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海外企業を買収するという選択

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shake-hand.jpg日本企業の間において、M&A(合併・買収)を仕掛ける事例が目立って増えてきました。
筆者の持つ古い企業像では、自前主義をあくまで貫き、年功序列による昇進制度が当たり前で、一度新卒で入社したら定年退職するまで同じ会社、職場で働き続けることを目指す、というものでした。
昔はM&Aのニュースがたまに出てきても、海外の企業が日本の企業を対象に行うものが大半で、その数も多くなかったのです。

ところが新しい動きが新時代に合わせるように急速に増えてきました。
日本の企業が海外の企業を買収するという動きのことです。


日経新聞によると、昨年1年の日本企業に関連するM&A額は13年比で9%増の11兆7000億円でした。
その中でも日本企業による海外企業の買収額は28%増の5兆9000億円となり、比率は50%を超えています。
今年の1〜3月だけで早くも4兆3000億円の海外M&Aが発表されたことがわかっています。

国内市場だけでは少子高齢化の影響もあり、今後大きな伸びが期待できないからこそ、旺盛な成長が期待できるアジアや安定的に伸びが期待できる北米、伝統的な欧州などの企業を手っ取り早く傘下に収めて、スピード感を持って海外市場を取りに行く、という背景があります。

さらにもう1点付け加えるとしたら、コーポレートガバナンス(企業統治)改革が挙げられます。どんどん存在感を高める株主の存在によって、企業内での内部留保を無駄に遊ばせておくことに対して、批判の視線を浴びるようにもなってきました。

株主を中心とした利害関係者が、企業に対して成長戦略を強く求めるようになってきたのです。発端はアベノミクスですが、6月に出される第三の矢である成長戦略にも注目しないといけません。

一方、別の日の日経新聞は、企業の休廃業や解散が過去10年で最多になった、という情報を掲載していました。

具体的には中部3県で14年は、企業の休廃業や解散が13年比で4%増の2606件となり、14年の倒産件数である859件の3倍にも達したのです。

景気回復を背景に倒産件数が抑制された半面、後継者難などで経営の先行きが見通せなくなり、休廃業に踏み切る企業が増えている、と結んでいます。

ちなみに、資産が負債を上回る資産超過の状態の事業停止を休廃業と規定しており、解散は決議を伴うもので、いずれも倒産に集計されないということです。

なるほど、ここまでの世の中の動きを見ると、十分に国内企業の情勢が把握できます。

つまり、国内の大企業を中心にして海外の優良企業を買い始めた、さらに今後買うために物色している最中の企業も多くあると筆者のところには情報が入ってきています。

がしかし、これらは一部の内部留保に余裕のある企業だけの話であって、中小企業を中心にして、実は深刻な状況が発生している、ということです。

事実として、筆者のクライアント企業では、現在の社長いわく、「息子に後を継がせることには慎重にならざるを得ない」とのこと。

このような悩みを抱えている企業として、表に出てくる企業はほんの氷山の一角であり、実はかなりの数の企業が悩みに悩んでいるのだと推測します。

先日、少し時間がありましたので、地元の有名な温泉街をマイカーで巡った機会がありましたが、当時は賑わっていたであろう当該温泉街の商店の9割は閉店しており、何とも寂しい気持ちを抱いたのです。

こうした光景は何も珍しいことではなく、国内のあらゆる場所で見ることができる時代になってしまいました。

それら1つ1つの店舗のほとんどが、商売の後継者問題に悩み抜き、苦渋の決断をした結果としてシャッターを下ろしてしまったのでしょう。

列島中の店舗がこんなことになってしまい、大型のショッピングモールだけが繁盛するという光景は、活気がないだけではなく、人の雇用も奪い、この国は一体将来どうなってしまうのだろう、という非常に強い危惧を筆者に感じさせています。

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