政府の新しい成長戦略を見てみる
産業競争力会議は、先日、新しい成長戦略の素案を取りまとめました。今月末には閣議決定するようです。
内容を見てみると、確かにロボットやAIを活用した"第四次産業革命"の推進を中心に据えるなど、見栄えのよいもの、別の言い方をすれば予想どおりのものとなっています。
GDP(名目)の600兆円達成に向けての項目が出来上がってきた、という触れ込みのようですが、筆者が興味を持ったのは最も数値目標の高い「サービス産業の生産性」について2%へ倍増することによって、2020年に410兆円を達成する、という項目です。
数値の大きさもさることながら、先進国に比べても低いと言われている我が国のサービス産業の生産性に目を付けたところについては、評価したいと思っています。
ただし苦言を言わせていただくと、筆者が最も改革が必要だと感じている、以下の各項目について、踏み込みが足りない、または踏み込みがなされていない、という点について物足りないのです。
- 農業分野
- 労働分野
- 医療分野
さらに、民泊などの解禁ですが、世の中の趨勢に合わせて仕方なく許可をする、というところが筆者には不満です。
許可することは仕方がないとしても、もっと他の分野で全く新しい発想で画期的に規制改革するような分野、それによって国内外から投資が押し寄せてくるような目玉となるべき成長戦略が欲しいと思っているのです。
今後、来年度末までの2年間(私には2年弱としか思えませんが)を"集中改革強化期間"として「残された岩盤規制改革を断行する」との首相の言葉に期待するしかありません。
このあたりの言葉の操り方はさすがだと思いました。
7月に迫った参議院選挙までは大きな改革の断行を控えて、既得権益者の票に配慮をして、しっかり選挙での勝利を収めた後の約1年半で強力に改革を進めていく、よく練られた戦略だと思った次第です。