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「公私混同」の人生は楽しいぞ

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私の場合、仕事と日常の時間の区別がかなり曖昧だ。例えば、いまこうやってブログを書いているわけだが、これは自分をプロモーションするための仕事でもあると同時、朝の頭のラジオ体操みたいなもので、ごく自然な日常の時間でもある。

読書だってそうだが、仕事のために読んでいる「コンピュータの歴史』も、それが面白くて、ついついのめり込んでいるし、いま読んでいる「クララとお日さま」なんて、仕事には直接関係ないけど、なるほど、これは講義のネタに使えそうだと、メモなんか取っている。

確かに打ち合わせや講義、講演は、時間に縛られた仕事である。また、講義や講演のための教材づくりもそれなりに時間を費やしているが、これもまあ仕事であろう。

しかし、仕事なのか日常なのかの区別は、自分の中ではかなり曖昧だ。なぜなら、どれも楽しんでいるし、無理して、頑張ってやってはいない。特にプレゼンテーション資料を作りは、趣味として、多いに楽しんでいる。まったく苦しいと感じることはない。もちろん、いい資料を作ろうと、悩み、試行錯誤する苦しみはあるが、それもまた楽しい時間だ。

もちろん、産みの苦しみというか、いい成果をあげようとすれば、それはそれで大変な作業が伴うわけだが、趣味でスポーツを楽しんでいる人たちにしてみれば、そんなことは当たり前で、そうやって苦しい思いをするのが、楽しいわけだ。ミハイ・チクセントミハイの言う「フロー(Flow)」という心理状態に近いのかもしれない。

私は、ゲームというものが、よくわからないし、まったくやっていない。興味がないわけではないが、のめり込んでしまうことが怖いので、安易に手を出さないようにしている。しかし、よくもあんなに時間を費やせるものだと思う。寸暇を惜しんで、やっている人たちも少なくないように思う。しかし、その行為は、楽しいからできるわけだ。もちろん、ゲームだっていろいろと苦労の連続だろうが、それでもやる。お金にはならないので、あきらかにし仕事ではないが、その経験から、仕事につながる気付きを得たり、スキルを身につけたりする人は、少なからずいるだろう。

私には、ワークライフバランスという言葉が、何かしっくりとこない。この前提にあるのは、「ワークはお金を稼ぐためのやむを得ない苦労の時間であり、ライフはワークから解放された楽しい時間」であるという、二元論であるように思う。しかし、ここにも書いたように、両者を明確に区別できない。いやむしろ、そうすべきではないように思う。

多くの人たちと根っ子のところで共通しているのは、成長の喜びであろう。何を成長と感じるかは、それぞれだが、仕事であっても、遊びでであっても、何かを成し遂げた、あるいはそこまでいかなくても、新しい気付きや知識を増すことは、楽しいし、少なくとも私にとっては、例えささやかであっても、成長の喜びである。

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ドイツの哲学者であるハンナ・アーレントは、人間の「活動的生活(日常的な活動を主とする生活)」を3種類に分類しました。

活動(action)

自発的にやること。心からやりたくてやる純粋な行動。

仕事(work)

誇りをもってやること。金銭など特定の目的があるからやっているところもあるが、強制されている訳では無く、むしろやる気に満ち溢れている。

労働(labor)

生きるためだけにやっていること。ベルトコンベアで流れてくるものを処理していくイメージ。やらないで済むならできればやりたくないこと。

ワークライフバランスの"ワーク"という言葉は、アーレントのいう仕事(work)ではなく、労働(labor)に近いように思うわけで、自分にはなんともしくりとこない。

まあ、現実には、仕事と称して、労働(labor)を強いられている人もいるわけで、そういう人たちからすれば、ワークライフバランスは、「ワークはお金を稼ぐためのやむを得ない苦労の時間であり、ライフはワークから解放された楽しい時間」と考えて、その切り分けが大切だとなってしまうのだろう。

しかし、人生における労働(labor)の時間は長い。それを労働(labor)と捉えて生きつづけるのは、なんとも気が重い。せめて、仕事(work)として捉え、あるいは、それを極め、昇華して活動(action)として生きられるとすれば、成長の喜びはひとしおであろうし、楽しい人生が送れるように思う。

