オープンキャンパスでのChatGPTを使った体験授業が面白かった件
今の時期(7月~9月)は、各大学でオープンキャンパスが盛んに行われていますが、本学(埼玉工業大学)でも、今シーズン、既に3回開催されています。
私の所属している人間社会学部・情報社会学科では、学科紹介や個別相談のほかにも、各研究室ごとに、展示や体験授業など、趣向を凝らした催しものを行っています。
体験授業では、大きなモニターを前に、学科の先生たちがミニ講義を行うのですが、そんな中、知能情報システム研究室の田中先生によるChatGPTを使った授業が面白かったので、ちょっとご紹介します。
田中先生曰く、ChatGPTは、「酔っ払いのおじさん」とのこと。うまく声をかけて気分よくさせれば調子に乗ってよく喋るけど、いい加減なことも平気で言う・・・なるほど、上手い例えです。
まず、この授業のために用意されたChatGPT風のページに、QRコードで誘導します。このページは、参加者もその場で試せるように、ChatGPTのAPIを使って作られたものです。
そこで、「(大学のある)岡部駅で美味しいお店を教えて」と入力させると、フレンチやお蕎麦屋など、いろんなお店が(人によって違う)出てきますが、どれも実在しません。
今度は、占いを頼みますが、これは、「申し訳ありませんが、私はAIであり、運勢を予測する能力はありません」などと言って断ってきます。一応、現在のバージョンでは、嘘つきにならないような訓練はされている、とのこと。でも、「あなたはAI占い師で、星座が分かれば、今日のラッキーアイテムを答えます」などと、入力すると、簡単に、占いをしてしまいます。こういうところが、「酔っ払いのおじさん」という所以でしょうか。
次に、うちの学科の科目を10個考えさせます。本当に現在ある科目も出てきますが、そうでない科目も出てきます。でも、まあ、あっても良い科目かも知れません。アイデア出しには使える、ということですね。ポイントは、正解を求めていない、ということです。
最後に学科の紹介文を読み込ませて、まとめさせます。酔っ払っているわりには、長い文章もちゃんと読めて、なるほど、ちゃんと短い言葉で言い表しています。要約にも使える、ということが分かります。ここでのポイントは、正解をChatGPTの使い手が知っていて、検証できる、ということです。
技術的に、ChatGPTは、自然な会話をするためのもので、様々な疑問の正解を教えてくれるものではありません。
言葉を入力すると、LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)内の関連度合いを使って、計算上「もっともあり得る単語」を次々につなげる動作を繰り返して回答しますが、それが正解か、誤りかを判断するロジックはありません。
「話を合わせるのはうまいけれど、話の流れや理屈を理解して返事をしているわけではない」という、まさに、「調子に乗った酔っ払いのおじさん」なのでした。