個人事業主の現実
昨日、この記事を読んだら眠れなくなってしまいました。
記事によると、
2000年以降、会社から独立して、個人事業主になる50歳以上の"おじさん会社員"は、増加傾向
とのこと。
確かに、私の周りでも、役職定年や定年を目の前にして、独立、フリーになった知人が、一人や二人ではありません。
それにしても、気になるのは、
一番気になる独立後の年収は、200万円未満が全体の6割超と最も多い。
とか、
約7割が「仕事に満足している」と回答。5割超が「収入に満足していない」としている。
というデータです。
あまりに気になったので、データの引用元である「独立自営業者の就業実態|労働政策研究・研修機構」を見てみました。
記事中の年収というのは、報酬総額のことで、経費は別。つまり儲け(利益)ではなく、年商(年間売上)。経費があまりかかってなく、仮に2割としても、年商400万円だと単純計算で年収320万円程度。記事より、実際の年収はもっと低い、ということです。
しかも、その年商400万円以上は、専業であっても、32.4%と3割くらいしかいない。
専業で、4人に1人が年商50万円未満・・・。経費が全くかかっていないとしても、これでは社会保険料すら払えません。
生活ができる収入でない仕事なのに、満足している!?それって仕事なのでしょうか。
1年やってその金額の仕事が、その後、大化けする可能性はほとんど無いと思います。
収入を上げるには、仕事の何かを変えるしかない。なのに、仕事に満足してしまっている。
これは、どういうことなのでしょう。
独立した理由は、記事によると、
「自分のペースで働く時間を決めたい」「収入を増やしたい」「夢の実現やキャリアアップのため」が多く、会社の倒産やリストラ、育児、介護などとの両立を理由に挙げる人は少なかった。
と一見、前向きで良さそうな感じですが、先ほどの「独立自営業者の就業実態」のデータを見ると、
- 1週間にまともに働いている(週40時間以上)のは専業でも42.3%と半分もいません(仕事がないのだから、自分のペースも何も無い)
- 収入は上述のとおり。(収入が増えたとはとても言えない。実際、5割超が収入には満足していない)
- 夢の実現っていったい・・・。(定年を前にして、自分探し?)
- キャリアアップって・・・。(個人事業主になることがキャリアアップ?)
ビジネス視点でみると、独立した理由が、満たされているとはとても思えません。
これって、もうビジネスではなく、アーリーリタイアで趣味を楽しんでいるのと変わらないのでは?
本当にアーリーリタイアできる資金や貯金が十分あれば良いのですが・・・。そうでなければ、酷かも知れませんが再就職をお勧めします。
役職定年になったり、いろいろ大変で、再就職や転職も難しい、喪失感もいっぱいなのは分かりますが、現状に満足しているのは、個人事業主だからではなく、生活や収入、老後の資金など厳しい現実から目をそらしているからではないでしょうか?
記事には、こんな文章もありました。
どんなに稼げるようになっても、「個人事業主」は所詮、究極の下請けであり、「これにておしまい!」と言われたらジ・エンド。
個人事業主の現実は甘くありません。
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私自身は40代で起業、個人事業主として10年目です。
個人事業主を応援したい気持ちはあるのです。