アクティブ・ラーニング(子供たちが学びに向かう姿)の視点からの授業改善 学期末の子供たちの感想編
望月陽一郎 先生(中学校教諭)に取材している「アクティブ・ラーニング(子供たちが学びに向かう姿)の視点からの授業改善」シリーズは、おかげさまで大きな反響をいただきました。
- アクティブ・ラーニング(子供たちが学びに向かう姿)の視点からの授業改善(その1)」
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望月先生は「アクティブ・ラーニング」について、以下のようにまとめてくださいました。
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【望月先生が考える アクティブ・ラーニングとは】
子供たちが授業に集中し「面白い」「わかった」と、取り組んでいるなら、先生が話をずっとしていようが、グループ活動していようが、「ALの状態」といえますね。
- 先生が一方的に話すのではなく、グループで対話をする活動を取り入れる
という、「見た目の手法」ではなく、
子供たちがずっと学びに取り組もうと思うように「教科・単元設計を見通しをもって考え」、「子供たちの感想・授業評価から常に授業を見直して修正し続ける」工夫ある授業作り、が、「ALの視点からの授業改善」と考えています。
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今回はアクティブ・ラーニングの視点から望月先生が行った授業改善を踏まえ、生徒たちはどのように感じていたのかをお聞きしました。
【望月陽一郎 先生・略歴】
大分市 中学校教諭(理科担当)。大分県教育センタ- 情報教育推進担当主事、指導主事、大分県主幹等を経て、現職。
https://www.facebook.com/yoichiro.mochizuki/about を参照。
学期末の子供たちの感想(先生への通知表)
‐アクティブ・ラーニング及び、望月先生が行われた授業改善の取り組みは、読者の皆さまから大きな反響をいただきました。ありがとうございました。
今回は「望月先生の授業を受けた子どもたちは、授業をどのように感じ、受け止めていたのか」を知りたいと思いました。差し支えのない範囲で、教えていただけますか。
望月先生:毎時間の振り返りも行っていますが、学期末に書いてもらった子供たちの感想(先生への通知表)をまとめています。項目としては、
- 小テストについて
- 実験・観察について
- テレビ、iPad活用について
- リフレクションについて
です。
‐「先生の説明がわかりやすかった」「授業に熱中できた」「理科の授業が楽しかった」「よく理解できた」などが多かったのでしょうか。
望月先生:まとめてみると、もっと具体的な記述が多くありました。記入欄いっぱいにみんな書いてくれていました。
◯小テストについて
・復習になった。
・自分のわかっていないところがわかった。
・定期テストにつながった。
などが多くありました。リフレクションシートと一体化させ、返却したあとはポートフォリオ化(ファイリング)させているので、こういう回答が多かったと考えられます。
◯実験・観察について
‐以前おききしたように、「iPadで先生の手元を拡大表示していたので、見やすくてよかった」などが多かったのでしょうか。
【関連記事】理科の授業におけるICT活用術 ‐中学校教諭・望月陽一郎先生のお話より‐:教育ICT研究室よりhttps://blogsmt.itmedia.co.jp/kataoka/2015/06/science.html
望月先生:1~3年を通して一番多かったのが、
・安全に気をつけて説明してくれたので、無事に実験をすることができた。
でした。また、
・毎回実験や観察があってよかった。
・先生が自作してくれた器具で実験したことが多かったので、実験の仕組みなどがよくわかった。
などの回答が多かったですね。
理科では、デジタルで見せる教材ではなく実際に実験することが、内容の定着や理解につながりますね。また、安全指導をすることで、生活につながっていきます。
そのために、ガスバーナーの使い方ひとつに時間をかけたり、安全面で問題をみつけたらその班は中止させたりするなど、安全(なぜ気をつけなければいけないかその理由)を重視してきたことを、子供たちに評価してもらったと思います。実験の説明場面などでは、ICTを活用し時間短縮しました。
‐なるほど。リアルな体験が大事ですよね。
◯テレビ、iPad活用について
‐これについては、以前から言われていた「iPadとテレビを組み合わせて、実物を投影してくれたのでわかりやすかった」「グループ2台活用がよかった」などが多かったのではないでしょうか?
