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ITが無いと生きていけないのに、アナログな日々

パテント・レビュー

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今日は、パテントのお話です。と言っても介護用おむつではありません、「特許」のお話です。特許出願してその審査結果が戻ってくるまでにどれくらいの期間がかかるかご存知でしょうか。なんと3年~4年、長い時で5年もかかってしまうことがあるそうです。出願しても長期間、発明者は利益を享受できないことになりますね。出願される特許の分野は、多種多様で、またあらゆる先進技術に精通することを特許庁の審査官に求めるのは不可能でしょう。膨大な論文や過去の出願情報から、今回申請された特許が新しいものなのかどうか、検索し精査するのは並大抵なことでないと容易に想像がつきます。

米国では、研究者や開発者が特許審査のレビューアーとして参加するコミュニティー・パテント・レビューが成果をあげています。技術コミュニティーが、特許出願に対しての先行技術(特許出願日前に世の中で公表された文献等)をオンラインで提出し、審査の対象となる発明と先行技術との関連についてコミュニティー内で議論を行い、特許庁審査官のところに届けられる、というものです。このように特許庁での特許審査の過程にコミュニティーが参画することによって、特許の質を高め、審査の効率化を支援することで、本来特許されるべきではない特許の成立を防ぎ質の高い特許が成立することで、イノベーションを促進することを目的としています。米国では、数年かかっていた特許審査がこれにより7ヶ月まで縮まったケースもあるようです。

米国で作成されたこの試みを紹介した映像に、私の同僚たちでアフレコをして公開しました。ちょっとした声優気分でやってみたのですが、これがなかなか難しかったです。ちょっと素人っぽいですが、ご覧くださいませ。

この試みが、先ごろ日本でも開始されました。日本では、平成20年度産業財産権制度問題調査研究「コミュニティパテントレビューに関する調査研究」としてコミュニティー・パテント・レビューを日本で試行的に実施し、その有効性や効果を検証する目的で、日本の特許庁との契約に基づいて、財団法人 知的財産研究所が実施します。技術分野としては、IT全般(ソフトウェア、ハードウェア、通信)が対象となっています。

http://www.cprtrial-iip.org/index.html  

こちらのサイトに登録すれば(匿名可)、誰でも閲覧、もしくはレビューアーとして参加できます。

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