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"勝負は試合の前についている!"の感想

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本書は欧米のスポーツビジネスを紹介しています。本書を読むと日本のスポーツ事情と大きく乖離する現状を思うと暗澹たる思いがします。

"良い製品を作れば必ず売れる(=強いチームを作れば必ず売れる)"は製造業界ばかりではなく興行業界もよく使われるフレーズですが、この言葉は現在ではそれほど意味をなしていません。なぜなら、良い物だからと言って売り上げが伸びていないためです。

MLBは観客数こそ増えていませんが収入を増やしています。国際収入、ニューメディア、新しいスタジアム等によって収入経路を増やし且つ太くしています。この様に変わったのはストライキ(1994年の百万長者と億万長者の喧嘩)による危機によってです。

では、NPBで一番の危機は近鉄バッファローズの脱退の時ですが、あれからどの程度変わったでしょうか。交流戦やクライマックスシリーズなどが増えましたが、改革は試合だけで終わっていないでしょうか。未だに贅沢税も導入されていません。飛ばないボールの採用も試合があまりにも大雑把過ぎたので導入されたことを考えれば試合の質の向上だけ見ているように思えます。MLBが日本の独立リーグへのアクセス(市場開拓)を始めていますが、どの程度NPBは危機感があるのでしょうか。

本書では独立リーグのユニークなセインツの対策(面白いことは良い事だ)、NFLの"戦うのは試合の3時間だけ"の徹底した共存方針、スポーツが社会の公共財としての役割、NASCARのスポンサーへの高い忠誠度等紹介しています。ほとんどが知らないことばかりです。いや、NFLの全体最適化の話を聞いたことがありましたが、個別の最適化も行われているとは知りませんでした。(アメリカのサッカー事情はありませんでしたね...)

このアメリカのスポーツ事情を読むと日本とどうしてここまで差が広がったのでしょうか。NPBは親会社の広告塔からスタートしたからでしょうか。MLBやNASCARは非常に落ちた状況から這い上がっています。このため、一度NPBは危機的状況に陥らないと改善しないのかもしれません(前回の危機もなんとなく回避できたし)。横浜ベイスターズが現在(2011.10)身売りの噂が流れています。横浜スタジアムの問題があるといわれていますがアメリカならば即刻フランチャイズが移動するでしょうね。やはりコミッショナーの様なところに権力を集中しないと改革は出来ないのでしょうか(JFAの様に)。

アメリカと日本のGDP比や人口比から考えても日本のプロスポーツイベント量は少なすぎると思います。アメリカは生存競争をかけて勝負していますが、現状の日本ではそれほどではないのではないかと思えてなりません。このあたりは文化の違いもあるのかもしれませんが、そろそろ日本のプロスポーツも脱却してもいいのではないかと思います。私はもっとチーム数やプロスポーツが増えてもいいと思ってはいます。

逆に言えば、まだまだ日本のプロスポーツは改善できる余地は山ほど残されているよう事と、本書で紹介しているビジネスモデルはプロスポーツ限定の話ではないのではないかと思わさせる一冊でした。ビジネス本としても面白いと思います。

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