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技術で勝って、商売で負けていませんか?

IT活用でサービス産業の生産性向上を実現

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IT.jpgのサムネイル画像主要先進国に比べてもっぱら低いと言われている我が国のサービス業の生産性。

事実でしょうか?
実は国際比較をするのが難しい分野であり、米国に比べたら日本のサービスの多くは質が高く、生産性が過小評価されている、という指摘もあります。

標題の件で、日経新聞の経済教室に投稿を寄せていた森川氏(経済産業研究所副所長)の指摘が参考になりますので、ご紹介したいと思います。(2016.4.26朝刊)

まず冒頭に、景気について意見が述べられていました。
「14年1月の消費増税後のマイナス成長の影響もあるが、駆け込み需要による上振れの時期も含まれる。一定の潜在成長率があれば、完全雇用状態の期間をならしてゼロ成長ということはあり得ない。つまり『景気が悪い』というよりは『成長力が弱い』のだ。」

「産業の生産性上昇を生じさせる個々の企業の内部効果は、サービス・イノベーション(革新)、IT(情報技術)を活用した稼働率の向上、企業規模の経済性を生かした多店舗展開、経営の質の改善など様々な要因から生じる。イノベーションは人的資本の質の向上と並んで生産性向上の最大の源泉だ。」

「サービス企業はハードな研究開発投資が相対的に少ないが、高度人材の開発、組織・業務改革、ブランドの構築といったソフトなイノベーションに注目する必要がある。」

「そして、イノベーションを進めた企業とそうでない企業の生産性や資金の差は、製造業よりもサービス産業の方がはるかに大きい。」

「在庫が存在しないサービス産業では、需要平準化を通じた稼働率向上が生産性を左右する。(中略)そして稼働率向上にはITを駆使する余地も大きい。」

以上のような指摘を同氏はしており、サービス産業の生産性向上の余地は大きく、政策的に可能なことも多い、と結んでいます。

必ずしも、我が国のサービス産業の生産性は海外の主要国に比べて低い訳ではない、という指摘は意外でした。

ただし、現状に甘んじるのではなく、イノベーションによる効果の出現度合いが製造業よりもサービス産業の方がはるかに大きい、という分析には筆者も興味を持ったのです。


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