なぜTPPにとって農業は聖域なのか?
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全農によれば、農業就業人口のうち、基幹的農業従事者数(ふだんの仕事が主に農業)は、2010年は205万人でしたが、2011年には186万人と200万人を下回りました。
ちなみにこの中でも65歳以上の高齢者が占める割合は59.1%で、全体の平均年齢は65.9歳まで上昇し、高齢化が進んでいます。
それではどうして、国内の総就業者数6379万人(総務省より2015年)のうちのわずか2.9%の人たちしか従事していない農業に対して、TPPの交渉の経緯でもありましたがここまで聖域として守り続けないといけないのでしょうか?
理由は明白です。通常、農業はどの国においても特別な意味合いを持った、非常に重要な産業だからです。
どこの国においても簡単には譲ることのできない分野とも言い換えることができます。
特に我が国においての農業に対する重み付けはさらに特別です。
他国に対しても鉄分を摂取する量の多い日本人は、味に対する感覚が発達していて優れた舌を持っていると言われています。
だからこそ、食べることに対しては格別なこだわりがあり、食べ物の元となる農作物に対してもおのずと舌が肥えているということなのです。
就業者数の少ない農業ですが、非農業系の普通の人たちもTPPの交渉の推移を心配しながら見守り、妥結後も将来の国内の農業の向かう姿が気になって仕方が無い、といった具合です。
農業関係者の間では、今回の妥結内容が「寝耳に水」とばかりに、あまりに関税の撤廃が急激に行われようとしていることに対して、懸念の声が挙がっています。
これまで国民の信託を受けて守られてきた国内の農業ですが、今後はまさに国を挙げた対策、取り組みが求められようとしているのです。
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