広がるAmazon経済圏
アマゾンが事業を開始した当初は書籍販売が主で、リアルな本屋さんを世界中で駆逐してきました。
さらに、マーケティング用語の分野では、"ロングテール"という言葉が流行り、ECマーケットプレイスならではの、多品種少量販売が可能になったことで、売れ筋以外の商品でも全体の売上増加に貢献することができる事例として、多くのマーケッターによって成功モデルが語られてきました。
そういえば最近ではすっかり、ロングテールという言葉も下火になってきました。
それくらい、ECショップの存在が当たり前になった、ということです。
このアマゾンですが、その後は書籍にとどまらず衣料品、スポーツ用品から食料品・酒類など、多種多様な商品の販売を手掛けるようになってきたことは周知のとおりです。
筆者的には、アマゾンのオンライン事業が稼ぎ出す収益が意外に小さい、ということが気になりますが。
それはそうと、アマゾンは再びオンラインで扱う商品の幅を広げました。
この度、米国で「アマゾン・ホーム・サービシズ」を立ち上げ、あらたな事業展開を始めたのです。
取り扱うのは、従来までのようなモノではなく、サービスの提供です。
700種類以上の家庭向けサービスの展開です。
具体的には、家事代行や家庭で発生する各種修理や工事、タイヤ交換から雨どいの掃除、山羊の放牧まで何でもござれです。
これらのサービスを提供するのは、もちろんアマゾン自身ではなく、厳しい審査を通過した地元の自営業を中心とした中小零細事業体です。
アマゾンはサービス提供によって得られる料金から一部の手数料を徴収する、という仕組みです。
いずれにしても、いつも驚かされるのは同社の矢継ぎ早な事業の拡張性です。
筆者は本業よりもむしろ、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)の方が収益性が高い、と分析していますが、家事代行にまで触手を伸ばすのはロングテール型マーケティング手法として理にかなったことなのでしょう。
ここまできたらもはや、アマゾンが扱う商品に制限や聖域はなく、地球上に存在しニーズのあるモノなら何でもオンラインに載せてしまう、という意気込みであることがよくわかりました。