、普段はマスクの重要性を意識することなどないにちがいない。リストにあるものだけ揃えて万全だとおもってしまう可能性がある。

公共あるいはそれに準ずるウェブサイトでは、今すぐにではなくても、備蓄品リストを統一したほうがいいのではないだろうか。地震、豪雨、台風、感染症、などなど、目的別に記載するよりも、最大公約数の品目をリストアップした方が、揃えやすく、伝わりやすいような気がする。
もちろん地域によって、追加するものはあるだろう。たとえば豪雪地帯と四国では異なる。そうしたオプションも含め、各自治体も、防災マップをチェックしてみては。

すくなくとも、どのリストを参考にしても、必要なものが揃うようにしたほうがいいのでは?とおもいます。

ところで、マスクの供給不足では、医療介護従事者だけでなく、化学物質過敏症者や香害被害者(診療予約待ちや受診困難な未診断者含む)にも影響がおよぶはず。数カ月分の備蓄はしているだろうが、長期となると......彼らにとって、マスクは、命綱だ。需給バランスが崩れるリスクは、考えればわかるはず。行政は、早急な対応を。

※ちなみに、筆者ブログの古くからの読者は、備えているはず(?)。
2011年3月15日のブログで、非常用品のリストを公開しており、その中に、ウィルスカットのマスクと記載している。(リストの中には、現状に合わないものもある。今ではフリーズドライ食品が充実しているし、サバイバルナイフは刃渡りの小さい十徳でもアウトのリスクがあり、缶切り単体のほうが。)
豪雨や大型台風のように、備蓄していても、浸水する、取り出せない、という状況はありうる。それは、いたしかたない。
だが、COVID-19では、マスクは、水没も焼失もしない。備えてさえいれば、使うことができるのだ。

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