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マイナンバー制度に対する懸案について考えてみる

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number02.jpgマイナンバー制度開始は予定どおり?
日本年金機構の個人情報が流出した問題が発生しており、漏洩した情報は計101万4653人にも及び、大きな問題となっています。

そんな中、甘利内閣府特命担当大臣は、マイナンバーについて当初の予定どおり今年の秋(10月)から住民票を有する国民に12桁の個人番号を通知していく、と発言しています。

つまり、個人の年金情報が漏れたという失態が発生して、国民が不安を感じている中での険しい船出となる訳です。

誰もが感じている漠然とした不安
ところが、これだけどんどん発表されるマイナンバーの適用業務範囲の広がりを考えると、あるどこかの脆弱なところから、ネットワークを通じてそれこそ、"芋づる式"に個人情報が漏洩してしまう、という不安はあります。"紐付けされる"="芋づる式"と言い換えることができるからです。

そこで参考になる考え方が2ヵ月近く前の日経新聞の朝刊に紹介されていましたので、共有したいと思います。記者である大林さんの記事でした。

東日本大震災を振り返る
4年前の初夏。仙台で聞いた奥山恵美子市長のひと言が耳に残っている。「共通番号があれば、どんなに助かったか」

避難所を回って被災者の健康管理にあたっていた医師からも、同じ訴えを聞いた。「慢性疾患をいくつも抱えたお年寄りは、薬の飲み合わせが大切なのに自分の薬の名前を覚えていない人が少なくない。先生、赤いカプセルでしたと言われても、カルテも処方箋もなければお手上げです」

助かった命が再び危険にさらされる。共通番号からカルテをたぐり寄せられるようにしておけば、二次災害は防げたはずだ。

番号からたぐり寄せられる医療情報は当面、予防注射やメタボリック健診の記録にとどめるようだ。被災地の訴えむなしく、肝心要のカルテや処方箋は番号とつながずに動き出す。

番号制度活用の世界最先端を走る国としてのエストニア
スカイプを生んだ、バルト三国の一角であるエストニアでは、イルヴェス大統領自らがITの権威である。
政府が用意したポータルサイトから個人の医療情報のページに入ると、処方された薬の一覧などが確認できる。教育、住宅・土地取引、会社設立の手続きも、このサイトが起点になる。

すべてのカギは1人がひとつ持つ番号だ。その番号は意外にも公開されている。番号それだけではただの番号にすぎず、カードと厳重なパスワードがそろわないと用を成さない。

じつは日本政府が17年に開設する個人サイト、マイポータルは似た仕組みを持つ。マイナンバー関連の情報をどの役所がいつ、誰とやり取りしたかを番号の主に知らせる機能だ。だが内閣府の世論調査によると、この機能を知っている人は4%にも満たない。

「紙のカルテはコピーや盗み見されても記録が残りませんよね。安心できるのは、どちらでしょうか」(エストニアの国家情報システム局長のラへさん談)

我々はどこに価値を置くべきか
eエストニア(番号制度を媒介にしたITの革新で成長を促し、人々の暮らしの質を高める)。同国政府は昨年、外国人にエストニアへの電子移住を認めた。登録した外国人は海外に居ながら同国での起業が可能になった。

まだある。つねに隣国ロシアの軍事脅威にさらされているエストニアは、万が一の事態に備え、データ大使館の構築を始めている。国土が侵略されても国家を維持するために政府機能を電子化して世界のサーバーに分散させ、いざというときは電子上で行政を執行する構想だ。

大震災を経験した日本人も、危機はときに政府機能を麻痺させると知った。なのにそのマイナンバー論を聞くにつけ、周回遅れの感を強くする。


以上、いかがでしょうか?
私、大塚の言いたかったことはすべて、大林さんが誌面で語ってくれていました。
国内では、マイナンバー制度の導入に対して、賛成論や反対論がうずまいていますが、導入はもう決まっていますので、あとは数少ない負の側面ばかりに目を向けるのではなく、国益に叶うこの制度の導入を歓迎を持って迎えようではありませんか!

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