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知的好奇心を満たすために、いろいろなことにチャレンジする

"大局観-自分と闘って負けない心"の感想

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書評を書くタイミングが悪かったかも知れません。著者である羽生善治氏が名人戦(2011/6/22)で残念ながら敗れました。

私は将棋に詳しいわけではありません。小学生以来指したこともありませんが、2010年にあから2010が女流の清水市代さんに勝ったところで興味がわきました(その後の対戦はどうなったんだろうか...)。

このため、本書を手にとって見ました将棋を知らなくても面白かったです。

将棋界には「反省はするが、後悔はしない」は面白く且つ有意義な言葉です。シリコンバレーでは、起業と解散を繰り返されますがこの言葉と似たような方針なのでしょう。やはり、失敗は失敗で学び、次にチャレンジするための足かせにならないように後悔を最小限にとどめるべきなのでしょう。

「リスクをとらないことが最大のリスクである」の考えは、非常に面白いと思います。過去にIntelは、DRAMから撤退してx86に注力しました。この選択はリスク過ぎるだろうと思われますが、そのおかげで現在の半導体業界の巨人になりました。

また、NVIDIAもFermiを作ったときに相当なリスクを背負ったと思います。Fermiは大きなサイズ(コストが高い)で、且つGPGPUとして機能を大量に盛り込みました。おかげで、消費電力あたりの性能やGPUとして性能はライバルに劣るものになってしまいました。また、さらに設計ミスのおかげで、製造が遅れたものです。

ですが、このリスクを背負ったチャレンジが成功したため、Top500でFermiを採用したシステムが増えていますし、AmazonやIBMが採用したシステムを販売しています。GPGPUの先頭に立つためのリスクをとっているため、今の地位に居られているのではないでしょうか。逆にAMDはGPUに関してはリスクをとらない方針にしているためか、GPUとしては地位は高くなっていますが、GPGPUへの対応が今のところ後手に回っています。

AMDが、x86の64bitを発表したときも相当リスクを背負ったと思います。それまでx86の命令はIntelが作っていましたが、その流れを断ち切ったのですから。ですが、そのおかげでサーバ市場で足がかりができて、現在のシェアを確保できています(その後、ちょっと大きくシェアを落としましたが)。

無条件にリスクをとれば言いわけではありませんが、リスクをとらなければ窮地に追いやられるのは、どの業界でも同じだと思います。このため著者は新しい作戦を実戦で試すことをリスクと言っていますが、どの業界でも同じなのだと思います。

情報メタボに関する考察は面白いと思います。Googleの登場で情報を調べることに関するコストは低下していますし、ブログ・マイクロブログ・キュレーションしやすい環境が整っているため、情報が氾濫しやすくなっています。

このため情報メタボで満足しやすくなったのではないでしょうか。著者が"情報や知識はしばしば創造に干渉する"と提言しています。これは、知識が増えすぎたため、それの対抗処理を知り、自分で考えること減ったのではないでしょうか。

溢れる情報のおかげでゴールまで簡単に行けるようになりましたが、ゴール後の道まで書かれてあるわけではありませんし、もしかするともっと別な近道はあったかも知れません。このあたりは、情報化時代の問題なのかも知れません。

本書を読み業界の第一人者は他の業界でも通じることがあるものだと思いました。

後、やはり新書タイプは電車の中では読みやすいですね。このサイズの本か、Kindleのような軽いガジェットで本が読みたいです。あまり厚い本は持ち運びことも読むのもつらいです。

(本エントリはタイトルミスで2011/6/24 9:00に一度掲載したものを、6/25 9:00に再アップ)

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