GTC 2012の感想
GPU Technology Conference 2012:「KeplerがGPUの新しい時代を切り開く」──GTC 2012基調講演 (1/4) - ITmedia +D PC USER via kwout
GTC 2012が行われたのでその感想を。以下がGTC 2012の面白い記事です。
・「KeplerがGPUの新しい時代を切り開く」──GTC 2012基調講演
・NVIDIAが世界最多トランジスタ数のチップ「GK110」を公開
・スマートフォンでも使える“クラウド型GeForce”を発表
・NVIDIAのクラウドゲーム用システム「GeForce GRID」とは何なのか。気になる遅延周りも含め,現時点での情報をまとめてみる
・NVIDIA,Keplerベースの新世代Teslaを発表。「GK110」コア採用の「Tesla K20」が年内に登場予定
・GTC 2012 - NVIDIA、基調講演でTesla K20とGeForce GRIDを発表
・GTC 2012 - HPC向けKeplerの新機能が明らかに、GeForceクラウドも発表
GTC 2012の最も注目されるニュースは、やはりGK110の発表でしょう。GK104(GeForce GTX 680)の性能はライバルを凌駕するものでしたが、HPC向け機能は一部削減されていましたし、NVIDIAの開発コードとしてはハイエンドではありませんでしたし(GK100があると言われていましたが)、ダイサイズもメモリ幅もハイエンドと言えるものでなかったため、誰の目にもハイエンドが待っていることは明らかでした。
この状況でGK110の発表されましたが、思ったよりもモンスターに見えます。現在発表されているハイエンドGPUのトランジスタ数を比べてみましょう。
GPU | トランジスタ (B) |
GK110 | 7.10 |
Radeon HD 7900 | 4.31 |
GeForce GTX 680 | 3.54 |
GK110が如何に規格外のトランジスタを搭載したか分かります。今までNVIDIAはハイエンドを先にだして、それからミドルレンジ~ローエンドの製品を出してきましたが、この世代からはハイエンドは後回しになりました。
どのような理由からか分かりませんが、ハイエンドが安定してHPC需要を喚起できるようになったので、ハイミドル以下とはコアを分けるために開発が別になったからでしょうか。ハイエンドはユーザも限られているため、GPUの用途もゲームばかりではなくなったから戦略の変更でしょうか。
トランジスタ増加による計算チップの増量だけではなくいろいろとGPUの制約を開放するような多くの機能が盛り込まれました。今後もっとGPGPUの性能がアップするのかも知れません。
また、GK110以外にも仮想化とGeForce GRIDが発表されました。どちらもサーバ側にGPUを配置して計算を行い、その結果を端末側で表示させます。
GPUを搭載したサーバは昨今出てきています。Amazonも提供していますし、IBMもCellをあきらめてGPU搭載サーバを販売しています。
ですが、今まではそのGPUを活用するケースは少なかったのではないかと思うのです。それは単純にGPUの用途が限られているためです。それこそHPC向けの顧客が選ぶような業務ぐらいです。
NVIDIAとしてはGPUの活用範囲を広げる必要性はあります。HPCに進んだのもゲームばかりでは市場は小さいままであることがわかっていたためです。
仮想化とクラウド対応で大きく変わると思うのです。
特にゲームシーンに関しては低スペックのメディアタブレットに高性能なゲームを表示させることはメリットが大きいでしょう。メディアタブレットが今後高性能化することは明らかですが、それでもPCを超えることは不可能ですし、ゲームコンソールをキャッチアップすることは筐体の大きさから出来ないかもしれません(ここは意見が分かれるところだと思いますが)。
これでクラウド側にGPUを搭載するシーンが増えます。ネットワークゲームはコストがかかりすぎることになりますが、そこは競争ですからね。
GPUはトランジスタのお化けなのですからゲーム以外にも活用できるシーンがあるでしょうから、NVIDIAは最初はHPC市場に対応しました。このおかげかNVIDIAのGPUはHPCに採用されるシーンが多くなったと思います。ですが、HPCは非常に市場が大きいわけではありませんし、汎用的でもありません。
このためかKepler世代からHPC向けとゲーム向けに製品を分けるようになりました。コストと需要を考えればこの考えは悪くはありません。市場も立ち上がったので、両方向けという製品の方がコストがかかりすぎるケースも出てきたのでしょう。
ですがそれだけではまだまだ不足しているためか、さらにGPUの活用シーンが模索して仮想化とクラウドに向かい始めました。成功するかわかりませんがCitrixと行っているリモートデスクトップの高性能化の取り組みに関しては一定の成功を収めるのではないかと思います。なぜならリモートデスクトップ遅いですから。
また、もしかするとGPGPUの活用に関してビックデータの解析とかにも使用するシーンとか出てくるのではないかと思っているのですが、あまり見ませんね、そんな記事(知らないだけでしょうか?)。GPUでストレージ直接操作できないから?それより多くのメモリをGPUに搭載できないから無理なのでしょうか?
NVIDIAはなかなか野心的と言うか、市場開拓に熱心なところが今の地位を確立しているのではないかと思わされるイベントでした。