バーチャル
ITの世界では、このバーチャルという前置きがついた言葉がいくつかあります。
IT業界の人々にとっては最早当たり前といった感じのバーチャルマシン(VM)や最近ではバーチャルリアリティー(VR)が有名どころかと思います。
そしてこれらの言葉を日本語に訳す際にバーチャルを仮想と訳すケースがほとんどですが、これが実は実体を表していないという問題があります。
仮想の意味を調べてみると、事実でないことを仮にそう考えること
というような意味になると思いますが、
そう考えると仮想マシンってなんのこと?
仮想現実って何のこと?
とよくよく考えると意味不明となってしまいます。
実際には仮想マシンといわれるものに対して、何か(計算など)を依頼すると物理的なマシンと同様にちゃんと正しい結果を返してくれます。
つまり物理的にどの部分が動いているかを明確に示すことは難しいけど、ちゃんと(実際には)仕事をしているということです。
仮想現実も仮想現実がもたらす環境上で実際に人間は(目で見て、耳で聞いて、肌で感じて)実体験をするわけです。
そう考えるとバーチャルを仮想と訳すよりは実際にはとか実質的にといったニュアンスで事実としてとらえるほうがより本来的な意味を表しているということになります。
そしてインターシステムズの医療連携ソリューションの中にもVirtual Medical Recordという概念が出てきますが、これも仮想医療記録と訳すとまったく意味不明で、これはある特定の患者さんの診療情報が様々な医療機関に散在しているものをコンピュータ上に集約して一元的に管理することを意味しています。
そういう意味でこれこそが事実情報であり、仮想とは対極の意味を持っています。
なのでこの言葉の翻訳は、仮想医療記録ではなく実用医療記録としています。(実用という訳が完璧ってわけでもありませんが。。。)
英語圏および近隣の言語圏の人々は当然そのニュアンスを正確に理解していると思いますので、日本人だけがその意味するところを取り違えているとしたら、これは大きな損失だと思うので、バーチャルを仮想と訳すのは即刻止めてもらいたいところですが、ここまで普及してしまうと現実的には無理かもと思ってしまいます。
ささやかな抵抗ながら、このバーチャルという言葉が話題になる際には、こういうニュアンスを伝えていって、より多くの人々の誤解を解き放ちたいと思います。