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「おばちゃんコミュニケーション能力」とは対極のコミュ力、あるいは僕が鼻つまみ者な訳

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★おばちゃん的コミュニケーション
最近、僕が圧倒的に好きなブログはコンビニの店長さんが書いている「24時間残念営業」だ。どんなプロのライターよりもいい。才能に嫉妬する。たまにアニメの話?がディープすぎて引くけれども。

僕が書いた「あなたの作ったものはゴミである、あるいはプロとアマの分岐点」という記事へ批判を寄せてくれた時は、ブログを書いていて良かったと思った。あの凄いブログの人から反論もらえるなんて、インターネットすげえや的な感覚。

さて今日は、中でも「おばちゃんという対人コミュニケーション術のエキスパート」
という記事について触れてみたい。

要は、コンビニでパートとして雇っているおばちゃん達のコミュニケーションスキルがいかに凄いか、という話。僕の周りにもおばちゃんは生息しているので、もちろん書いてあることはよく分かる。書き手の観察力と表現力に脱帽。

おばちゃん的コミュニケーションの要諦として挙げられているのは、
・否定しない。
・相手を立てる。相手に恥をかかせない。
・責任の所在を曖昧にする。

というあたり。これを徹底的に意識せずにやるから、人間関係が潤滑になる。皆が気持ちよく生活できるから、モノが売れたり、仕事がはかどる。

 
就職活動中学生の書き物を読むと「コミュ力」という言葉(コミュカじゃなくて、コミュニケーション能力のこと)がよく出てくる。
そして、企業に求められているのはおばちゃん的コミュニケーションだと勘違いしている人も中にはいる。例えば、大学のOBに訪問した時に当たり障りの無い話題で盛り上がる能力。グループディスカッションで横にいる就活生の意見をぶった切らない思いやり。
つまりはチームワークを乱さないで、仲良く出来るスキル?それが得意な人は、もちろん若者の中にもいる。苦手で悩んでいる人もいる。
若者のなかにもおばちゃんコミュニケーターがいるのだ。



★おばちゃんコミュニケーションが害になる時
で、ブログ主のコンビニ店長さんも書いているのだが、こういうコミュニケーションスタイルって、害になる状況も多い。特に、ガツガツビジネスをやっている現場。僕のメインフィールドである「プロジェクト」という仕事の形態はその典型だ。

おばちゃんコミュニケーションの特徴をもう一度見てみよう。


否定しない
⇒相手がよくわからない事を言っていたら、放置せずにきちんと確認しなければならない。そこから対話は始まる。
誤ったことが話されていたら、否定しないといけない。そうしないと自分の目が届かない所で誤った判断がバンバン起こり、仕事が失敗する。


相手を立てる。相手に恥をかかせない
⇒時に相手を否定するのだから、相手を立てられないことも多い。恥をかかされたと感じる人もでるだろう。品質が高くないのに「あなたのそのアイディア、その成果物、いいね!」とか言うと、「何がプロジェクトにとって良いのか?」の基準がずれていくから、無駄に褒めるのも危険だ。


責任の所在を曖昧にする
もうね、やっぱダメですよ。責任が曖昧だと。いつまでもバカな事を繰り返しますよ、組織というものは。トコトン甘え始めますよ。責任を問われないなら、僕だって毎朝布団から出ないもの。



にも関わらず、ブログで書かれているおばちゃんコミュニケーションを得意とする人はビジネスの現場にも多い。とても多い。何も結論が出ていない会議で「今日は有意義な意見交換が出来ましたので・・」とうまく締めるとか。問題を改める約束がされていないのに、「まあ、先方もアソコまで言ってくれているわけだし」と取りなすのが得意な人とか。
つまり、おじさんのなかにもおばちゃんコミュニケーターがいるのだ。



★害になるなら、改めなければならない
で、そういうヌルいコミュニケーションをぶった切るのが僕の仕事の一部になってしまっている。
「今ご説明いただいたのは、良い話だとは思うのですが、単に○○の説明であって、××とは関係がないと思いますが?」
「なんとなく丸く収まった雰囲気になってますけど、皆さんの頭のなか、ずれていると思いますので、ちょっとここに書きだしてみましょう」

こう言う事を言い出すヤツは、おばちゃんコミュニケーターにとっては敵だ。彼らが目指す「波風立たない状況」を破壊するからだ。当然「なんだね、君は」という視線を浴びる。
もちろん僕だってそんなの浴びずに、ぬくぬくと波風立たない状況を楽しみたい。「みんなで仲良く事を進める」「気持よく仕事を終わる」という事の大事さだって分かっているつもりだ。

でも、誤っていることは誤っていると言わなければ、仕事は失敗する。責任の所在を曖昧にしていては、仕事は失敗する。
僕はこれまで数多くのプロジェクトを見てきた。そして、きちんと本音の対話が出来ないプロジェクトは、間違いなく厳しい状況に陥る。誤りや曖昧さは、しばらくして「とても厄介な問題」に成長して戻ってくるからだ。

プロジェクトが失敗するよりは、波風がたったほうがまだいい。
欧米とのプロジェクトを多くやってきた方に先日話を聞いたところ、「欧米に比べて日本のプロジェクト管理で一番良くないのは、conflict solving を避けること」と言っていた。つまり、意見の相違があったらきちんと話し合い、解決策を共に探ることがきちんとできていない。
これは、おばちゃんコミュニケーションと表裏一体である。


ビジネスでの人間関係や仲間意識というのは、飲み会で培われることはない。本音でガツガツ話し、難しいことをやり遂げた時にこそ、生まれるものだと思う。

ヌルい会話を壊すのは、趣味でやっている訳ではないのだ。
みんなももっとやってよ。

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