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IPv4アドレス在庫枯渇。ちょっと細かいですが説明を。

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【文末に、11月17日付けの追記があります】

ASSIOMA大元さんが既にご指摘なさっている、

IANA IPv4アドレス枯渇予想時期が加速。2011年3月10日に枯渇。

AfriNIC(アフリカ地域のIPアドレス管理団体)に分配されたことよりも、potaroo.net における枯渇時期予測が、一気に3ヶ月も大きく前振れしたことが、結構いろいろなところで話題になっています。

なぜ一気に前触れしたか、原因だと思われることを説明してみたいと思います。
Geoff Hustonによるpotaroo.netのIPv4アドレス枯渇時期予測は、ひたすら、今までのIPv4アドレス分配のデータを読み込んで、それを多項式近似によって予想消費カーブを作ります。

今回何が起こったかというと、AfriNICへの分配が、potaroo.netが予想していた時期よりも早く起こったんです。実は、AfriNICへの分配が行われる直前に、僕はたまたま potaroo.net をいろいろ眺めていたのですが、AfriNICの分配はもう少し後に起こるというシナリオでした。

potaroo.net では、IANAからRIRへの分配のタイミングは、予想消費カーブで消費し、アドレスポリシーの追加分配条件に従って算出しているだけで、急な消費や分配の増加、一時的、あるいは例外的な動きを読み込んでいるわけではありません。一方で、AfriNICへの分配が早まったというイベントは、その日以降の予想カーブのパラメータに作用しますから、それで枯渇予測日がジャンプアップした、ということだと思います。(説明しきない部分も若干あるのですが、大まかな意味では。)

potaroo.netの予測するタイミング通りに(あるいは近くで)分配が発生した場合、予測カーブのパラメータに作用しない(作用が小さい)ので、枯渇時期予測も(あまり)変わらない、ということになります。前回のAPNICへの分配のときは、そんな感じでした。IANAからRIRへの分配予測時期は、http://www.potaroo.net/tools/ipv4/ のページの中で、Figure. 30というグラフを見ると分かります。

そして、今日(先週から引き続き)今にも分配が起こりそうなところがもう1つあります。北米のARINです。

近日中に何か起こるのでしょうか。

さて、今週は欧州地域のRIPEがローマでミーティングをやっていまして、初日月曜日と言うことでオープニングプレナリなどがありました。そこでこんな発言があったらしいです。

確かに、3月が枯渇だというなら、半年に1度のミーティングは最後になるはなぁ、と、思いながらハタと気づいたことに、この発言(あるいはtsudaり)は的確ではないです。

「これが、IPv4アドレスの在庫がなくなってしまう前の最後のRIPEミーティングになりそうだ」

ではなくて、

「これが、IPv4アドレスのIANA在庫がなくなってしまう前の最後のRIPEミーティングになりそうだ」

でないとおかしい。3月になくなるのは、RIR(地域IPアドレス管理団体)へ分配するIANAの在庫であって、potaroo.netの予測によると、全RIRの在庫がなくなるのは、2011年9月(追記2010年11月17日:調整が入ったようで、その日のうちに12月に修整されました)、ということになっています。もう一度potaroo.netを見てみましょうか。

「3月にはもう新しいアドレスがなくなってしまう」のではなく、「9月までに新しいアドレスがなくなってしまう」という方が正しい表現です。それでも穏やかな話ではありません。

北米・南米・欧州・アフリカ・アジア太平洋の5地域のうち、どこがIANAからの分配の最後の1つを掴むか分かりませんから、IANA在庫がなくなったときの、各地域の在庫というのは、どこかは貰ったばかりで、どこかは寸でのところで貰い損ねた、というくらいの差がありえます。従って、IANA在庫以降、どこの地域が最初に枯渇するのかは分からない、という状況です。

細かい話ですが、IANAの在庫がなくなる前後から、昔分配していて凍結していたclass Bの領域(Various Registries領域と言います)の分配を再開します。これを使い切ったら元々のRIR在庫がなくなり始めるということで、IANA枯渇とRIR枯渇の間の、後半のどこかで、各RIR次々と新規分配ができなくなります。つまり、日本で新規分配ができなくなるのもこのあたりです。日本で新規分配ができなくなると、各事業者の在庫が尽きたら、新たなIPv4アドレスがありません。

「もう少し精緻な枯渇時期予測はできないのか」と言われることもあります。今回大きな前振れがあったわけですが、後ろ振れ要因もないわけではなく(最たる例は、大きなブロックの返却。先日のShownetブロックの返却は、potaroo.netで反映されていません。但し反映されても1ヶ月くらいしか変わりません)、あまり精緻な予測がたてられるわけではありません。

RIPEミーティングでの発言はちょっと大げさに響いたかもしれませんが、今のpotaroo.netの予測が正しいとすれば、APNICミーティングで言うと、次の2011年2月香港のAPNIC31は、IANA枯渇直前、次の2011年8月釜山のAPNIC32は、もうAPNIC在庫もなくなってしまっているかもしれない、ということで、いずれにしてもタダゴトではありません。

できる限り的確な情報の収集と提供に努めたいと思います。

追記2010年11月17日

potaroo.netは11月16日どうも何度か調整が入ったようで、先ほど見たときのRIR枯渇時期予想は、2011(2010と書いていましたが誤記でした。)年12月に戻っていました。(先週見たときには2012(2011と書いていましたが誤記でした)年1月) もう少し様子を見て、必要だったら補足エントリーを書きます。ひとまずご報告です。

以上

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