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グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

リブート第9回「教育現場におけるWindowsタブレット活用事例 ~望月陽一郎先生のお話より~」

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現役の先生に教育現場のICT活用について伺いました(2014/10/28初公開分をリブート)

リブートシリーズ・・・2013年から不定期で掲載してきた「教育・授業・ICTに関するインタビューシリーズ」を、今に合わせて「再構成」していく企画です。


中学校で教諭をされておられる望月陽一郎先生に教育とICTを学校現場でどのように実践されてきたのか、お話を伺っています。

【望月陽一郎先生・略歴】
大分市中学校教諭(理科担当)。大分県教育センター情報教育推進担当主事、指導主事、大分県主幹等を経て、現職。


【前回の概要】

大分市では、平成25年度にタブレットが各中学校に導入されたことを望月先生から教えていただきました。そこで、前回(リブート第8回目)では、

  • タブレットの導入状況(一校あたり)について
  • 導入時に問題と感じた点と、工夫した点
  • 有線アダプタや追加のAppleTVについて
  • アプリをどのように活用したのか

等のお話を伺いました。

関連記事
学校へのタブレット導入事例 ~望月陽一郎先生のお話より~

今回は望月先生が授業でWindowsタブレットを試用した際の実体験について、お話くださいました。

○Windowsタブレットの活用実践例について

-前回のインタビューで、「MicrosoftのSurfaceRTとiPadとの併用や比較」をされている(2013年当時)、と伺いました。それぞれの端末のメリット・デメリットを教えていただけますか。

望月先生:昨年度(2012年度)DiTTからお借りしていたiPad10台を返却してしまい、学校にあるタブレットの数の少なさを補うため、日本Microsoft社の広報経由でお願いしWindowsタブレットである「Surface」をお借りすることができました。
お借りした端末は以下のような仕様でした。

【Surface RT(一世代目)の仕様】(2013年当時)
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・WindowsRT8.1
・Office2013RTプリインストール
・ストアアプリが使用可能
・ローカルアカウント+個人アカウントが使用可
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▼SurfaceRT https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4037671/surface-surface-rt-specifications

私も今回Surfaceを初めて使ったのですが、使ってみていくつかわかったことがありました。授業で使うタブレットとして考えた際、課題となりそうなことです。

【授業で使う際の課題となりそうな点】(2013年当時)

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・スタート画面(タイルが並ぶ)とデスクトップ(従来のWindowsデスクトップ)の関係がわかりにくい。

・WindowsRTのため、ストアアプリが限定される。(RT対応アプリのみ)また検索画面がAppleのAppStoreより使いにくい。
・AppleTVのような無線投影ができない。(Surface2から対応)
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こうしてあらためて比較してみると、iPadが使いやすいことがわかります。
タブレットに初めて本格対応したWindows8熟成してきたiOSの違いともいえそうですね。

【iPadの方が優れている点】
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・ホーム画面でのアイコン管理がしやすい。
・AppStoreアプリが充実している。
・AppleTVで簡単に無線投影ができる。
 さらに、
・機能制限、アクセスガイドなど使いやすい管理機能が充実している。
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こういったところでしょうか。指導者用・学習者用としても、「使いやすさ」「わかりやすさ」は、限られた時間内に行う授業では大切なポイントといえます。

Windowsもこのあたりを改良していくと、教育用タブレットとしての価値が高くなると思います。(2013年当時)

○活用で気になったことについて ①オフィスのメリット

-「タブレットでMicrosoft Officeを使えることが、授業でどれくらいメリットがあったのか? 」をお聞きしたいです。というのは、以前読んだIT系の記事に、Microsoft Officeがインストールされている点は強力なメリットであると書かれていたからです。

望月先生がWord・Excel・PowerPointを授業で使われた際、どのようなメリットがあったのか気になりました。

望月先生:以下のDiTT「先導先生」のページにExcelを授業で使った実践例を載せてもらっています。

参考URL: DiTT「先導先生」
http://ditt.jp/action/case/teacher.html
 ・話し合う・・・③Excelミーティング

【授業活動の概要】
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・実験した記録をグラフ化して、その特徴を話し合う場面(グループ活動)において、グラフ化が苦手な生徒もいるため、どんなグラフの形になるのかイメージをつかませた。
・Excelのシートにデータを入力し、そこに表示されるグラフをもとにそれぞれ自分のグラフを書き、その特徴について話し合った。
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【評価/振り返り】

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・データを入力していくことでグラフの形ができてくるのを見ることで、その変化をイメージしやすかったという感想が多かった。
・Excelシートは入力するだけだったので、集中することができた
(シートに制限がかかっていたので入力ミスもしなくてすんだ)
 ※表を作らせたり、グラフを作成させたりするのが授業の目的ではない。
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Excelのシート保護機能や入力規則を使ってあらかじめ準備していたため、「グラフの特徴を話し合うことに集中させる」という目的は達成できました。こういう細かな設定は、Excelの得意とするところですね。

-なるほど。確かにExcelは設定が細やかにできるので、いいですよね。Numbers はMicrosoft Excelとの互換性がありますから、Excelで作成したデータをiOS向けのNumbersで開くことができますし。

参照記事:iWork ▼https://www.apple.com/jp/iwork/

○活用で気になったことについて ②スタート画面の使い方

-前掲【授業で使う際の課題となりそうな点】の中に、「スタート画面(タイルが並ぶ)とデスクトップ(従来のWindowsデスクトップ)の関係がわかりにくい」という感想がありました。先生の工夫でフォロー可能だったのか、について伺いたいです。

望月先生:私もWindows8を使うのが初めてだった(2013年当時)ので、その多層構造?にはとまどいました。タイルとデスクトップのアイコンとどういう関係なのだろう?と。

iPadだとホーム画面にアイコンを並べる、フォルダでまとめるくらいなのですが。

-生徒さんたちはどうでしたか?

