40分間限定ミニセミナー開催の魅力
先日、アメリカのMicrosoftでWindows95の設計思想を生み出した日本人・中島聡さんによる『なぜあなたの仕事は終わらないのか』を読みました。
著者の中島さんが子供時代からマイクロソフト時代を経て現在までどのような体験をしてきたのか、どのように効率的な時間の使い方をしてきたのか描かれています。伝説のプログラマーの半生を追体験できるだけでも面白いのですが、なるほどと共感してしまう時間術が複数書かれています。
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その影響で時間の使い方に興味が湧いていたところ、当ブログの教育ICTの連載で取材させていただいている望月陽一郎先生(大分県立芸術文化短期大学)が気になる時間の使い方をされていました。望月先生のミニセミナーが、「40分」である点です。
望月先生は当ブログの短期集中連載に合わせて学校の先生方(教員の方)に生成AIに関するミニセミナーを開かれました。なぜ40分にしたのかというと元々はZoomの無料版が40分しか使えないことがきっかけだったそうです。
しかし、40分でセミナーを実施した結果、以下のようなメリットに気がつき、「校内研修でも使えるのではないか」と思われたそうです。
まずオンラインミニセミナーは、参加者から見て
- どこからでも参加できる。
- 40分でZoomが切れるので時間がきっかり終わる。
というメリットがあります。
そして、さらに
- 事前に参加者から質問を提出してもらうことで、質問に回答する時間を確保する。
- 事後アンケートもフォームで行い、事前に配信しておく。
という流れで開催者も時間を効率的に使うことができるとのことでした。
望月先生の場合は、今回講義を30分、質疑応答に10分とされていました。質問はウェブサービスを利用して事前に送ってもらう、参加者からのアンケートもウェブサービスで効率化しているので、このような工夫をすれば、Zoomの無料版を使って一人でもミニセミナーの開催が可能になりますね。
私が望月先生のミニセミナーに参加した際、私が事前に送った「ChatGPTを利用してES(エントリーシート)を作成する人が増えているため、生成AIが考えた内容のまま提出する学生が増え始めていると聞きましたが、どのように対策したら良いでしょうか」という質問にも講義の時間内にお答えしていただきました。
望月先生は「ChatGPTを使うのが良くないのではなく、自分の考えをきちんと盛り込めているのか、が大切なのではないでしょうか。生徒自身の考えを盛り込めるようにご指導なさってはいかがですか。」という回答をくださいました。このように事前に参加者全員から質問を集めていると、質疑応答でも手際よく回答できるメリットを感じました。
私が特にいいと思ったのは、「40分」という時間です。望月先生が過去に行われた学校の先生方へのアンケート調査では、時間がないためプログラミング教育等の勉強に手が回らない・余裕がなさ過ぎて研修に参加する時間がないといった意見が目立ちました。しかし、40分きっかりに終わることが明確なミニセミナーならば、先生方が参加しやすくなります。
また、40分という時間の制約は会社員の方にもメリットがある時間なのではないかと考えました。というのは、2008年ごろから「朝活」という言葉が流行り、会社に出勤する前の時間を自分の趣味での交流や自己研鑽等に使う活動がブームになっていましたが、40分間という時間ならば朝の出勤前に参加することができるからです。
仕事が終わった後でも40分きっかりで終わることが明確であれば、隙間時間を活用することもでき、精神的な負担も少なくなります。
40分限定という形式でのミニセミナー開催は情報発信したい方・忙しくて時間がないが学びたい方に有益なのではないかと思った次第です。望月先生のミニセミナーから学んだアイディアが読者の皆様のご参考になりましたらうれしいです。