情報のユニバーサルデザイン(UD)を実現するために
東日本大震災で知った情報の格差
2011年3月11日に1000年に一度と言われる大災害が起こりました。このいたましい事件をきっかけに私が気がついたことは「被災者に向けた情報が現地では、被災者のみなさまにほとんどいきわたらないこと」でした。
現地では着の身着のままで逃げた方が多く、携帯電話を持参して避難できた方も電池切れが起こり、十分にデジタルデバイスを扱うことができない状態だったそうです。
東京にいた私は現地の方の情報がたりないだろうと推測して
- Twitterでの情報発信
- 仙台Twitterポータルの作成(http://sentter.jimdo.com)
- 個人サイトに震災の情報のリンク集を作成
などの今、私ができる情報発信の取り組みを行ったわけですが、そもそも情報の受信が難しい場合はどうしていったらいいのか、という課題に突き当たりました。
テレビを閲覧できない被災地の方のためにUstreamで各局の報道番組が流されましたが、果たして現地で見ることができた方はどれくらい居らっしゃったのか気になるところです。
iPhone/iPadなどスマートフォン/ガジェットをご利用になっている被災者の方ならばflashの再生はできないもののHTML5ならば映像を見ることができたのではないかと推察されます。
一方、普通の携帯電話からご覧になった方がいたのか、それともyoutubeなどの動画で映像の情報をご覧になったのか。
今回は何らかのデジタルデバイスを被災地で利用できていた方が現地のみなさまの声を集めて情報発信されていましたが、改めて「情報格差」の重要さを考えさせられました。
自分が保有している機器による情報格差もありえると思いますし、別な次元で考えれば読み・書きなどにおける「情報格差」も重大なことと考えております。聴覚障害がある方が東京から仙台に出かけた日に被災して大変困られた話がブログに掲載されておりました。(注)
見える/見えない、聞こえる/聞こえない、読める/読めない、などの情報格差も見逃してはならない問題だと考えております。
(注)参照した記事は、2011-03-18 09:07:04に更新された「Deaf and Research の日記」(http://ameblo.jp/deaf-psychotherapis/entry-10833891072.html)です。
今後、情報の格差を改善するために
私がオルタナティブ・ブログに最初に書いた記事が「みなさまは目で見ると入力できるパソコンをご存知ですか?」(http://blogs.itmedia.co.jp/kataoka/2010/05/post-fece.html)なのですが、障害や病気・怪我などで情報格差が起きてしまった場合も適切な支援機器が利用出来れば情報格差を解消していくことができるという事例をご紹介させていただきました。
私は2008年冬に読み書きに困難がある方に向けてデジタル教科書作成に携わりはじめ、日本以外の先進国では普通に利用されているDAISY XML規格による電子図書、iPhoneやiPadなどデジタルガジェットで利用されている電子書籍に触れてまいりました。
日本でもKindleやiPadなどデジタルガジェットで利用される電子図書への関心は高まっていますが、読み書き困難な方にも利用しやすい日本ではアクセシビリティを考慮した電子図書となるとまだ関心が低いように見受けられます。
そこで、今回は情報格差をなくすためにアクセシブルな図書を作る試みとして
- PDFの音声読み上げ機能
- DAISY XML規格による電子図書
- 私個人が試作したアクセシブルかもしれない電子図書の作成方法
についてご紹介したいと思います。
※デジタルガジェットで利用されている電子書籍についてはまた別な機会に考察することとします。