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グローバル化する中で日本人はどのようにサバイバルすればよいのか。子ども×ICT教育×発達心理をキーワードに考えます。

星新一さんのSF小説が暗に言いたかったことはなんだろう?

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はじめに

中学生の時、星新一さんの小説を30冊くらい読みました。その中でものすごく印象に残った小説がありました。特に記憶に残ったのはこんな話でした。25年ほど前に借りて読んだだけなので内容はおおまかにしか覚えていないのですが、以下の様な流れだった気がします。

※確か「マイ王国」という短編小説と同じ文庫本に収録されていた気がするのですが、題名も話の内容も曖昧な記憶です。ご存じの方がいらしたらコメント欄に題名などの情報をいただけましたら嬉しいです。どうぞ、よろしくお願い致します。

「処刑」

【お詫び】以下、いろいろ仮説を立てていましたが、記憶違いだった部分は2013.1.27に取り消し線を引きました。恐れいります。

命の水がでるボタンの話 ※正式な題名は忘れました。恐れ入ります。
読者の皆様から「処刑」という題名だと教えていただきました。ありがとうございました。

  • 犯罪を犯した人が罪を償うために赤い星(火星)小惑星に取り残される法律がある
  • 主人公は何かの罪を犯し、赤い星(火星)小惑星に取り残される
    ※読者の皆様から火星/赤い星ではないかとご指摘をいただきました。
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  • 唯一、主人公に渡されているものは水が出るボタンだけ。そのボタンを押すと水が出るが、ボタンを押す際ランダムで爆発するようになっている
     →お水を飲むためにボタンを押すといつか爆発して自分が死んでしまう
     →しかし爆発を怖がってボタンを押さない(=お水を我慢する)と餓死してしまう
  • 主人公は他の囚人が爆死するのを見て悩む。

  • 勇気を出してボタンを押してみたら普通にお水が出た
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  • 数回お水を押してみたら爆発しなかった
  • もしかしたらずっと爆発しないで済むかもしれないと思い、生きる意味を考えながらボタンを押し続けてみた

  • しばらくしたらボタンが爆発した(爆発した所で話が終了した記憶でした。)
    読者の皆様から「人生の意味を考えながらボタンを押し続けて終わったのでは?」 と教えていただきました。修正しました。

「処刑」のラストで

主人公がボタンを押し続けたのは

  • 「ボタンを押さなければ爆死しないけど餓死してしまう」
  • 「生きるということ、死ぬことの意味を考えて心が達観していったから」
  • 「何回ボタンを押すと爆発するのかは人によって違う。」
  • 「確率の事を考えれば当分爆発しない可能性もある」
  • 「どうせいつかは死ぬんだったら餓死するよりもお水を飲んで、満足なきもちで死にたい」
  • 「もしかしたらボタンが壊れていて爆発しない可能性がある」

など複数の理由があった気がします。

選択

大多数の囚人たちは以下の二元論で考えていた気がします。

--

ボタンは正常に作動している(前提条件)、

もしボタンを押して水を飲むと

いつかは爆発する。

---

ボタンは正常に作動している(前提条件)、

もしボタンを押すのを我慢すると

いつかは餓死する。

---

ですが、「ボタンが壊れる」という可能性がないとは言いきれないのがこの小説のツボです。「絶対に壊れない」という可能性は人類にはありえないでしょうから。確か主人公は「ボタンが壊れている可能性」を想定していた気がします。「もしかしたら......」を考えたわけです。

"ハイリターン・ハイリスク"と"ローリターン・ローリスク"

ボタンが絶対に壊れていないのであればボタンを押してお水を飲む行為はハイリスク。しかし、もしボタンが壊れていれば命の水が安全にずっと手に入る可能性が生じます。

確か主人公は「ボタンが壊れていれば爆発しないまま、お水が出続ける」と考えていた気がします。

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---

もしボタンが壊れていれば(前提条件)、

もしボタンを押しても

爆発しない。
かつ、安全に水が出続ける。

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子どもの時はあまり深い意味がわからずに読みました。とはいえ人間のエゴが書かれていて「面白いけど、とても怖い」と思った記憶があります。子どもだったけれども何かを風刺しているということは感じ取れました。

赤い星(火星)小惑星でお水が出る器械のボタンを押すかどうかについては、以下の可能性も考えられるのではないかと私見では思いました。

---

もしボタンが壊れていれば(前提条件)、

もしボタンを押しても

爆発しない。
そしてお水も出ない。

---

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あくまでも私が思いついた範囲で可能性を書きましたが、世の中の現象には色々な可能性が想定されます。「爆発するかもしれないボタン」を通して星新一さんがこの小説で暗に伝えたかったことは何なのか。改めて今、考えてみたくなりました。

星新一さんは何を風刺していたのか?

