「技術立国」から、「技術哲学立国」へ、シフトせよ。 (2)「製品ライフサイクルと、データ・ライフサイクル」
原発震災により、技術立国・日本の方向性が揺らぎ始めている。
我々は何を眼差すべきなのか?
3年前に執筆した、XML設計のあり方について述べたテクストからの抜粋を、4回にわたって掲載する。
「技術立国」から、「技術哲学立国」へ、シフトせよ。 (2)
製品ライフサイクルと、データ・ライフサイクル
≪昨日からの続き≫ Web上で公開されているドキュメントやオンライン記事などのようにXML文書そのものが最終製品である場合や,XMLをデータ交換フォーマット目的にのみ用いる場合は,図2のように,データとメタデータだけで完結する。
一方,XML文書がヒト・モノ・カネといったマクロな物体の物理的な動きと連動して用いられる場合は,図3のように,「物質を表す」データがあり,そのうえに「データの意味を表す」メタデータがあるという形になる。現実には,データのみで完結するのではなく,ヒト・モノ・カネの関わることが多いと思われる。
図2 データと,データを表すメタデータ。
図3 物質を表すデータと,データを表すメタデータ。
物質が関わるケースでは,XMLデータは,実世界での物理的変化に伴い,逐次変化する。たとえば製品が入荷されたり,販売されると,<入荷数>や<在庫数>のデータが変わる(図4)。データおよびメタデータは編集・追加・削除される。
図4 XMLデータは,フィジカルな動きと連動して,逐次変化する。
製品にライフサイクルがあるように,データにもライフサイクルがある。ロジスティクスの考え方は,物資・人員・設備だけではなく,電気・磁気といった信号にも応用することができる。XMLデータの効率的な設計・生成・運用は,データ・ライフサイクルの合理化を実現するものとなる(図5)XMLは,メタデータの付加されたデータのロジスティクスを実現する可能性を秘めているのである。
図5 製品ライフサイクル(生販物のロジスティクス)と,データ・ライフサイクル(信号のロジスティクス)
< (1)「昭和のモノづくり、デジタル化の背景」 >明日に続く。
(2008年執筆、2009年10月10日発行、拙著オンラインブック「XML設計の心得」第4章より抜粋)