経営とITを考える10の視点
少し前にダイヤモンドオンラインという媒体で、「経営とITの関係を考える」10回シリーズを連載していました。
通しで読むと、ITにまつわる、お金、人、経営、コミュニケーションなどについて、整理して理解いただけると思います。
短い解説をつけて、各回を紹介していきます。
★見出し
・嫌いなのに、社長がITを無視できないわけ
・「いやぁ、ITのことはわからんので」と言うのはアリか?
・経営者だけではない!
・エンジニアじゃないからこそ、ITを使えるように
第1回は、「ITって、エンジニアだけが関心を持てばいい話じゃないよ」というテーマ。
経営者は、別にITが作れなくてもいいのです。餅は餅屋と言うように、ITの構築そのものはエンジニアに任せればいい。
でも、経理がわからないと経営できないのと同じように、ITについて理解していないと、経営はできません。
営業や生産管理などの普通の職種の方だって、仕事はできません。
なんで?という話を書きました。
【第2回】「1億でできると言ったじゃないか!」お金にまつわる不幸なすれ違い
★見出し
・納期や予算を明言しないITエンジニア
・1億でできると言ったじゃないか!
・ITコストがブレる理由1:何を作るのか決まっていないから
・ITコストがブレる理由2:やってみないとわからないから
・不確実性と向き合おう
反響が大きかった回です。
書いた僕の関知しなネット掲示板みたいなところで、「客がわるい」「上司が悪い」「そもそもITは・・」などと激論が巻き起こってましたね。
記事のタイトルを見てITエンジニアでない人は「そうそう。なんでITはこんなに予定がブレるんだ」と思ったし、エンジニアはしょっちゅうこんなことを言われてうんざりしているからでしょう。
なぜこういうスレ違いが起こるのか?
読んでみてください。
【第3回】PKに臨むゴールキーパーに見習うべき?ITプロジェクトの進め方
★見出し
・成功率が低いなら、低いなりの作戦がある!
・しょっちゅう立ち止まって考える作戦
・段階的意思決定法
プロジェクトは成功率が低い仕事。だとしたら、普通とは違うスタイルで仕事した方がいい、というのが僕の考え方です。普通と同じノリで仕事を進めると、時に「ありえないほどの大失敗」を引き起こしてしまうから。
もっと慎重に、大失敗しないですむITプロジェクトのススメ方を紹介しています。
【第4回】ITを高くしているのは誰か? それは、あなただ!
★見出し
・国立競技場が高いって??ITだって高いぞ!
・誰も自分のせいとは思っていない?
・業務担当者がITを高くする
・ITエンジニアがITを高くする
・ITコストを下げるのは、経営幹部しかできない
ITについては、関係者みんなが「被害者モード」になるんですよね。
でも実際には、みんなが良かれと思ってやっていることがITコストに跳ね返ってしまう構造があります(僕は経営・業務担当・IT担当の真ん中に立って仕事をすることが多いので、みなさんの言い分は理解できるのですが・・)。
まずはその構造を知り、見直すところからはじめましょう。
【第5回】あなたは、自分が欲しいものを言えますか?
★見出し
・なぜ、ITに業務担当者が関わるのか?
・自分の業務を語れない業務担当者
・人は、自分が欲しいものを表現できない
・だから、コミュニケーションが命
一般的に、「どんなITがほしいのか」はユーザーが決めることになっています。
でも、ITにそれほど詳しくないユーザーにとっては、それをもれなく正確に述べるのは、極めて難しい。
業務担当者なのに、業務の全体像を業務担当が語れない人も近年増えているので、なおさらです。
(なぜそうなのかは、記事を読んでみてください)
【第6回】経営スピードは、プロジェクトリーダーの数で決まる!
★見出し
・変革スピードは、プロジェクトリーダーの数で決まる
・社外の人間に、PLは務まらない
・近年、ますますPLが育たない!
・本気でPLを育てたいんですか?
これだけ、「経営スピードが大事!」と言われていて、そのために10億かけてERPパッケージを導入しよう!みたいな話になっているのですが、経営スピードは「ITプロジェクトを任せられるリーダーが何人いるか?」で決まっちゃうんですよね・・。
変な話、だからこそ、僕らのようなコンサルタントが(高いお金にもかかわらず)雇われる訳で。
だから本腰入れてプロジェクトリーダーを育てないと、という話。
【第7回】エンジニアは、ITリーダーに向いてない!じゃあ、どうする?
★見出し
・エンジニア⇒ITリーダーというキャリアパスは無理がある
・PLは、プロジェクトで育てるしかない
・最初にお手本を見せる
・実践
・座学で種明かし
・さらなる実践と振り返り
この回では、試行錯誤の末にたどり着いた、「プロジェクトを通じて、リーダーを育成するしかけ」についてざっくり紹介します。
(実際にはもう少し細かいノウハウの集合体ですが、それはいずれブログか本に書きます・・)
人が育つのは環境次第ですが、その環境を意図的に用意することは出来るはずです。
【第8回】ITをシステムインテグレーター会社に丸投げするな!
★見出し
・ITを丸投げするシステムインテグレーターは、日本特有?
・会社のITは、道具ではない
・ITを丸投げすると起こること
僕も仕事でシステムインテグレーターの方とご一緒することはあるので、こういうことを書くとアレなのですが、でも、丸投げはイカンですよ。
自社のビジネスモデルにピッタリあったITを構築するのって、会社のコア業務なのだから、他社にまるっとお任せして、依存してしまうのは本当にまずいと思います。ロックインされてコスト高になるし、それ以前に事業の継続性を担保する、という意味でもまずい。
【第9回】熱海の旅館化したITの危機に「式年遷宮方式」で立ち向かえ!
★見出し
・熱海の旅館化した会社のIT
・言い出せないIT部門
・伊勢神宮の「式年遷宮」を見習え!?
・費用対効果で示せる判断なら、経営者は不要
この回もよく読まれました。
「老朽化したシステムをなんとかしないともう限界!」というIT部門
「でも、ITを作り変えると、儲かるの?」という経営者
という構図ですね。
投資額が大きいので、決断できないままに20年、30年とたってしまい、どうにも身動き取れなくなっている会社、結構あります。
【第10回】失敗する仕事を、人は「プロジェクト」と呼ぶ
★見出し
・ある成功プロジェクトでの悲劇
・高すぎる期待値。お粗末な実態
・ITプロジェクトは荒馬か??乗馬か?
・プロジェクトは、定義からして失敗する
・同じ会社なのに、協力できない悲劇
・歩み寄るために、今日からできること
最後は、「プロジェクトって定義からして、失敗する確率が高いんだよね・・」という、身も蓋もない話。
だからって、やらない訳にはいきません。変化しない組織はかならず滅びるからです。
このことを、会社のすべての人が知った上で、「じゃあ、どうやって協力していくか?」を考えないと
***********************************
この連載は、2015年12月に出た「会社のITはエンジニアに任せるな」のエッセンス抜粋です。
もうちょっと具体的な話を体系的に読んでみたい、という方は本を買ってね!
1冊目の本は「超面白かった。感動した」という感想が多く、
2冊目は「付箋貼って読み込みまくってます」というコメントを沢山いただきました。
3冊目は「すごく分かりやすくて、こういうことか、こう説明すればいいのか!」みたいな感想がほとんどです。もともと結構ややこしくて、きちんと説明できないようなことを、ごくシンプルに書いてますから、嬉しい感想ですね。
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 92,211