Made better in Japan
クーリエ・ジャポンという雑誌を定期購読しています。
毎号何かしら唸らされる記事があるのですが、5月号の特集「日本の『明日』の話をしよう。」の中のとある記事は、最近折に触れて感じていたことのど真ん中をついてくれました。
タイトルは、「日本人の完璧主義が生み出した新しい『メイド・イン・ジャパン』」です。クーリエは元記事を全世界の新聞や雑誌に求めるのが特徴で、この記事の元記事はWSJマガジンとのこと。クーリエ・ジャポンの日本語の記事をそのまま見ていただくのは難しいですが、元記事をWebで発見しました。その名も、Made Better in Japan 。
日本語と原文のタイトルがずいぶん雰囲気違うのですが、他の国にその起源があるものも、日本で作ったものの方が良い、という感じの意味です。
記事に出てくるのは、コーヒーのバリスタ、ビンテージジーンズ、フランス料理、ホテルマン、バーテンダー。どれも、本家を凌ぐクオリティを持つ具体例が示されています。
この中で僕が共感したのは、バーテンダー。ありとあらゆる酒材に通じて、カクテルを作るにせよ、ハードリカーやワインを出すにせよ、至上を目指して望む職人気質は、日本人気質の真骨頂だと思います。海外出張は数多いのに結局ここぞという所に行ったことがないだけなのかもしれないですが、あの追いつめ方を、海外で、日本人以外で見いだすことが、想像しにくいです。
それを、端的に説明した段落を引用します。
日本は、長い間自国の文化で磨いてきた完璧主義、特化主義、技能主義、こだわり主義に駆り立てられて、世界中のあらゆる素晴らしいものや知られていないものの多くに、高い水準を求めるようになった。(クーリエ・ジャポン2012年5月号)
The Japanese, animated by the principles of perfection, specialization, craft and obsession that they have long brought to their own culture, have applied the same standards to Basque cuisine, Rhum Agricole cocktails, American-style outerwear, and almost everything else wondrous and obscure from the rest of the world.(wsj.comの原文)
WSJのコメントは、この内容に同調する読者の意見が数多く、それぞれの体験で語られて(上のkwoutの画像でも42件と見えます)、賞賛の声も多かったです。
ここまで誉め基調で書いてきたように、こういう側面は絶対評価に値するものだと考える反面、ビミョーな感じだとも思います。和食など自国の文化や、バーのように明確な国籍がない文化だと問題はないでしょうが、他の国の文化に属するものを、その国の人より秀でてしまうのは、その国の人にとっては心中微妙ではないかと思うのです。「外国人横綱」には慣れてしまいましたが、そういう感じでしょうか。
こういう希有な特質があるのだから、それで世界の皆さんにお役に立てるやり方を編み出せればいいと思うのですが。