望月先生:こちらであらかじめ、「スタート画面」に授業で使うアプリのみのタイルを並べておくようにしてから始めたので、とまどいはありませんでした。

【授業で使うアプリとして並べたもの】
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・黒板 ・フォト ・カメラ ・星座表 ・植物図鑑
・Excel・・・グラフを使うときに追加しました。
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そのため、デスクトップを生徒が操作(カスタマイズ)することはありませんでした。

-そうなのですね。Web上の記事では、「例えば、Windows 8ではデスクトップ画面を表示するには、タッチ操作に最適化されたスタート画面を経由しなければならず、社内でデスクトップしか使わないユーザーにとっては不満の要因ともなっていた。

 これが、Windows 8.1では起動後に表示する画面をデスクトップに設定変更することができる。つまり、起動すればすぐにデスクトップ画面が表示されるので、従来のOSと同じような使い方ができる。」と解説している記事がありました(2014年当時)。

Windows 8はUIが従来のものからだいぶ変わったため、とまどう人が多かったのでしょうね。

【片岡より】
前掲した引用は、元記事「windows7かwindows8か」が削除されていました。元記事のURLは、以下の通りです。(http://shanimu.com/%E7%89%B9%E9%9B%86/2013/09/part2%E3%80%80windows7%E3%81%8Bwindows8%E3%81%8B.html

望月先生がされたように、「スタート画面」に授業で使うアプリのみ表示していれば、生徒さんたちは操作しやすいと思います。何を使えば良いのか明確ですし。先生の側で事前に設定を行っておけば、問題はなさそうですね。

○活用で気になったことについて ③アプリの数について

-Windows系のアプリはAndroid系のタブレットやiPadに較べると数が少ないという噂を聞きました。日本マイクロソフトがアプリコンテストを開いて増やそうとしたそうですが、まだたりないようですね?(2014年当時)

また、日本Microsoft社からお借りしたタブレット(Surface)のOSはWindowsRTだったため、使えないアプリが多かったというお話も気になりました。標準インストールされる「Office2013RT」では、マクロやアドインが使えず、スカイドライブとの自動同期機能がないとおっしゃっていましたが。

望月先生:話したように、ストアアプリから使えそうなものをダウンロードしてタイル配置しました。通常のフリーソフトなどが使えないので、使えるものをどうやって選択して使うかは授業者の工夫次第ではないでしょうか。

理科の授業なので、Officeの使い方を習得させるのが目的ではありませんから、マクロが使えないことなどは意識にありませんでした。

-確かにそうですね。理科の内容を身につけることが本来の目的。そのためにタブレットを使うのですから、必要な機能が使えれば問題ないです。

ところで、Surface RTでは「また、RTは従来のウィンドウズ向けソフトをインストールできない、ドメインに参加できないといった機能制限もある」という話も(2014年当時)。Surface RT はノートPCとしても使えるメリットがあります。RTに対応したアプリでないと、利用できないデメリットもあります。

Windowsタブレットを使いたい場合は、RTではなくSurface Proを選んだほうが授業で使いやすいのでしょうか?

望月先生:目的によるでしょう。1人1台で、Officeの使い方や専用のソフトまで授業で使うとなるとSurfaceProでないと難しいのではないでしょうか?そうでなければ、安いWindowsタブレットという選択肢もでてきますね。

参考URL:Microsoft SurfacePro
https://www.microsoft.com/ja-jp/surface/devices/surface-pro/overview

-タイプカバーを組み合わせれば、ノートPCとしても十分使えて、いいですよね。Surfaceペンで手書きのメモも書けますし。

○活用で気になったことについて ④無線投影について

-Surface RTでは無線投影ができなかったとのこと(2014年当時)。「無線投影したい」と考えられたかと思いますが、望月先生はどのように対応されたのでしょうか?

望月先生:AppleTVでAirPlay(ミラーリング)できるのは、iPadの大きなメリットですね。自由に教室内を動くことができるのは、とても大きなポイントなのです。

それがSurfaceRTでは難しかったのです。Microsoftからのアドバイスで、Surface2(2代目)を別途数台お借りしました。

そのSurface2と、Net Gear PTV3000という機器の組み合わせでミラーリングできるようになりました。

Net Gear PTV3000
http://www.netgear.jp/products/details/PTV3000.html

指導者用Surface2だけミラーリングしましたが、グループで使っているSurfaceはわざわざミラーリングしなくても、そのまま指導者用タブレットのカメラで撮影すれば共有できるわけです。

この方法なら、iPadとSurfaceRTという組み合わせもできますね。

-なるほど。「Surface2と、NetGear PTV3000という機器の組み合わせでミラーリング」すればよいのですね。タブレットの長所を生かした活用法、とてもいいアイディアですね。

Windowsタブレットを授業で使いこなすための工夫・実践は、なかなか他では聴けないお話ではないかと思いました。Surfaceを活用した事例をお話しくださった望月先生、大変ありがとうございました。今回取材したお話が、学校の先生方やIT業界の皆さまのご参考になりましたら、うれしいです。

>>リブート第10回教育現場における「提示の工夫」 指導者の提示用タブレット・編 ~望月陽一郎先生のお話より~」(12月15日公開予定)に続く

Reboot Produced by Yoichiro Mochizuki

参考記事

先導先生 - DiTT(デジタル教科書教材協議会)
※望月先生の45の取組みが紹介されています。

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