望月先生:昨年は、Microsoftさん・NECさんの協力でグループ2台活用や「ランダム・フラッシュカード」が使えましたが、今年は協力がなくなったので使えていません。
・教科書を拡大して大切なところに線を引いたりしてくれるので、わかりやすい。
・時間短縮になって、いろいろな活動ができた。
・テレビだと、先生が黒板と重ならなくて見やすくてよかった。
などが多かったですね。
‐ベーシックな部分が子どもたちに喜ばれていたのですね。
◯リフレクションについて
‐「リフレクションのおかげで、先生がぼくたちのわからないところを次の時に補足してくれるのがわかりやすい」は多くなかったですか?
望月先生:「自分の振り返り」という意味で、
・授業を振り返ることができる。
・自分が次に気をつけることがわかる。
・理科の質問を書くと、答えてくれる。
・よかったところに線を引いて返してくれる。
これらを見ていくと、子供たちが1学期の理科の授業にどう取り組んできたか・どう捉えてくれたか、授業評価してくれた結果が見えてくると思います。表面的な理解より、「深く学んでいる状態」に近づいていると感じています。
‐まとめていただき、ありがとうございます。やはりアクティブ・ラーニングとは、何かの手法ではなく「主体的」「対話的」かつ「深い学び」であることが伝わりました。望月先生のご指摘のように子どもたちの頭の中がアクティブであるのが「アクティブ・ラーニング」であり、また「子どもたちがどう感じているかを忘れてはならない」ことも押さえていきたいと思います。
授業や教員向けの研修等でお忙しい中、今回もありがとうございました。
まとめ
メディアの記事では、「アクティブ・ラーニング型授業」とか「アクティブラーニングの手法」と表記されていることがよくあります。望月先生が以前からご指摘してくださっているように、教員目線ではなく、子どもたちの目線・子どもたちを主体として考える必要があると受け止めました。
私自身も、ジグソー法などのグループワークをしたり、ICTを取り入れた授業を行えばアクティブ・ラーニングになるといったりする風潮はどうか? と感じています。
グループワークをすれば子どもたちの身体は確かに動いてはいる(アクティブ)のですが、教員・講師の目線で考えてしまうと、本質からズレてしまいかねないように思います。
子どもたちが本当に深い学び・深い気づきができているかどうかを常に確認しながら、授業を進める必要性を感じました。この記事が皆さまのご参考になる事を願っています。
「アクティブ・ラーニング」についての補足
今回は、望月先生が行ったアクティブ・ラーニングの視点で行った授業改善に対して子どもたちがどのような評価を行ったのか、お話しいただきました。望月先生の実践は以下のインタビューで具体的に紹介しています。
第16回 アクティブ・ラーニング(子供たちが学びに向かう姿)の視点からの授業改善 その1
▼アクティブ・ラーニング(子供たちが学びに向かう姿)の視点からの授業改善(その1)
https://blogsmt.itmedia.co.jp/kataoka/2016/06/active-learning.html
第16回目は、「現在行っている授業改善」について質問をしました。
【第16回目にお話ししていただいたこと】
- リフレクション(振り返り)シートのポートフォリオ
- KPシートバンクシステム
具体例は、「アクティブ・ラーニング(子供たちが学びに向かう姿)の視点からの授業改善(その1)」をご参照くださいね。
第17回 アクティブ・ラーニング(子供たちが学びに向かう姿)の視点からの授業改善(その2)
第17回目は、「教科の中で行うプログラミング学習」等について質問をしました。「小学校でのプログラミング教育の必修化」に関心がある方に特にオススメです。
▼アクティブ・ラーニング(子供たちが学びに向かう姿)の視点からの授業改善(その2)
https://blogsmt.itmedia.co.jp/kataoka/2016/07/active-learning.html
【第17回目にお話ししていただいたこと】
- 理科授業における「プログラミング学習」
- 「プロジェクション・ワークシート」の取り組み
具体例は、「アクティブ・ラーニング(子供たちが学びに向かう姿)の視点からの授業改善(その2)」をご参照くださいね。
参考記事
先導先生 - DiTT(デジタル教科書教材協議会)
※望月先生の32の取組みが紹介されています。
まとめ記事
今までに取材した「授業でのICT活用のポイント」「学校でICT機器を活用する時のポイント」「教材作成時に気をつけたい著作権の問題」などについては、以下の記事にポイントをまとめました。ぜひご参考にされてくださいね。
- 授業に役立つICT活用術 ‐望月陽一郎先生インタビュー まとめ編‐
- 授業に役立つタブレット活用術 ‐望月陽一郎先生のインタビュー まとめ編‐
- アクティブ・ラーニングに近づくための授業術 ‐望月陽一郎先生のインタビュー まとめ編‐
※インタビューの第1回目から15回目をまとめています。