ウチららしい社員旅行、あるいは何をやってもカルチャーがにじみ出る件
現在コロナウィルス対策で社内ミーティングは原則中止。
2泊3日で会社の仲間と貸別荘に籠もって色々やろうと思ってたのもキャンセルになってしまった。
鬱々としていても仕方ないので、少し前に行った社員旅行について書こう。
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運動会とか部署ごとの飲み会とか、昭和の風習をやめてしまった会社が多い。ウチは昭和の日本企業とは真逆のカルチャーだが、そういうのを結構やる。意外といいものだと思う。
ただしやるにしても、やり方は他の会社とはかなり違う。採用やセミナーや人事評価など、ほとんどすべての活動で「世の中の普通」と「ウチららしいやり方」が違う様に。
「世の中がどうやっているかを無視して、ゼロベースで考えた結果こうなった」というケースが多いが、社員旅行の場合はウチらしい今の形に、徐々に進化していった。
社員旅行というのは些細な活動だが、はっきりしたカルチャーや経営方針があると、会社の隅々まで「らしくなる」という良い例なので、紹介してみよう。
★非強制、費用会社持ち
昭和の社員旅行って、給与天引を積立たりして、自腹だったらしいじゃないですか。
で、同じ課の人と熱海の温泉とかにいく。
平日の人間関係を持ち込む旅行に行っても楽しくない、と思う人は一定数いるだろう。そして休日潰して自腹だったら行きたくないのは自然なこと。
僕らの場合、社員旅行は自由参加。休日も使うので当然だ。
そして費用は会社持ち。これも当然だ。費用が出ないなら、仲のいい同期だけでグループ作って行けばいい。
非強制、費用会社持ちは、社員旅行として議論の余地がない話だと思う。
★家庭の事情に配慮する
ウチの会社も20年前は平均年齢が低かったので考えもしなかったが、最近は子育て/介護中の社員も多い。そういう人は泊りがけで家を空けにくいので、毎年参加できない社員もいた。
これは今年の幹事のナイスアイディアだと思うが、彼らが「行き先が東京」という社員旅行も企画してくれた。交通費宿泊費がかからない分、ホテルのリッチなランチ。そして東京湾クルーズをしたらしい。(オペラ見に行くとか、マグロの解体ショーとか、いろんなアイディアがあったみたいだ)
夫婦とも社員の2人が、子供をおいて東京組に参加している写真はほっこりしましたね。
ちなみに、今年は社員数も増えたので、宿泊組も分割して、計3箇所。日付は同じ。
・別府2泊3日
・函館2泊3日
・東京日帰り
以前はタイ、セブ島、台湾などの海外が定番だったが、近年は中国の旧正月とか色々な関係で国内が多い(去年は沖縄)。
★幹事は枠を作るだけ。中身は自分で
添乗員さんが旗もって「はいこちらですよー」と、50人の社員を引き連れて歩く姿は想像しにくい。僕をはじめとして、そんなに団体行動が好きでも得意でもない。
だから数年前から「幹事が用意するのは飛行機・ホテル・2日目の宴会だけ」という方針になった(それでも仕事を抱えながらのボランティアワークだから、3箇所のコーディネートは大変だ)。
社員旅行なのに全部フリータイム。
そうすると何が起こるか?今年を例に取ると・・
・酒蔵めぐり
・釣り
・食い倒れグルメツアー
・レンタカー借りてスキー場へ
・くそ寒い五稜郭を散策
・3日間ゴルフ
・別府から福岡に旅行内旅行
・サウナの聖地巡り
・普通に観光
・オートバイ借りてボッチツーリング
・ホテルにこもってコーディング
・ホテルにこもってボードゲーム
・いきあたりばったりで誰かに乗っかる
みたいな感じに、カオスっぽくなる。
★リーダーシップとフォロワーシップ
こういう企画は全部自然発生的だ。
旅行前に昼飯食いながら「別府でどこいく?」と話して決まる時もあるし、社内SNSで「酒蔵めぐり行く人~先着10名」みたいに募るケースもある。行っている最中に「これからどうする?」「○○さんがあそこの寿司屋がうまいといっていた」「それだ!」とかもよくある。
せっかくだからとみんなを楽しませる計画立てる人がいる(リーダーシップ)。
その人の企画に乗っかって楽しむ人がいる(フォロワーシップ)。
リーダーシップは、取りたい人、取れる人が発揮すれば良い。もちろん局面局面でリーダーシップを発揮する人は変わる。普段の仕事での関係性も一切無関係。もちろん旅行だからトラブルも起きるが、フォロワーは特に怒ったりしないで、それも含めて楽しく過ごす。こういうカオスの方が旅行って面白いと思いませんか?