以前、誰かが「ワークライフバランス」を「ワークライフミックス」に変えようと書いていたような気がする。もう少し分かりやすい日本語にすれば、「公私混同」であろう。そういう生き方が、できれば理想だし、私の場合は、もはやかなりそれに近いような気がする。

まあ、それができるのは、サラリーマンではないからかもしれない。社内の政治や昇進などと無縁であり、そんなことを気にしないでいいから「公私混同」ができるのだろう。

でも、サラリーマンであっても、政治や昇進など、気にせずに、自分のやるべき仕事(work)を極めれば、「公私混同」の楽しい人生が送れるように思う。

ちょっと話しが外れるが、最近メンバーシップ型雇用をジョブ型雇用へと移行しようという企業も増えている。その背景にある「会社の論理」は、メンバーシップ型雇用で生みだしてきた総合職集団では国際的な競争に勝ち残れないから、専門職として採用、育成し、その成果に応じた評価をすることで、国際的競争力を高めてゆこうということだろう。しかし、「個人の論理」で考えれば、「公私混同」を極めれば評価も上がるということだ。

1つの会社で長くキャリアを積んでいく日本型(メンバーシップ型)の雇用を見直していく方がいいだろう」

経団連第5代会長中西宏明氏が語っていた。もうそういう時代なのだ。

「公私混同」の人生は楽しいぞ。実践している私が言っているのだから、間違いない。そういう人たちが、増えてくると、日本はもっと良くなるのじゃないかなぁ。

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5月から始まる第37期では、DXの実践にフォーカスし、さらに内容をブラッシュアップします。実践の当事者たちを講師に招き、そのノウハウを教えて頂こうと思います。

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ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー

4月度のコンテンツを更新しました】

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・「AIとロボット」を「AIとデータ」に変更し、データについてのプレゼンテーションを充実させました。

・戦略編をDXとそれ以外の内容に分割しました。

・開発と運用に、新しいコンテンツを追加しました

・テクノロジー・トピックスのRPA/ローコード開発、量子コンピュータ、ブロックチェーンを刷新しました。

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研修パッケージ

・総集編 20214月版・最新の資料を反映

DX基礎編 改訂

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ビジネス戦略編・DX

  • 【新規】データとUXとサービス p.17
  • 【新規】デジタル×データ×AI が支える存続と成長のプロセス p.68
  • 【新規】DXとは圧倒的なスピードを手に入れること p.72
  • 【新規】IT企業とデジタル企業 p.155

サービス&アプリケーション・先進技術編/AIとデータ

  • 【新規】データの価値 p.129
  • 【新規】情報とビジネスインテリジェンス・プロセス p.130
  • 【新規】アナリティクス・プロセス p.131
  • 【新規】データ尺度の統計学的分類 p.135
  • 【新規】機械学習とデータサイエンス p.136
  • 【新規】アナリティクスとビジネス・インテリジェンス p.137
  • 【新規】ビジネス・インテリジェンスの適用とツール p.138
  • 【新規】アナリティクスのプロセス p.139
  • 【新規】ETL p.140
  • 【新規】データウェアハウス DWH Data Warehouse p.141
  • 【新規】データウェアハウス(DWH)とデータマート(DM) p.142

*「AIとロボット」から「AIとデータ」に変更しました。

開発と運用編

  • 【新規】クラウドの普及による責任区分の変化 p.25
  • 【新規】開発と運用 現状 p.26
  • 【新規】開発と運用 これから p.27
  • 【新規】DevOpsの全体像 p.28
  • 【新規】気付きからプロダクトに至る全体プロセス p.29
  • 【新規】アジャイル開発のプロセス p.37
  • 【新規】アジャイル開発の進め方 p.39

*ローコード開発については、RPAの資料と合わせてひとつにまとめました。

テクノロジー・トピックス編

  • 【改訂】ブロックチェーン、量子コンピュータの資料を刷新しました。
  • 【改訂】RPAとローコード開発を組合せた新たな資料を作りました。

下記につきましては、変更はありません。

  • ITインフラとプラットフォーム編
  • クラウド・コンピューティング編
  • ITの歴史と最新のトレンド編
  • サービス&アプリケーション・基本編
  • サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT

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