まず、星さんが書いた"赤い星(火星)小惑星に取り残された受刑者と水が出るが爆発する可能性があるボタンの話"は、読者の皆様のおかげで、『ようこそ地球さん』に収録された「処刑」とわかりました。情報をくださったみなさま、ありがとうございます。

星 新一『ようこそ地球さん』 (新潮文庫)

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そして、「処刑」で伝えたかった事・風刺していたものは何だったのだろうかと気になり始めました。赤い星(火星)小惑星に取り残された受刑者と水が出るが爆発する可能性があるボタンが付いた機会は何を意味していたのか。

世の中に「絶対はない」という事を伝えたかったのか。「ボタンを押すと爆発するかどうか」を通して星さんは何を風刺したかったのか。星新一さんは「処刑」という作品で、何を風刺したかったのか。

「処刑」の著者・星新一さんは既にお亡くなりになれていますが、読者の皆様から情報をいただきました。

追加情報 2013.1.27 14:58

この記事を読んでくださった皆様から、題名が星新一『処刑』であることを教えていたきました。そして星新一さんが何かのエッセイに「『処刑』で伝えたかったことは「締切」であると書かれていたことも読者の方がTwitterで教えてくださいました。

ウェブのおかげで曖昧な記憶の説明でも題名がわかりました。ありがとうございました。

『処刑』で星新一さんが読者に伝えたかったことは

  • 人生は有限である
  • その中でいかに生きるか。死を迎えるか

というテーマだったようです。みなさま、情報・ご意見を教えて下さり、非常にありがとうございました。

>>「オルタナブログはどうだった?(7/5~7/11):成長するブログ」に続く

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編集履歴 2012.7.5 19:36 エッセイによると「〆切」という情報もいただきました。ありがとうございました。2012.7.9 読者の皆様からいただいた情報を本文に反映させ、記憶違いの箇所は取り消し線をつけました。2012.7.25 01:15 見出しと、>>「「オルタナブログはどうだった?(7/5~7/11):成長するブログ」」に続くを追加しました。注の文字の大きさを小さくしました。2013.1.27 14:58 記憶違いの場所に取り消し線を入れ、訂正の文言(太字の箇所など)を入れました。追加情報の見出しの段落を追加しました。2013.5.1 0:35 イメージ画像を追加しました。文章の位置を入れ替えました。改行を一部なくしました。2013.11.28 22:44 追記の文章の位置をはじめにへ入れ替えました。加えて、追記2012.07.05の「早速、Amazonで注文をしました。読者のみなさまからの情報は記事本文に反映します。本が入手でき次第、この記事をさらに追加修正していきたいと思います。」を編集履歴へ移動しました。見出し「処刑」の下に【お詫び】の一文を追加しました。見出し「選択」「ハイリターンハイリスクとローリターンローリスク」を追加しました。追加情報2013.1.27の冒頭から「あくまで私見ですが、」を削除しました。2013.12.18 17:38 後半部分を別記事に分けました。写真を追加しました。同日19:44 「小惑星でお水が出る器械のボタンを押すかどうかについては、」を追加しました。2013.12.29 21:41 以下の部分の取り消し線を取りました。「もしボタンが壊れていれば(前提条件)、↓もしボタンを押しても↓爆発しない。かつ、安全に水が出続ける。」 以前、小惑星→赤い星(火星)に直し忘れた部分を直しました。2016.3.1 12:35 後編を統合。そめため、本文から「>>「星新一さんのSF小説が暗に言いたかったことはなんだろう? (後編)」に続く」「星新一さんのSF小説が暗に言いたかったことはなんだろう?」の続きです。」を削除。

Comment(10)

コメント

774

罪を補うという表現に違和感が。
国語学者でもないので、そういった表現があるかは寡聞にして知らないのですが、
罪は償う(つぐなう)ものなのでは?

通りすがり

私もこの小説、読んだ記憶がありますが…
決定的に私の記憶と異なるのは、「爆発する」シーンが描かれていたという記憶がありません。
私の記憶では、「人生の意味を考えながら、ボタンを押し続けた」までで終わっていたように思います。

あと、小惑星ではなく、火星ではなかったでしょうか?

