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ARMのサーバの可能性

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・「マイクロソフトがARMプロセッサ搭載サーバーを開発か、求人広告が暗示
・「iPad開発チームが参加するAgnilux社をグーグルが買収、ARM採用サーバーの開発が目的か

上記のニュースを読むとARMのサーバもありかも知れないと思い始めました。

ARMのCPUの性能は、「ARMアーキテクチャ」にもあるとおりCortex-A9で2.5 DMIPS/MHzです。Cortex-A9が4コアの1GHzならば10,000 DMIPSになります(理論値ですが)。2コア2GHzで10,000 DMIPSを実現する製品があるようです。

この数値が高いか低いかは、Atomと比較できます。

SandraはDhrystoneを出すことができます。Atom(1.6GHz)は3,849 DMIPS、Atom 330(1.6Ghz)は7,804 DMIPSとなっています。このため、Atomサーバが販売される現状を考えるとARMサーバもあってもおかしくはありません。

サーバは発熱がコストに反映されます。このためクラウドサーバを作るメーカーは発熱問題を無視できません。このため省電力のARMの白羽の矢が立てられるのもうなずけます。また性能も決して遅くないためか、MicrosoftやGoogleがARMサーバを作るためか求人や買収が行われています。

ですが、CPUベンチ関係のSPECでは消費電力あたりの性能のベンチ測定であるSPECpower_ssj2008の結果を見ると省電力CPUの性能に関してかなり懐疑的です。SPECpower_ssj2008のNo.1は、意外なのですが最も消費電力が多いXeon X5670を搭載した製品です。

私はSPECpower_ssj2008が公開されたときに、省電力CPUもしくはSun(Oracle?)のUltraSPARC T2系がトップに立つのかと思っていたのですが、そうではなく単にパワーがあるCPUが上位になっている。

CPUの消費電力よりも他をセーブしたほうがより消費電力あたりの性能があがるのかも知れません。SPECpower_ssj2008のNo.1もSSDを使用しています。

このため、消費電力あたりの性能を考えると省電力CPUを採用することはメリットが大きくないのかも知れません。

ただし、ARM系サーバを作ってベンチを取ったわけではありませんし、用途もSPECpower_ssj2008の様にパワフルなものばかりではないでしょう。実際の製品でベンチ結果等を見ていないにも関わらず結論を出すのは早計です。このため、ARM系サーバのベンチ結果を出して欲しいものです。

AppleやGoogleがARM系に投資します。最初はiPad等のタブレットタイプやスマートフォン用のCPU開発への投資かも知れませんが、将来的にボトムアップしないとは断言できません。ARM系は開発できるプレイヤーが多いだけにx86(Intel、AMD、VIA)から比べたら混沌として面白そうです。

ARM系サーバタイプの開発は時間はかかるでしょうし、GoogleやAppleが開発したCPUは外販されないかも知れません(彼らはハードに関しては閉鎖的なので)。ですが、プレイヤーが増えるのは市場の活性化になりますので、ぜひともARM系サーバが出荷されることを期待しています。

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