ちなみに僕は、社員旅行では完全にリーダーシップを放棄し、フォローしかしない。
去年沖縄に行ったときは、普段なら絶対やらないヨガとシーサー作りに丸乗っかりして面白かった。
今年はワインが美味しいタイキュイジーヌに連れて行ってもらった。普段は自分からワインは飲まないが、お酒もタイ料理も新しい世界が開けていた。
★いつもの人とだけつるむのではない
そうやって自然発生的にチームができるのだが、必ずしも普段一緒のプロジェクトをやっているとか、仲が良い社員だけでつるむ訳ではない。誰がチームに入っても楽しくやれるのは、はっきりウチの会社の強みだと思う。
普通は「あのオジサンと一緒だといやだ」とかありそうじゃないですか?そういうのはほとんど感じない。
だから「あ、面白そう。俺も一緒に行っていい?」と気軽に言える。
社員旅行を会社の費用で行くことの意味の一つは、普段あまり話さない人とのコミュニケーションだろうが、それがかなり自然な形で(幹事がコーディネートしなくても)できている。
★楽しませろ、ではなく自分で楽しくする
幹事が用意するのは枠だけなのだから、自分で楽しいことを企画するか、乗っかるか、どちらにせよ自己責任で楽しくやれや、ということ。楽しくなくても文句を言う相手はいない。
これって仕事とかなり近いと思う。僕らは仕事でもHave Fun!!の精神を大事にしているが、これだって「会社が楽しい仕事を用意してくれるべき」という話ではない。むしろ真逆で、「どうせやるなら楽しくなるようにしようぜ!」という能動的なスタンスだ。社員旅行も同じ。
★楽しかったら共有してドヤる
こうやって自分たちで勝手に行動していると、「いやー楽しかった。このチームが一番社員旅行を満喫してない?」という自惚れが訪れる。
そしたら、社内SNSに投稿して自慢する。
こんなきれいなところに行った。
社員の面白い一面が撮れた。
あの二人が意外に盛り上がっている。
うまかった。
貴重な体験をした。
アホなことした。
仕事でも、自分たちの成果を清々しく自慢するのはとてもとても大切なことだ。多分普通の日本人が思っているよりもずっと。良い自慢は、
・あいつらすげぇな(尊敬)
・ウチの会社ならこれくらいやらないと(スタンダードの引き上げ)
・俺らも負けてられん(ライバル心)
・今度教わりに行こう(ナレッジ共用)
などなど、組織に良いムードをもたらす。
★そうして生まれる謎の一体感
こうやって3日間で、色んなことを好き勝手にやっている社員たちの写真が大量に投稿される。
すると不思議なことに、なんか一体感を感じる。
多分100人でゾロゾロと観光させられたら、僕はむしろ疎外感を感じてしまう(よほどひねくれているのだろうか?)。
でも、本当なのだ。
僕らボードゲーム部が別府で盛り上がっている最中にSLACKをふと見ると、
晴天のスキー場で滑っているやつがいる。
日本酒の仕込み体験をしているグループがいる。
都内を自転車で移動しているやつがバス組から激写された。
熊本のサウナにいるやつ。
バラバラなんだが、なんだろう。この謎の一体感は。
多分、僕が目指す会社が、こういう感じなんだとおもう。自律した人々が、それぞれの持ち場で良きことをしていて、ゆるくつながっている組織体。
それが年1回の社員旅行で可視化される。興味深い。
※楽しげな写真でも載っけようと思ったんだけど、ブログのアップロードツールがなぜか動かなかった・・。気が向いたら載せます。