"IT社会の経済学 -バークレー流入門講座101"の感想
青木理音氏のブログ(経済学101)の中でIT関連の経済ねたを加筆修正したものを書籍化しています。私は経済よりのブログや本を読まないため(それはいいことではないのですが)、経済学101は知りませんでした。じゃ、それで面白くないかと言えば違います。面白いのです。
本書では海外の記事(日本の記事もある)を引用し、記事の紹介と著者の意見を添えられています。非常に分かりやすい言葉でつづられているため、経済学の講義みたいに退屈はことは一切ありません。面白かったねたをいくつか書いてみます。
企業を立ち上げるということで、ビジネスを成功させるために必要なのは持続力であって、実行力とアイデアだけでは勝負するような単純な頭の良さではないとあります。このことは成功の本質なのでしょう。Appleを創業&復活させたジョブズ氏の生き様がその典型例でしょう。
情報に関して生のデータや情報だけで役に立たず、解析して情報を取捨選択しないといけないとありますが、キューレーションが流行っているのはそのとおりでしょう。ブログやマイクロブログの登場で情報は爆発的に増えましたが、ノイズも一緒に増えてしまいました。検索が今のところある程度機能していますが、整理されたデータでなければ誰でも理解ができるかと言われるとそうではありません。このあたりはそろそろ情報の取り扱いも含めていろいろ展開が必要な気がします(キューレーションはあまりにも人の手が入りすぎている)。
ちょっと面白いのは経済ねたとは離れている"どうやって毎日ブログを更新するか"に関して、著者の思いが書かれています。目的意識の有無によって更新頻度と面白さがでてくると指摘しています。
私が書いているブログは、実はそれほど目的があるわけではありません。毎日更新もしていません(更新頻度の目標は3.5entry/week)。なのであまり面白くないのかも知れませんが、エントリを埋めるためだけのエントリだけはしないでおこうと思っています。なぜなら、そんなエントリ書いていても面白くないですし、読み返しても面白くもないですからね。
Netflixのスーパースター主義に関して、組織の構築ルールでルールを増やすのではなく、より優秀な人材を集めることで混沌を避けるやり方に関しては面白いですね。組織とはそういったものなのでしょう。例えば、ローマが王制->共和制->帝政と移行したところに成功する組織学的なことがあるのかも知れません。
また同エントリにレイオフに関して、アングロサクソン系は業績の低い人、ゲルマン系は転職が可能であろう比較的業績が高い人や若い人、ラテン系では年金などの受給が可能な人を切る傾向にあるようです。文化や社会(転職市場)でここまで思想が違うものかちょっと驚きました。日本がいいことなのか分かりませんが、世界的にはいろいろなルールがあるのだと教えられました。
面白い経済ねたが多く紹介されています。あまり経済ねたを読んだことがないため、ほとんど知らないことばかりだったため面白かったです。そう言った意味では技術者でも視野を広げるためにも読むべき本だと思います。
レーベルとしてインプレス選書は本書で2冊目のようです。1冊目は、"エンジニアとしての生き方"です。両方ともブログを書籍化しています。インプレス選書はまだ歴史が浅いため今後どのような書籍がでてくるか分かりませんが、今出ている2冊は十分に面白かったです。私はあまりレーベル買いはしたことが無いのですが、インプレス選書はレーベル買いしてもいいかなと思ったりしています。