プラットフォームは垂直統合されるのか
先週Mobile World Congress 2011が行われました。そこでは多くのスマートフォン・メディアタブレットが発表されていましたが、ふと疑問に思いました。それは、スマートフォン・メディアタブレットはアプリのプラットフォームが統一されているのに、PCとはアプリ的に断絶状態されているのは改善されないのでしょうか。
現状はどうなっているのかと考えてみました。
iOSのApp Storeはオンラインアプリストアとして成功しました。これはiTunes StoreがベースになっていることとiPhoneが成功したためだと思っています。また、パッケージアプリの限界を示していると思われます。このため、AppleはMacのアプリもこの流れに乗せています。iOSとMacは言語はObject-Cで統一されているとは言え、MacとiOSは同じバイナリを使用できるわけではありません。統一しようとしている気配は今のところ見えていませんが、過去にPowerPCとx86のバイナリ変換なども行っているため、両者の統合を目指すかも知れません。
Microsoftは、Windwos Phone(ARM)、Windows(x86と将来的にARM)、Xbox系(POWER)といくつかのプラットフォームを持っています。この三つは全てCPUアーキテクチャが違います。ですが、.NET Fremworkで統一することは可能です。ゲーム系はできているためARM版Windowsの登場時期に合わせて統一する動きが出てくるかも知れませんが、まだこのあたりは不明です。
Googleの方針は一番中途半端です。AndroidはJavaで、Chrome OSは今のところJavascript及び向こう側です。また、もっとも得意としているWEBサービスはJavascriptと向こう側です。Androidが少し浮いている感じに見えます。また、Javascriptの速度をカバーするためにNative Clientを公開しています。Native Clientがどの程度成功するかわかりません。これらは少しも統一していませんが、WEBをプラットフォームにするとスマートフォンからPCまでプラットフォームの依存度が最も少なくなります(Web Store等で促進はしている)。
HPは、WebOSをようやく先日発表しました(NokiaとHPの選択の違い)。そこでは、スマートフォン・メディアタブレット以外にPCにもWebOSを展開するビジョンを披露しています。もし、これが成功すればどこよりも早くプラットフォームの垂直統合されます。ただし、現時点(2011.2)で製品は出ていません。
RIMは、スマートフォンとメディアタブレットだけで収まっています。この後、HPに習ってPCまで拡大するのかわかりません。HPほど体力がないため、得意な分野でしばらくは戦うと思われます。
Linuxは最も上(サーバ)から下(スマートフォン)まで完全に統一されたプラットフォームです。ですが、リナザウみたいなスマートフォンが出なければ、スマートフォン・メディアタブレットでLinuxのプラットフォームであるメリットがありません(AndroidやChrome OSはアプリ層が上に置かれていますからね)。このあたりはMeeGoで解決を目指しているのかも知れませんが、Nokiaの撤退で製品を提供するメーカがいなくなりました(Nokiaは最初の製品だけ出した後に撤退)。
スマートフォンの高機能化とメディアタブレットの台頭でPCをリプレイスできるほどの高性能なガジェットが増えました。ですが、ますますプラットフォームの乱立が起き、Windowsが席巻する前のPCの状況に似ているように思えます。
また、スマートフォン・メディアタブレットではPCと同じことが繰り返されるのでしょうか。人間は同じことを何度も繰り返さないといけない動物なのでしょうか。
Javaの理念である"Write once, Run anywhere(WORA)"が未だに実現できていません。仕方がないことですが、ここまでプラットフォームが増えると考えを変えたほうが良いのではないかとさえ思います。
WORAの理念を最も体言化ができるのはHTML5ではないかと言われています(IE 9のサポート率が...)。ですが、モバイルガジェットは速くないため、Javascriptからネイティブに変換するアプリがいくつか発表されています。TitaniumとかGame Closure等が有名でしょうか。
また、jQuery Mobileの様なモバイル向けJavascriptライブラリの整備され始めてきています。さらに、Android 2.3からJavascriptエンジンも高速化されはじめました。
Googleが進めようとしているWeb Storeもモバイルに対応すればJavascriptのプラットフォームの統一ができるかも知れません(速度がネックか...)。
モバイル系プラットフォームとPC系プラットフォームの統一ができるかわかりませんし、両プラットフォーム毎にアプリ開発の稼動が少なくなるツール類が整備されるのかわかりません(現在はこの方面が活発化しています)。
ですが開発者もそうですが、ユーザでも統一されたプラットフォームの方がアプリを活用するには、金銭的面と訓練(経験)的面でもコストを低下させることができ良いはずです。
HPでWebOSで参戦、NokiaのWindows Phoneでのリスタート、RIMのメディアタブレット分野への進出で、モバイルプレイヤーが出揃いました。ここからプラットフォーム競争の激化すると予想されます(もう始まっていますけどね)。この中で抜き出るにはプラットフォームを垂直統合できたプレイヤーではないかと思っています。どこが抜け出すでしょうか。
伏兵にFacebook等のSNSのプラットフォーム提供メーカも有力かも知れないと思っています(Facebookの携帯電話がでるそうですしね)。
スマートフォン/PC/ブラウザ関連
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