【書評】永井孝尚「戦略は一杯のコーヒーから学べ」ー主人公と共にビジネス戦略を効率よく学べる本ー(PR)
永井孝尚さんが「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズに続く、新作を発表されました。「戦略は「1杯のコーヒー」から学べ! 」です。この本を読むと、コーヒーチェーンに転職した主人公とともにビジネス戦略を効率良く学べます。小説仕立てのビジネス書です。
参考:永井孝尚『戦略は「1杯のコーヒー」から学べ! (ビジネス・経済)』
本書の概要
主人公・新町さくらは150センチくらいの小さい女性。にもかかわらず、理不尽だと思うとド迫力で相手に食らいつく。あだ名はチビ魔神。金融会社勤務の新町さくらは、社長の横柄さにキレてしまい、こんな会社辞めてやると啖呵をきります。たまたま入ったドリームコーヒーで一杯1000円のコーヒーに出逢います。
あまりの美味しさにコーヒーに興味を持ち始めた主人公・さくらは、コーヒーの事をよく知らないままドリームコーヒーに入社します。社内外の人にコーヒーのことを教えてもらいながら、ビジネス戦略も身につけていくお話です。
さくらは会社をたてなおすため、社内外の人にボケをかましながら、どんどんビジネス戦略も身につけていきます。勉強が苦手なさくらは、人に聞いて体験して学んでいきます。
そのため、主人公が各専門分野の詳しい人を見つけて、レクチャーしてもらう形式で進みます。板書に該当する「藤岡雅治のパソコン」「新町さくらのメモ」などが載っています。台詞だけでなく板書も載っているので、ビジネス戦略が頭に入りやすかったです。
さくらは「会社を立て直すには、"ドリームコーヒーらしさとは何か"を追求する事だ」、と気がつきます。
本書で紹介されている事例
ドトールやUCC、スターバックス、セブンカフェなど、実際にあった事例を知ることで、我が社の強みは何かをあぶり出していきます。
- 第一杯目 ドトールの本当の勝因は「低価格戦略ではない」
- 第二杯目 「邪道」と言われた缶コーヒでUCCが成功した理由
- 第三杯目 マクドナルドがプレミアムローストで目指したもの
- 第四杯目 「コーヒーの香り」を失ったスタバが考え続けたこと
- 第五杯目 ネスレはなぜコーヒーマシンを無料で提供するのか?
- 第六杯目 5度目の正直で大ヒットしたセブンカフェ
- 第七杯目 「コーヒー界のアップル」ブルーボトルの第三の波
- 第八杯目 お客はカフェの「何に」お金を払うのか?
- 第九杯目 サティスナブル出ないコーヒーは生き残れない
- 第十杯目 スタバが広告費をほとんどかけない理由とは?
各章(杯目)の見出しの下に、
第四杯目 「コーヒーの香り」を失ったスタバが考え続けたこと
経営合理化と業績悪化のバランス
とサブの見出しがあります。
このサブ見出しは、各章(杯目)で何を学べるか・身につけられるかを示しています。何を学べるのかチェックした上で各章(杯目)を読むと、効率良く学べます。
本書から学んだ事
"第四杯目 「コーヒーの香り」を失ったスタバが考え続けたこと"の事例は、私もお店で感じていたことでした。スターバックスから一時期おいしさ・香りが失われた話は、チーズの入ったサンドウィッチが出た頃です。
スタバで軽食をとれるのはうれしい。でも、コーヒーの味や風味が前と違っているような気がしていました。効率化を進めたために、店で豆をひかなくなったのが原因だったそうです。効率化・経費削減を進めるだけでは、かえって自社の魅力を損なってしまう訳です。
コーヒー屋ではありませんが、富士フィルムがデジカメ普及をにらんで生き残りをかけた実話や、シャープが影響というコア技術ではなく液晶テレビのみに力を入れておかしくなった話は心に残りました。
自社・自分のコア技術を高め、貫く事はビジネスを継続するために必要。しかし、コア技術ではなく特定の商品た力を入れると長期的な存続が難しくなる。コア技術に力を入れたつもりで...という点は勘違いしやすい部分だと思います。大変ためになりました。
まとめ
「戦略は一杯のコーヒーから学べ」には、漫画のキャラみたいに個性あふれるキャラクターたちが多数登場。ビジネス戦略の名著を元に、ためになることが書かれています。所々にみなみのボケ・ダジャレをはさんでいるので、一気に読めました。
この本の魅力は小説を読むだけでも、物を売る・サービスを売るためのビジネス戦略がおおよそ把握できる点です。コーヒーを愛する専門家たちが、橋田壽賀子さんのドラマのような長ゼリフで熱く語るのは愛嬌があります。
主人公が様々な課題を乗り越えていくので、自分の仕事に置き換えて再考するとさらに役に立ちます。私も"何がコア技術になるのか"、など自宅で検討しましたよ。
- ビジネス戦略を知りたい人
- コーヒーが好きな人
- 小説が好きな人
に加えて、"キャリアプランニングしたい人"にお勧めです。
最後に。この本は著者の永井さんから献本していただきました。大変ありがとうございました。