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技術で勝って、商売で負けていませんか?

トヨタ自動車の販売戦略

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car.jpg最近の国内での自動車販売事情は、複雑です。
台数も伸びていない中で、軽自動車ばかりが売れて、普通乗用車やRV、ミニバンなどの比較的大きなサイズの車があまり売れないからです。

実は筆者の自宅周辺にあった自動車販売店も、いつの間にか閉店(移転なのかいまだに不明)しており、当該店舗がトヨタ車の販売店であることに、正直驚いています。なぜならこれまでの経験上、トヨタの販売店が閉店した姿を見たことがないからです。

いずれにしても、王者であるはずのトヨタの販売店戦略に、何かしらの異変があるのかもしれません。


まず発表されたトヨタ自動車の国内販売店における変更点について、ご説明したいと思います。
従来より、4つの系列(販売チャネル)を持つ同社ですが、それら全系列で併売される車種が急に増えてきた点が挙げられます。

つまり、価格帯が高い順にトヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店という全4系列で同一の車種を扱う場合が増えてきたのです。

これまでは、それら系列店ごとに店頭で売られる車種が異なっていることが基本戦略で、他の系列店と競合して販売されるような車種はなかったということです。

同社の販売店は、全国に約280社ある販売会社それぞれによって運営される約5000店があり、トヨタが直接出資するのはそのうちの5%程度だと言われています。

ただ、従来から続けられてきた手法での販売では、例えば人気車種の存在によって販売成績が左右されたり、また逆に他の系列店とは異なる車種を扱っていることによる甘えが生じることもあったのだと推測できます。

それが、今回のような併売扱いになる車種が増えることによって、車を購入する消費者側からすれば、競争原理が働いて、より有利な条件で希望の車を買うことができる呼び水になるのに対して、販売店サイドから見れば、他店との厳しい競争に耐えていく必要がある、という現実が待っているのです。

これだけ国内での自動車販売が低迷していて、人気のある車種や車のタイプはごく一部である、という受難の時代では、販売店の姿も世の中の動向に合わせて変革させて行かざるを得ないのでしょう。

トヨタのように、性能・品質の良い自動車をいくら開発しても、販売の役割を担う店舗に販売活動での成果を出してもらわないことには、「技術で勝って、商売で負けて」というような、筆者の当該、拙ブログの副題の典型例になってしまいかねません。

ここからは少し脇道にそれますが、トヨタといえば日本で頂点に立つような優良大企業であり、いつも筆者が感心して抱く気持ちは、この会社で取締役まで登り詰めた人たちに対する「日本でも最も企業人として成功したエリートたち」という意味での賛辞です。

以下に、トヨタ自動車株式会社の役員メンバーを、一人一人の詳細な経歴と共に紹介しているWebサイトをご紹介します。
http://newsroom.toyota.co.jp/jp/corporate/companyinformation/officer

筆者は、時々このサイトを見て、役員層の属性(年齢や性別、職歴等)の傾向を見ては、同社のことをより深く知る手がかりを得ているのです。

これも「マーケティング・マインドの醸成」に役立つための行動の1つだと考えています。

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