片岡麻実

NewTamaさま

コメントをありあとうございます。小説の題名がわかりとても助かりました。Amazonへのリンクもありあとうございます。おかげさまで文庫本を注文できました。

NewTamaさまがおっしゃられた通り、人間の葛藤や矛盾、「生きるために死ぬ」「しぬために生きる」というテーマが込められると思います。如何にして生きるかを考えさせられる素敵な小説だと思っています。

コメントをありがとうございました。

片岡麻実

774さま

コメントをありがとうございました。おっしゃるとおり「罪は償うもの」という日本語が正しいと思います。「罪を補う」は私が誤入力しました。非常に恐れ入ります。

早速、記事本文の表記を修正しました。教えてくださってありがとうございました。

片岡麻実

通りすがりさま

コメントをありがとうございます。流刑地が星が火星だったことに加えて最後が爆発していなかったとのご指摘をありがとうございます。

「小惑星」「爆発して終わった」と書いた箇所は本文中に取り消し線を入れて記憶違いだったと「注」を入れるようにします。

Amazonから本が届き次第、事実確認を改めてして本文を確定したいと思います。情報をありがとうございました。

abe

あぁ簡単にいうと今の時期なら原発、やその他危険と便利が隣り合わせの物に対する自答をさせるためでしょうかと私は邪推してしまいます。

片岡麻実

abeさま

先日はコメントをありがとうございました。
お礼が遅れてしまい恐れ入ります。

「今の時期なら原発、やその他危険と便利が隣り合わせの物に対する自答」というのはすごく納得がいきました。


昨日(2012.7.6)に首相官邸の周りなどで反原発のデモありましたし、普通の人が色々と考えて意思を表明するように時代が変わりつつありますね。


星さん自体は1972年に文庫本を出版されているので原発問題を意識して書かれたわけではないのでしょうが、「爆発するリスクがあるけど押すと生きるために必要なお水が出るボタン」という設定に不思議と関連を感じてしまいます。


「処刑」が執筆されたのは1972年にもかかわらず不思議と小説「処刑」が現在の社会問題を風刺しているように受け取れるのがすごいところです。

星さんが物事の本質をついた小説を書かれたことで、現在の私にとっても生きる上で考えないといけないことに気が付かされた気持ちがします。

コメントをありがとうございました。

あやなお

最後はバスタブの中でボタンを押し続けて、バスタブ内に水を満々とためる・・・
ようなシーンで終わった記憶があります。

あくまで私の推測ですが、
「落雷で死ぬ」ケースを考えると、いきなりほんの一瞬なわけです。
苦しまずに、一瞬で終わるというか。

実は囚人でなくても、
人生における未来は誰にもわからなくて、

例えば1時間後に交通事故にいきなり遭うかもしれない。
または遭わないかもしれない。

例えば1日後に落雷に遭うかもしれない。
遭わないかもしれない。

例えば1週間後に夜、床についたらそれが最後で
二度と朝が来ないかもしれない。

結局のところ、
誰しもそういうリスクを実は常に孕んだまま生きてるわけです。

・・・ということに
囚人は気がついたのかな?と思いました。

なので、
「ボタンを押し続けるリスクは、いままで生きてきた人生において抱えていたリスクと全く同じで
 そのときは別に怯え震えて毎日を過ごしてきたわけでもないし、このボタンを押すことはそれと一緒だ」
という境地になったのだろうと思いました。

片岡麻実

あやなおさま

コメントをありがとうございます。
返信が遅れてしまい恐れ入ります。


昨日、本が届いたので確認した所「最後はバスタブの中でボタンを押し続けて、バスタブ内に水を満々とためる・・・ようなシーンで終わった」が正解でした。私が記憶違いをしていたようです。恐れ入ります。


本を読み返した所、あやなおさんがご指摘されていたように「死をどうとらえるか」「人間いつ死ぬのか誰にもわからない」「死ぬまでの残り時間」という意識がとても重要なように見受けられました。

誰しも常に死ぬリスクを抱えて生きている。しかし普段はなかなかそのことに気が付かないという事なのだろうと私見では思いました。


「ボタンを押し続けるリスクは、いままで生きてきた人生において抱えていたリスクと全く同じ(以下略)」というご指摘は本を読み返すとまさにそうなのだろうなと感じます。

星さんはエッセイに「〆切」というテーマ?で「処刑」を書いたと書かれていた情報をTwitterでいただきました。


「処刑」は様々なメッセージを感じられる小説ですが、あやなおさんの「誰しもいつ死ぬかわからないリスク・タイムリミットがあるのだ」という内容のご指摘は確かにと感じました。

コメントをありがとうございました。

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