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生物と無生物のあいだを読んで

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遺伝子の不思議

というタイトルで以前に書きましたが、どこかで読んだというのは、この本のことだったのですね。(おそらくこの本の評価記事をどこかで読んだのだと思われます。)

生物と無生物の違いというと、この本にも冒頭に書かれているように、私の理解は、自己複製能力があるという点で止まっていたのですが、そうすると、ウイルスは、生物になってしまいますが、電子顕微鏡写真等でみるウイルスは、何かメカニカルか感じが多くて、たしかに生物(なまもの)という感じがしません。

この本の筆者が言いたかったのは、生物が持っている何かダイナミックな要素がウイルスには決定的に欠けているということですが、それを動的平衡という言葉というか概念で説明しています。

この言葉を説明するために、まず海辺の砂浜で見つけることのできる小石と貝殻との違いについて人が感じるものは、何かという問いかけで始まっています。

そして、それは、秩序がもたらす美であり、動的なものだけが発することのできる美であると。

さらに、その秩序ある状態をずっとキープするために、実は内部は、破壊と創造が繰り返されている、その状態(流れ)が動的平衡だという説明です。

それでは、なぜ破壊と創造を繰り返す必要があるかといえば、昔なつかしいエントロピーの法則だのシュレンジンガーの量子論などを絡めて説明してあるわけですが、簡単にいうと、秩序ある状態というのは、エントロピーが極大の状態であり、物質の状態としては、動きが止まってしまうことであり、生物の動きとは相容れないものになってしまいます。

これを防ぐために、秩序は、守られるために絶え間なく壊されなければならない。

ということで、久々に知的好奇心を刺激される本でした。

もうひとつこの本で気に入ったのは、自然淘汰による進化論的原理に対する疑問を述べている点で、これは私も常々疑問に思っていたことであり、ちょっとすっきりしました。

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