「販売」と「営業」の違い~販売管理システム、CRMからERPの関係(1)
社内研修の講師として、企業の様々な活動、業務と情報システムの関係について話をした。 そのいくつかを簡単に紹介していきたい。今回は「販売と営業の違い」である。
<自販機と営業マシンの違い>
街中にある「自販機」。これは「自動”販売”機」であり、「自動営業マシーン」とは言わない。
「営業マシン」という言葉を聴くと、イメージするものは、
・勝手にお客様との商談を決めてきてくれるアタッシュケースを持ったロボコップ
のようなマシン
か、
・あいつガンガンに注文をとってくる営業マシンみたいなやつだな、といわれる人
でなないだろうか。
この自動販売機と営業マシンの違いは何かというと、
販売:お客様が売る場所まで来て商品を選択する
営業:お客様のところに行って、最適なものを提案し、交渉し注文をもらう
となろう。
<訪問か来店か>
自販機が「販売」であるのと同様にケーキ、家電などのお店にいる人は、「販売員」と呼ぶ場合が多いようだ。 店舗販売の場合は
「自販機と同じようにお客様が来て、お客様が商品を選ぶ」のであり
「お客様のところに行って、お客様に合わせて提案し、交渉する」のではない
からだろう。
店にいる販売員の場合は、来客したお客様が商品を選択して「これをお願いします」と言ってくれることが一般的だ。お客様が決めた商品の価格を知らせて、お金を受け取り、商品を渡すという以上のことは行うことはない。求められるものは、手際のよさ、そして、笑顔だ。
多少微妙なのが、
「お客様に訪問して、洗剤需要を喚起しながら新聞を売っている方」
である。 「新聞販売員」と呼ぶことが多いようだが、これは、
商品選択の幅が狭 く、訪問時のやり方がマニュアルや法律によって決められ、売るための工夫できる余地が少ない
からだろう。
<販売と営業の違い>
「販売」と「営業」の違いは、決まった定義ではないが、
「ビジネスサイクル全体=営業活動のうち、商品とお金の受け渡しなどの一部の"業務"を"販売"という」
社内研修用に短時間で書いたので、まとまりがないが、その関係は左のようになる。(クリックすると大きくなります)
それを行う人である「販売員」と違い「営業マン」は
・お客様が来るのではなく、お客様に行く(場合が多い)
・お客様が商品を選ぶのではなく、お客様に合わせて商品を提案する
・自社商品を売るだけではなく、お客様の問題解決に役立つものをアレンジして提供し利益を得る
・一般消費者ではなく、会社相手の取引である(場合が多い)
・商品と金銭の受け渡しなどの「単純な業務」ではなく、新規顧客開拓から顧客維持まで、販売のために必要なビジネスサイクル全体を活動の対象とする
のだ。
だから、人によってその内容が異なり、営業マンのスキルによって大きく業績が変わるのである。
英語ではセラーが販売員、ビジネスマンが営業マンということになるだろうか。
<情報サービス産業の場合は、まさしく「営業」>
私たちのようなシステム構築サービスを提供する企業の場合は、はまさしく「営業」である。
売る商品に関しても、お客様の問題を解決するためには、自社ラインナップ以外の
商品も販売するし、構築サービスもサービスメニュー以外のものをお客様に合わせて工夫して提案し、提供する。 そして、お客様の信頼を獲得し、顧客を
維持しながら次の商談につなげていくのだ。
営業の中には「単に売るだけ」で、お客様の維持、お客様の満足と、それを次の商談につなげていくというビジネスサイクル全体を意識、活動して”いない” 者もいる。 売るだけの販売にとどまらずに、「営業」として活動をしてほしいものだ。
次回は、「販売」「営業」と「事業」の違い、第三回では、SFA、CRM、ERPなどとの関係を紹介する。
→ 「販売、営業」と「事業」の違い http://blogs.itmedia.co.jp/kenjiro/2010/07/crm-a311.html
→ 「販売、営業、事業」と情報システムの関係 http://blogs.itmedia.co.jp/kenjiro/2010/07/crm-97d4.html
○ビジネススキル関連記事一覧 http://blogs.itmedia.co.jp/kenjiro/cat3829474/index.html