プロジェクトプラン(1)あるいはプランニングとは何か
★プロジェクトプランを立てるのが仕事
このブログのテーマは、プロジェクトをどうやったら大成功させられるか、ということ(しばらく南三陸の話に浮気してましたが)。
言うまでもないけれども、プロジェクトの成否は最初の計画の立て方にも大きく左右される。僕自身は、プロジェクトのプランを練り上げ、それを自分たちでひぃひぃ言いながら実現する仕事を始めてから、そろそろ10年になる。
「自分はプランを作るだけで、実現は誰かにお任せ。そういえばあのプロジェクトどうなったかなあ・・、と遠い目をする」ようなタイプのコンサルタントだったら、ある意味楽なのだが、僕は「お客さんと共に、最後まで実行しきる」というタイプのコンサルタントを選んでしまった。だから「あのプランの立て方、失敗したなぁ、甘かったなぁ」と過去の自分を恨めしく思う事も多い。
でも、そういうスタイルでやってきたからこそ、良いプロジェクトプランの立て方のコツは痛い目にあいながら学んできた、という自負がある。
そのあたりのコツについて(僕らが普段何を考えて、どの様にプロジェクトをプランニングしているかについて)、セミナーでお話することになった。セミナー資料を作るために、今まで暗黙的に貯めてきたノウハウをラフなメモに書き出したり、これまで一緒にやってきた同僚とブレインストーミングをしてみたら、とてもセミナーで語りきれないボリュームになってしまった。
せっかくなので、ブログにつらつら書いていくことにした。
読者の皆さんのうち、どのくらいの方がプロジェクトの計画を練るお仕事をしているのかは全く不明だが、スジの悪いプロジェクトプランに踊らされて困っている方なら、残念ながら、多いと思う。そういった方が読んでも面白いものにしたい。
★適当なプランで山に登ると、死ぬかも
山登りを例に考えよう。高尾山なら別だけど、ある程度シリアスな登山の時は事前にしっかり計画を立てないと、大変なことになる。
(シリアスな山ではないけど、娘が5才の頃、思いつきで神奈川の大山に連れて行ったことがある。山頂まで無事たどり着いたのはいいが、ケーブルカーの終電に乗り遅れて真っ暗な中で下山したり、普通の運動靴だったから足が痛くなったりして、危うく娘を山嫌いにしかけた。全くもって無計画な父親でした)
プロジェクトでも同じである。登っている最中の状況の変化には対応しなければならないが、だからといって事前のしっかりした計画がいらない訳ではない。計画がずさんだと、後で修正も効かずに泥沼にはまることが多い。
★プランニングとは何をすることか
会議の準備をするときも、プロジェクトの計画を立てるときも、登山の計画を立てるときも「プランニング完了!準備万端!」というためには「4つのP」が整っている必要がある。
1)Purpose
プロジェクトの目的、目指すべきゴールが明確になり、関係者全員で共有され「いっちょめざしたるぜ!」とみんなが思っていること。
分かりやすいはずの登山だって、○○山に登ることがゴールなのか、未踏ルートで登らないと意味がないのか、絶対にだれもけがをしないことが最優先なのか・・。
共有できているようで、実はできていない場合も多いだろう。プロジェクトは目で見えない成果を追うことが多く(例えば、業務の効率化)、プロジェクト関係者全員で共有することは、言うほど簡単ではない。
2)Process
ゴールまでどういう道筋で行くのか。途中にベースキャンプは必要か、どのルートを取るのか。
プロジェクトでは、「施策とその進め方」がProcessになる。例えば「業務効率を30%向上させる」というプロジェクトゴールを目指すとしよう。そのために実行すべき打ち手(施策)は、こんな感じになるだろう。
・今まで全国でバラバラにやっている仕事を一カ所に集約させよう
・今まで電話とFAXで受けていた注文を、お客さんがセルフサービスでやれるようにしよう
さらに、「一カ所に集約させる」ための1つ1つのステップを考えていく必要もある。
こういった一連の検討が、Processを詰める、ということになる。
3)People
誰と山に登るのか、ということですね。
山のベテランを誘うのか。大好きなあの子と二人きりで登るのか。山岳ガイドを雇うのか。山頂に向かわないけれども後方支援をしてくれるメンバーなども必要かもしれない。
プロジェクトでも全く同じである。
「どこに行くのかは、バスに乗せる人を決めた後で考えればいい」
なんて言葉もあるほど、大事な決定である。
4)Property
持ち物。プロジェクトでいうと、施策に使うコンピュータシステムや、プロジェクトの場所や設備などにあたるだろうか。
これらが全て明確になっているとき、初めてプロジェクトのプランが出来た、と言える。
ただし、プロジェクトは誰もが始めてやる、1回こっきりの活動だから「全て明確」と言っても、限度がある。
100%見通せるところまで待っていては、いつまで経ってもプロジェクトをスタートできない。その「見切り発車のさじ加減」も含め、プランニングは難しい。
まとめ。
プロジェクトの計画を立てると言うことは、Purpose,Process,People,Propertyの4Pを明確にするということだ。今日はここまで。
★プロジェクトプランの講演やります
仕事が終わった後の比較的参加しやすい時間帯なので、飲み会の予定がなかったら、申し込んでいただけると嬉しいです。
定時後なので、僕も肩の力を抜いて話そうと思います。(まあ、力がヌケヌケなのはいつもなのだが)。
お腹減っている人が多いだろうから、お菓子くらいは用意するつもり。講演終わった後にも懇親会的な場も用意しようかと思ってます。
◆6月15日(水)Cambridge Seminar 2011 大阪
http://www.ctp.co.jp/events/event_043.html
◆7月6日(水)Cambridge Seminar 2011 東京
http://www.ctp.co.jp/events/event_044.html
◆7月20日(水)Cambridge Seminar 2011 東京
http://www.ctp.co.jp/events/event_045.html