中国の一人っ子政策の終焉
中国は、1979年以来30年以上に渡って続けてきた「一人っ子政策」を取りやめる決定を、最高の政治決定会議で採択しました。
これによって、基本的にはどの家庭も第2子以降の子どもを持つことができるようになります。
これまでの間に中国は、世界第2位の経済大国にまで登り詰め、いまだに年あたり7%前後の経済成長を続けています。
結果だけを見れば、中国は順調に国力をつけて大国の仲間入りを果たしてきたように思えます。
当時の政治判断では、このまま人口が増え続けることには利点よりも弊害の方が大きくなる予想を立て、人口増加の抑制策として一人っ子政策を決断したことは明らかなのでしょう。
政治の世界に"たら・れば"は不要であり、誰もが一国の将来を完璧に予測することなどは不可能なことです。
ところが、中国も今や労働人口は減少に転じ、人口増加による弊害よりも人口減少による弊害の方が、看過することができなくなってしまったということです。
それでは一人っ子政策には具体的にはどんな弊害があるのでしょうか?
当然、人口ピラミッドのアンバランスが挙げられます。
1979年〜2015年生まれの人たちが明らかに他の年代と比べても少ないのです。
年齢でいえば、36歳以下が極端に少ないということです。
問題はそれだけに留まりません。
子ども1人しか作ることのできない各家庭は、跡継ぎや、特に農家などの労働集約型産業に従事する自営家庭では力に勝る男子を望む傾向にあり、女子の数が男子に比べて少なくなっているはずです。
そうなると何が起きるのでしょうか?
適齢期を迎えた一人っ子の男性にとって、結婚の対象となる女性の数が少なくて、結婚できない人たちが続出するのです。
そうなると、一人っ子政策は終わるとはいえ、子どもの数はなかなか増えていかないということです。
単純に考えてもこれだけの弊害をこの30年間続いた中で、見過ごしてきた、ともいえます。
注視すべきは、この政策の終焉以降、子どもの数が順調に増えていくのか?という点です。自分なりに予測を立てて見ることを筆者はお薦めいたします。
その際に、以下の現代の中国が抱えている問題を念頭に置かれるといいと思います。
・中流階級の台頭
・シャドーバンキングの存在
・あらゆる産業における供給過剰な状況
・内需の陰りによるデパートなどの閉店
・値の張る買い物は海外で行うという生活スタイル
・国営企業の存在
・習国家主席による贅沢禁止令
・日韓との距離感 など
どこにも答えはありません。
あくまでもご自身で考えて、予測をしてみることが大切だと思っています。