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技術で勝って、商売で負けていませんか?

水素社会の到来

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hydrogen.jpg新エネルギーの中でも、水素ほど過去に大きな期待を持たらしてくれていたエネルギー源は記憶にありません。少なくとも筆者には。

実際に、水素は夢のエネルギーのように思えます。
いいことずくめのようですが、盲点は無いのでしょうか?


経済産業省が2030年時点での望ましい電源構成として、原子力発電の比率を21〜22%前後とする方向で調整に入りました。2012年に当時の政権与党である民主党が2030年代までに原発稼働ゼロとする戦略を決定した件はどうなってしまったのでしょうか?

新エネルギーの問題を考える前に、まずこの点について問題提起をしておきたいと思います。

その上で、太陽光や風力などの再生可能エネルギーに頼ることがまだできない点も事実です。これらには自然環境に左右される、という点で安定供給に欠けるからです。

そこで急浮上してきたのが水素であり、何といっても一番の魅力は枯渇することなく無限に存在することがまず第一です。

そして次に挙げられる魅力は、水素をエネルギーとして使う場合に燃やしても、水が発生するだけで二酸化炭素が発生しない点です。
つまり低炭素社会の実現に有効なのです。

ところが、1つ問題があります。
水素はそのまま使える状態では存在していないので、使える状態にして取り出すためには、製造が必要なのです。

実はこの製造の過程において、多くの二酸化炭素が発生する、というカラクリがあまり表面には出ていなかったのです。

水素を燃やしてエネルギーとして使用する場合に、二酸化炭素を発生しない、という点ばかりが強調されて欠点は無く、良いことずくめのように捉えられがちだということです。

やはり万能型の魔法の新エネルギーの登場は、無理なのでしょうか?

そんなことはありません。
水素の製造過程で発生する二酸化炭素の量を極限まで減らす、という我々の進むべき方向性がまだ残されています。
その手法の1つが、「CO2フリー水素」と呼ばれるもので、再生エネルギーから作られた水素を利用する手法です。

こうした技術をとことんまで突き詰めて、ついには実現する能力が我が国の企業にはあるはずです。

環境分野では、高度な技術力で世界をリードしている企業が、各分野で多く存在していることが期待を大いに抱かせてくれるのです。

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