【ゲスト登場】普通の会社員が本を出した話、あるいはなぜ私は白川さんと一緒に本を書いたのか?
9月に「業務改革の教科書」を出してから、何度かこのブログでもご紹介してきましたが、実は10月末にもう1冊本を出しました。
「反常識の業務改革ドキュメント」という題で、「業務改革の教科書」の実録版です。
「業務改革の教科書」の方はその名の通り教科書ですから、いくら実例を詰め込んであると言っても、物語として読めるわけではありません。でもプロジェクトってやはり文脈が大事なんですよね。「○○をすべし」というのが、正しいか正しくないかは一概には言えなくて、文脈による。
そういう意味で、「反常識の業務改革ドキュメント」と「業務改革の教科書」を併せて読んでいただくと、プロジェクトの現実やノウハウを一番理解してもらえると思っています。定価高めなんで、合計すると結構しちゃいますのでオススメしづらいですけど。
本屋さんでも並んで売っていただいています。
ちなみに、「反常識の業務改革ドキュメント」の副題は「プロジェクトファシリテーション<増補新装版>」で、4年前に出した本の改題・増補版です。
もともと完全ノンフィクションなので「改訂」という要素はゼロで、改訂版ではなく、「増補新装版」という位置づけです。プロジェクトのアフターストーリーや本に関していただいたQAなどをプラスしました。
さて、前置きが長くなりましたが、今日は初の試みとして、ブログにゲストをお呼びしました。共著者の関さんです。
関さんは古河電工にお勤めで、関さんがクライアント、僕がコンサルタントという立場でプロジェクトを共に戦い、本を共著で出した仲です。お互いの家に行って、手料理をごちそうしあったり、既にクライアントとコンサルタントという感じでもないんですけどね。
ちなみに関さんが握る江戸前寿司は完全に「手料理」という枠を逸脱しています。
今回は「せっかく増補版が出るので、出版前後のことを振り返って、一筆おねがいしますよ」とお忙しい中書いていただきました。
それでは。
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こんにちは。関と申します。
10月22日に出版された『反常識の業務改革ドキュメント プロジェクトファシリテーション<増補新装版>』の共著者です。
4年前に白川さんと書いた『プロジェクトファシリテーション 』にアフターストーリーなどを書き加えた増補新装版です。今回も白川さんと、楽しく議論しながら増補部分を書きました。
「関、本書けよ」
経営会議でプロジェクト報告をした際の社長のこのひとことから、本書の執筆は始まりました。最初は単なる褒め言葉と思って受け流し、質疑応答を続けました。失礼な話ですが、社長の言葉を本気にしていなかったのです。しかし、会議の終わり際にもう一度、
「いいな、本書けよ」
と念を押され、内心慌てて白川さんのところに相談に行きました。
歩く時にも本を読んでいる読書好きの白川さん(さすがに自転車の時は読まないようですが)。元々本を書きたいというお考えを持っていたので、すぐに話は進み企画を立てることになりました。
でも、待てよ...
本を書けよと言ったのは、当社の社長。言われたのは社員の私。
ってことは、えっ、やっぱりオレも書くってことじゃん?
「会社のレポートじゃないんだぞ、誰が読むのかよく考えて。」
初稿を読んだ編集者の第一声。
休日に何ケ月もかけて書いた原稿に書かれる×、×、バツ。
私は本当に普通のサラリーマンですから本を書くなんてことは考えたこともありません。結局、初版本は3回書き直して1年がかりでした。
実は、あまりに書けなくて、出版社の予算からはずされていました…。
最初は何しろ文章が下手すぎて、とてもじゃないけど、フィクションなんて書けません。だから実話しか載っていません。
登場人物は実名、紹介している写真も実際のプロジェクトの風景です。
さらに、最初は3人称で「関は・・○○だと思った」などと書いていました。クライアントである関とコンサルタントである白川さんの2人の視点をうまく入れるためです。
でも3人称で書くのは、素人には難しすぎました。風景描写や感情描写などをサラリと書けないと、ちゃんとした文章にはなりにくいのです。だから1人称に切り替えました。
そして、最後に、白川さんと私が交互に登場して、振り返りながら、思っていたことをそのまま書く形式にたどり着きました。
交互に書き綴る形式であれば、私は私にしか出来ないこと、クライアントである私が心の中で思ったこと、感じたことをありのままに書けば良い訳です。ちなみにこの形式は「エニグモ 謎の会社世界を変える」という本を参考にしました。この本も、2人の共同創業者が交互に書くスタイルだったので。
こうして、当時の心中をお互いに披露しながらプロジェクトを振り返るという形式で、5年間のストーリーを描くことができました。
本を出してから、「100%実話、実名が本になるのがあり得ない」とか「関さんと白川さんが交互に出てくる形式が面白いし、分かりやすい」という感想をとても沢山いただきました。
全て結果オーライ。素人が本を書くための成り行きの結果なのです。
「この本、電車の中で読んじゃダメだよ。オレ、バウムクーヘンのシーン読んで泣いちゃったよ。」
「コンサルタントとそのクライアントとが、仲間意識を持って同じゴールに向かってプロジェクトをドライブしていく様を見せつけられると、私もそのような関係をお客様と築いて仕事をしていきたいと思わずにはいられません。」
この他にも、ブログやAmazonなどでたくさん書評をいただきました。
生々しく且つ恥ずかしい内容も多くご紹介していますが、プロジェクトに携わっている方であれば、きっと「そうそう」と頷いていただけることと思います。
すべてのプロジェクトが成功すること。
それが私たち2人の願いです。だからプロジェクトの成否を分ける特に重要な時期であるプロジェクトの立上げ部分に多くの紙面を割きました。
少しでも私たちの本が読者の方のお役に立つことが出来たら幸いです。
Have Fun!
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